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続けて第2話です。

※修正
『モンスター鑑定(M)』についての記述を一部修正。

隠し職業 → 最上級の隠し職業 に修正。
第1章 初めてのテイム
第2話 World_maker
 《World maker Online》もしくはただ単に《World maker》これはVRMMO、ヴァーチャルリアリティを使ったオンラインゲームではない。
 いや正確に言うのであれば、VRMMOとして遊ぶことも出来るだろうか。
 《World maker》、”世界の作り手”の名前が示すように世界そのものを作ってしまおうというVRシステムである。

 VR技術が出来てはや20年、VRは基本的に仮想現実シュミレーターの域を出ていなかった。
 唯一それを超えていたのがVRMMOだ。
 まあ、世界を丸々ひとつ作りこんでもあんまり意味がないと思われてからだ。
 例えば、観光地のVRを作る時に周りにある普通の都市まで作る意味は無いといった具合にだ。
 その点VRMMOはある程度世界を作りこむことに意味がある。
 ただ、予算規模と採算性からそれも限度があった。

 そんな時、とある大企業で市場開拓担当をしていた人物が思いつく。
「VRで世界そのものをつくってしまえば、まっさらな市場を手に入れることが出来るのではないか?」
 彼はその思い付きを実現すべく潰れたVRMMO会社を格安で手に入れ、まずはVRMMOの世界をみんなで作り上げるゲームとして出発した。
 つまり、《World maker》略してWMOの始まりである。(略するとOnlineが付くのは、他の有名な略語とかぶったからだとか)

 現在WMOは沢山の作り手達によって作られた、いくつもの世界が連なる広大なVR空間となっている。
 そして、VRMMORPGプレイヤーだけでなく一般の人々もその世界を楽しんで……いや、世界で生きていた。


 俺はクロという名前でWMOをすごしていた。
 架空の国家が生まれ、それらの外交問題により戦争すら起こるこのWMOではもはや何処からがゲームなのかは解からなくなっていた。
 そん中でも、まだゲーム的な要素の色濃く残る冒険者として、俺は生計を立てていた。
 クエストをこなしたり、モンスターを退治したりしてお金と経験値を稼ぎ、いくつもの世界を渡り歩いてきた。
 そして、さまざまな職業をマスターし、ついには最上級の隠し職業もいくつかマスターするまでの実力者になっていた。


 このWMOは一般的なVRMMORPGのシステムだった職業やスキルを採用している。
 ただ、ひとつ特徴的なのが、マスタースキルという仕組みだろうか?
 職業には個別にスキルがあり、それぞれの職業レベルに応じて覚えていく。
 そして、職業レベルをカンストつまり最大値まで上げると、マスタースキルというものを取得できる。
 これは、職が変わっても保持されるスキルで強力な必殺技から、その職業の固有スキルそのままだったり、ステータスUPだったりとさまざまだ。
 WMOでは職業のレベルを上げても強くは成れるが、真の強者になるためにはマスタースキルを集め、ベースの能力そのものを上げる必要があるのだ。


 ある程度、マスタースキルを集めた俺は、たまにはネタ職とか趣味職とか言われる職業をやってみることにした。
 選んだのは【モンスターマスター】。
 モンスターテイム系の職業。つまりモンスターを捕獲したり、調教したり、使役したりする職業の類だ。
 【モンスターマスター】はモンスターテイム系の中では捕獲、調教、使役の3種がバランスよく出来る職業だ。
 【魔物使い】や【魔物調教師】の様に偏ったものを選ぶと、複数の職業をすることになるので、これを選んだ。

 そして、沢山のマスタースキルに物を言わせ、【モンスターマスター】Lv1で高難易度の隠しダンジョンを進んでいく。
 テイムモンスターとして人気のあるシルフやセイレーン、洋館のアリスなども良かったのだが、やはり珍しくそして気に入った容姿のモンスターがいい。
 まあ、皆と同じでは代わり映えがしないし、いくら激レアでもゾンビ系なのどグロいのとかではちょっとどうかと思うからだ。
 まだ見ぬレアモンスター求めて探索は続く……。


 中々思うようなモンスターに遭遇できず気づけばあと1~2階で最奥のBOSSのフロアという深さまでもぐっていた。
 この頃にはすでに【モンスターマスター】のLvもマスターしている。
 さすがに隠しダンジョンだけあって、経験値が半端無い。
 まあ、そんなに簡単にレアモンスターと遭遇はできないかと、そろそろ諦めかけてた。
 記念にBOSSでも捕獲を狙ってみるかとか考えて、階段を下りたところで、見たことの無いモンスターに遭遇した。

 レアモンスターだ!
 小悪魔少女のモンスターで意外と可愛い。
 これだと思い、このモンスターを捕獲することにする。

 まずは、【モンスター研究者】のマスタースキル『モンスター鑑定(M)』を使い情報を調べる。

 モンスター名:????
 HP:????
 MP:????

 俺の『モンスター鑑定(M)』はこのダンジョンのBOSSすらも鑑定できるだけ鍛えたスキルなんだが……。
 このレアモンスターはBOSSよりも上なのかもしれない。
 気を引き締めないと返り討ちにされるかもしれない。

 まずはありったけのバフスキルで強化する。
 触媒として貴重な素材が湯水のごとく消えていくが気にしていられない。
 首都の家一件分はくだらないだろう……。
 まあ、気にしない。
 レアモンスターとの遭遇の機会の方がはるかに貴重だ。
 少なくともこれだけ強化すれば、ここのダンジョンのBOSSモンスターを、現状の最強の攻撃スキル『ラストジャッジメント(M)』で一撃だ。
 あまりに採算があわないから、今までやることはなかったが、今日は大盤振る舞いだ。

 まあ、これだけ強化するには二つほど理由がある。
 1つ目は、このレベルのユニークモンスター(レアやBOSSなど)はHPが減少すると大幅強化されるというのがある。
 1/2、1/4、1/8、1/16と半分減るごとに指数関数的に能力が強化されてしまうのだ。
 なので、残りHPを見れない場合は一撃で撃破する以外、運任せになってしまうのだ。

 2つ目は、【博徒】のマスタースキル『確率強制100%(M)』を使ってテイムを確実に決めるためだ。
 捕縛スキルの成功率は、撃破時にモンスター固有の確率に補正値がプラスされる。
 強ければ強いほど、ユニークなどのレアになればなるほど、低確率になってしまう。
 成功するまで何回も遭遇する事の出来そうのないモンスターにはこれを使うしか確実な方法はない。
 まあ、使用コストも馬鹿でかいのだがまあ今さらだ。


 準備は整った。
 途中に何度か攻撃受けることも考慮してエリクサーがぶ飲みの準備もしていたのだが……。
 小悪魔少女は興味深そうにこちらを見ているだけである。
 まあ、その方がこちらとしては都合がいい。

 一撃で決めて、絶対に捕獲してやる。
 その意思を込め、

 『ラストジャジメント(M)』

 必殺の一撃を叩き込む。

 その瞬間強烈な閃光によって、俺の意識は真っ白に染め上げられた。
次回はどこかに飛ばされます。


※追記
マスタースキルの表記は、『モンスター鑑定(M)』などスキル名の後に”(M)”をつけています。
マスタースキルではない場合(現在の職業の所持スキル)『モンスター鑑定S』と言ったようになります。
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