敦賀市には「銀河鉄道999(スリーナイン)」など、漫画家松本零士さんに関連する作品のモニュメントが数多くあります。でも松本さんが敦賀市出身とは聞いたことがありません。何かつながりがあるのでしょうか?
教えて、県民くん!
鉄道・船 イメージ一致
なぜ敦賀市に銀河鉄道999のキャラクター像があるのか調べてみた=同市鉄輪町1丁目で
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大通りに28点
敦賀市内では、確かに「銀河鉄道999」など松本零士さんの有名な作品に登場するキャラクターの像を数多く見掛けます。でも、松本さんと敦賀の関わりなんて、考えたことはなかったなあ。よし、疑問解決に向けて出発進行だ!
まず、像が設置されているJR敦賀駅前へ。駅から駅前商店街に向かうと、駅前広場で早速、「銀河鉄道999」の主人公、星野鉄郎とヒロインのメーテルの像を発見した。
そこからは大通りに沿って設置され、途中で北に曲がり国道8号沿いにある本町二丁目商店街、同一丁目商店街を通って気比神宮までの通称「シンボルロード」に約一キロにわたり、計二十八点が並ぶ。うち、銀河鉄道999に関する像が十六点、「宇宙戦艦ヤマト」に関する像が十二点あった。
メーテルと鉄郎のツーショットや、二人の別れの場面など、どれも作品を知る人なら、おもわず記念撮影してしまいそうなものばかりだ。
でも、なんでここに置かれたのだろう。敦賀市役所を訪ねると、観光振興課の大家桂(おおいえかつら)係長らが対応してくれた。
大家さんによると、これらは一九九九年に行われた敦賀港開港百周年記念事業の一環として、市が整備したもの。松本さん関連の作品を選んだのは「敦賀港が古くから貿易や交通などで重要な役割を担ってきたことや、明治時代に欧亜国際連絡列車が東京から同港まで運行されていたことなどから、港の街と鉄道の街の連想で、鉄道と船が登場する銀河鉄道999と宇宙戦艦ヤマトの像を設置することになったんです」とのこと。設置の打診に対し、松本さん本人も快く許可をしてくれたそうだ。
もっと広がれ
なるほど、敦賀市の街のイメージと、松本さんの作品イメージが一致したのが理由という訳か。でも、特に縁のない敦賀市に、快く設置を許可してくれた松本さん。どんな考えがあったのだろう。ここは、本人にも取材するしかない。
電話取材に応じてくれた松本さんは、受話器の向こう側で、優しい声で話してくれた。
「レールウエー(鉄道)や船が行き来するということは、いろんな場所に、人と人とのつながりが生まれるということ。敦賀市のモニュメントには、そのつながりがもっと広がっていってほしいとの思いを込めました」。
故郷の北九州市にもモニュメント制作の計画があるそうで、「私だけでなく、いろんな漫画家、歌手、俳優さんなど、さまざまな人たちが各地域にモニュメントを造れば、こんなに楽しいことはないと思います」と提案。
「モニュメントのある場所で子どもたちが遊び、大人が安らぎを得られるようになっていってくれたら」と話し、「福井県の皆さんへ」として、「温暖化問題や昨年の東日本大震災など、生命体と自然環境にとって、今は大きな時代の変わり目に来ていると思う。子々孫々のために、みんなで手を取り合って頑張りましょう」とのメッセージを贈ってくれた。
敦賀市の松本キャラクターの像には、設置から十年以上たった今もさまざまな年齢層の人たちが訪れている。今後も、宇宙へ続く銀河鉄道のように、地域の人たちの夢を乗せていつまでもどこまでも残っていってくれたらなあ。
■松本零士(まつもと・れいじ)■ 漫画家。1938(昭和13)年、福岡県久留米市生まれ。その後、旧小倉市(現北九州市)で育つ。代表作に「銀河鉄道999」「宇宙海賊キャプテンハーロック」などがあり、「宇宙戦艦ヤマト」の人物設定、デザインも手掛けた。
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