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【社会】

福島作業員がん検診補助 収束宣言前後で格差

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 政府の東京電力福島第一原発「事故収束宣言」から、16日で2年になった。作業員は今も被ばくしながら働いているが、働き始めた時期が宣言の前か後かで、がん検診など補助制度の扱いが違っている。一定の被ばくをした宣言前の作業員は無料で受けられるが、宣言後の作業員は自己負担。待遇の大きな違いに専門家は「宣言で線引きせず、広く検診を受けられるようにすべきだ」と求める。 (片山夏子)

 厚生労働省は「宣言前は原子炉が不安定で『緊急作業』としていた。作業員の不安が大きいため長期的な健康管理が必要とされた。宣言後は解除して、一般の原発と同じ扱いになった」と説明する。

 宣言前に作業した作業員を、国は全員登録。健康状態を追跡する。さらに一定の被ばくをした作業員は、国や雇用企業の負担で、白内障やがんの検診を受けられる。より低い被ばくの作業員でも、検診と精密検査の費用を、東電が負担する。

 その補助が宣言後に働き始めた作業員には適用されない。しかし、宣言後も被ばくの危険性は高く、不安は変わらない。

 宣言の一カ月後から建屋周りのがれき撤去などに携わった男性は、八カ月で年間の上限(五〇ミリシーベルト)を超える被ばくをした。宣言の前から働き、同程度の被ばくをした同僚は負担なしでがん検診を受けたのに、この男性は三〜四万円を払うことになる。「扱いの違いに驚いた。費用も掛かるし、検診はまだ受けていない。今後も高線量被ばくをする人は出る。せめて検診は受けさせてほしい」と訴えた。

 補助で年に一度、がん検診を受けている男性は「被ばく線量が高いのに対象外の同僚が多い上、宣言後は給料や危険手当など待遇も悪化した。政府は事故が収束していないのを認め、宣言を撤回してほしい」と求めた。

 放射線医学総合研究所の明石真言(まこと)理事は「医学的には、収束宣言で線引きするのはおかしい。作業員の不安解消のためにも検診の範囲は広げるべきだ。作業員の登録を一元化し、健康状態をデータベースにするなど、被ばく管理方法全体を見直す必要がある」と話した。

 

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