新作を始めることにしました。
こちらの方もよろしくお願いします。
「ご主人さま、お茶が入りました」
メイド姿の少女がテーブルにティーカップを並べ、紅茶を注いでくれる。
ま、厳密に言うと紅茶では無いのだけど、こだわったりしないので、味の差なんてわからない。
飲み物の中身よりも、メイドさんが給仕してくれる事が大事なのだ!
場所はオンボロの小屋ではあるが、メイドさんが居るだけでリッチな午後のティータイムの気分だ。
並べられたティーカップを優雅な仕草(作法とかわからないから気分だけ)で手に取りのどを潤す。
「う、う…………」
胸が苦しい、この感じはもしかして恋!?
じゃない、これは毒だ!
俺は『毒無効化S(M)』のスキルを持っていたはずだ。それでも無効化できない毒となると相当に強力だ。
ま、まずい……息が……。
「ふ、油断したわね! 取って置きの暗殺用の毒を仕込んだから直ぐに楽になれるわ。なんていっても、もう生きているはずもないか。これでやっと開放される」
ぐ、今は耐えなければ、今意識を手放したら多分助からない。
とにかく俺の持つスキルを信じて耐えるんだ!
「さて、ご主人さまもくたばった事だし死体の後片付けをしないとね。色々レアな物は私が有効に使ってあげるから心配しないでね」
ウキウキと俺の荷物をあさろうとする(元?)メイド。
「だれがくたばっただって?」
俺の低い声にびくっと身をすくませる。
「え? 生きてる!? なんで? あの毒は暗殺用に造られた特別なもので、どんな解毒スキルも間に合わずに即死するはずなのに!?」
ああ、確かに俺の持ってる『自動解毒S(M)』だけだったら間に合わなかった死んでたよ。
だが俺は同時に『毒効果遅延S(M)』も持ってたんだ。
ゲームでは、毒ダメージ受ける間隔を100倍にしたり、即死毒の効果発動までの時間を100倍にするスキルだったが、ここでもちゃんと働いてくれてよかったよ。
「まあ、俺も死ぬかとおもったよ、危なかったぞ。最初に攻撃受けた時よりも命の危険を感じたからな」
「あ、あ、あ……」
(元?)メイドは顔を真っ青にしながら後ずさる。
俺は今の職業の『命令』スキルを使う。
「ベッドで横になって動くな!」
「い、一度、押し倒されてるのよ。な、なんどだっておなじだわ!」
ふ……大丈夫、今回はそんなことするつもりは無い。
俺のうっすらと浮かべた笑いになにか感じたのだろう彼女の顔はひきつっている。
『シャープネス』
俺は『シャープネス』の魔法を(元?)メイドにかける。
これは反応速度が大幅に上がる便利な魔法だ。ただし、その反面皮膚感覚などに副作用がある。
ゲーム内ではダメージのショックが二倍になったりMPダメージが二倍になったりする程度だったが、ここでは違う。
痛覚から触覚など全ての感覚が鋭敏になるのだ。
「まさか、拷問!? どんな痛みを与えられようとも……く、くっしないから!」
言葉では強気でも必死に命令で動かないからだを動かして逃げようとしている。
まあ、拷問の一種ではあるが……怪我させたり、痛みを与えるつもりなどもうとうない。
「大丈夫、いたくはしないから」
俺は笑顔を浮かべながら彼女の脇下に手を入れて……。
「いや、くすぐったい。あははあははは……やめて、やめ、あはははは……」
思いっきりくすぐってやる。
「や、やめ、あははははは、や、ははは」
ちゃんと反省するまでやめてやるつもりは無い。
「はあはははは、ご、ごめあははっははごめんな、ははは、い。ご、あははは、めんな、はははいいい」
本当に反省するまでしばらく続けるのだった。
――数分後
ピクピクと痙攣した(元?)メイドが寝転がっているのを見ながら、俺は異世界でメイドをはべらせることになった原因を思い出していた。
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