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第一章
11話 空を自由に飛びたいな
 まだ午後半ばだったが宿に戻り、メニューの確認をする。

山野マサル ヒューマン 魔法剣士

【称号】野ウサギハンター
野ウサギと死闘を繰り広げた男
ギルドランクE

レベル5
HP 208/104+104
MP 56/148+148
力 28+28
体力 29+29
敏捷 18
器用 22
魔力 41

スキル 20P
剣術Lv4 肉体強化Lv2 スキルリセット ラズグラドワールド標準語
生活魔法 時計 火魔法Lv3 
盾Lv2 回避Lv1 槍術Lv1 格闘術Lv1 体力回復強化 根性
弓術Lv1 投擲術Lv2 隠密Lv2 忍び足Lv2 気配察知Lv2
魔力感知Lv1 回復魔法Lv1

 スキルリストから、レヴィテーションが使えそうな魔法を探してみるがよくわからない。空間魔法だろうか?転送とか便利だろうけど、一つの町をうろうろしてる現状だとそんなに役に立ちそうにない。戦闘から逃げるのに使えるかもしれないけど、使える魔法っていうのは大抵詠唱も長いんだよな。やっぱ誰かに聞いてみるべきか。

 いくつか使えそうなスキルをピックアップする。
高速詠唱、MP消費減少、魔力増強、MP回復力アップがどれも5P。合せれば強力そうだが、現状そこまでスキルポイントの余裕はない。高速詠唱だけ取ってもいいが、レベル1でどの程度かわからんのが不安だ。10%程度短縮しても今日の戦闘だと役にたたんよな。

 火魔法を伸ばすのも違う気がする。火力は足りてるのだ。足りないのは防御力だ。大猪にも小爆破があれば火力は十分だった。問題はそこに至るまでの過程なんだが……

 隠密も戦闘が始まったあとだと意味をなさない。防御なら土魔法がそれっぽい。レベル4まで取って14P。回避を4まで取ってみるか。だがこれもつかってみないとわからない。

 剣術レベル5であれに勝てるだろうか?弓をあげるのも考えたが矢が数本刺さったくらいで大猪が止まるとは思えなかった。

 一人で考えてると煮詰まってきたな。やっぱ誰かに相談するか。誰かって言っても軍曹どのか受付のおっちゃんくらいなものなんだが。

 宿を出てギルドに向かう。訓練場に行くが軍曹どのはおられなく、ギルドにいると言う。ギルドのほうに顔を出すと、軍曹どのと副ギルド長が何やら話しあっていた。

「おお、マサル。いいところに来たな」と、禿。後ろにティリカちゃんもぼんやり立っていた。

「なんでしょう。おれ、軍曹どのに相談があるんですが」

「それはあとで聞こう。まずはこちらの話を聞いてくれ」と、軍曹どの。

「3日後に森の奥へ調査隊を出すことにしてな。おまえ、それに同行しろ」

「わたしがその隊長をすることになってな。貴様にも是非ついて来てもらいたい」

「そうそう。おまえ荷物持ちをしろ」

 言い方ってもんがあるだろうよ、この禿。

「補給品を担当してくれれば道中がずいぶん楽になる。行程は行きに2日、帰りに2日、調査に1日の合計5日間を予定している」

「お前も知ってると思うが森がこのところ騒がしい。普段みないようなのも奥のほうから出てきていてな。一度調べてみようってことになった。なあに、おまえは後ろからついて行くだけでいい。戦闘に関してはBクラスの手練を用意したからな!」

「そろそろ貴様も草原は卒業して森を経験するのもよかろう。護衛付きで体験できることなど滅多にないぞ」

「はあ、軍曹どのがそう言われるのでしたら」

「そうかそうか!じゃあ出発は3日後の早朝になる。補給品の用意があるから、おまえは明後日の午後にギルドに顔だしてくれ。報酬などの詳しいことは受付で聞いてくれ」

「わかりました」

「受けてくれて感謝する。で、相談事というのは?」

「今日、草原と森の境界あたりで猪と戦闘になったんですが……」

 大猪との戦闘と、今日考えたことを説明する。

「そりゃおめー、ソロじゃ限界だってことだよ。一人でなんでもかんでもできるもんじゃねー」

「そうだな。だが土魔法という着眼点は悪くない。攻防のバランスの取れた魔法系統だ。土魔法は無理だが、レヴィテーションを見せてやろう。多少なら使える。訓練場に行こう。ではドレウィンどの、これにて失礼する」

「レヴィテーションは物を持ち上げる魔法だ」といいながら、近くにある木剣を魔法で取り寄せる。

「わたしは本職の魔法使いではないから、体を浮かせるところまでは無理だが、この程度のことはできる」

 そういうと膝を落としジャンプした。5mくらい。2階の屋根くらい高さに飛びあがり、軽く着地する。さらにこちらに飛んで肩に乗った。重さはほとんど感じられない。肩をとんっと蹴り地面に降りる。

「持続時間は短いし連続使用もできないが、なかなか面白い動きができるだろう?」

 いまの軍曹どのの動きを頭の中で反芻する。置いてある木剣にむけて魔力を発するが、いきなり上手く行くわけもなく、ぴくりとも動かない。

「物を魔力で掴む感覚だ」

 掴む……掴む。

「最初はもっと軽いもので試すといい。コインとかな」

 そういうと銅貨が目の前に浮かんで止まった。集中すると魔力の流れが感じられる。銅貨にゆっくりと魔力を伸ばし、掴む。魔力が押し返されるような感覚がし、銅貨がぽとりと落下する。拾い上げて手のひらに乗せて魔力でぐっと圧力をかける。徐々に魔力を強めるとふいに銅貨が飛び上がった。落ちてくる銅貨を軍曹どのが掴んだ。

「もう習得したか。さすがに本職のメイジは違うな」

 アイテムから銅貨を1枚取り出し、今の感覚を忘れないうちにもう一度試す。今度はすぐに浮いた。空中に留まるようにコントロールする。

 メニューを確認する。

【コモン魔法】レヴィテーション

 スキルリストにはなかったがどういうことだろうか。ポイントを消費するまでもない魔法ってことか?見たあとすぐに習得できたし。レベル表示がないのも謎だ。

「ありがとうございます、軍曹どの。とても参考になりました」

【レヴィテーション】発動。体を浮かす。使う魔力量が増えるくらいですぐに体が浮く。そのまま体を持ち上げる。2mくらいの高さで止まり、アイテムからナイフを取り出し投げる。空中でバランスを崩し、落ちそうになる。ナイフは見事に外れた。今度はバランスも考えながら投げる。的の近くに当たる。

 あまりうまくないな。空中だと力があまりかけられないから投擲に威力がでない。つぎに【火矢】を詠唱しようとして、落っこちた。

「魔法を2つ別々に使うことはできない。2つ同時ならできるが」

「どういうことでしょうか?」

「あくまでも本職じゃないものの知識として聞け。さっきやったようにレヴィテーション中に別の魔法を使おうとするのは無理だ。だが、たとえば風と火を合成して火嵐の魔法のように使うことはできる。火矢にしても火を作り、それを飛ばす2つの魔法を合成してるとも言える」

「2つ別々に使うのは不可能ってことですか?」

「わからん。少なくとも使える魔法使いは知らない。伝説レベルの話だ。知りたければ本でも調べるといい。そろそろ暗くなってきたな。話は終わろう」

「はっ。ご教授ありがとうございます。このあと一緒にお酒などいかがでしょうか。おごります」

「うむ、近くに美味い酒をだす店がある。飲みながら森のことを色々話してやろう」
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