■日本酒離れも高級酒は堅調
日本酒の消費量はこの15年で半減した。日本酒離れが叫ばれて久しいが、消費の中身をよくみると、違う風景が見えてくる。
例えば吟醸酒。日本酒造組合中央会の調べによると、2012酒造年度(2012年7月~2013年6月)は前年度比7%増えた。純米吟醸酒は同8%、純米酒は2%増だ。一方で普通酒は6%減った。純米酒や吟醸酒、本醸造酒などいわゆる「高級酒」を示す特定名称酒の割合はまだ日本酒全体の3割ほどとはいえ、消費者の嗜好は明らかに「質の高い酒」にシフトしている。
海外への輸出も好調だ。貿易統計によると、2012年の輸出量は約1万4000キロリットル。10年前の2倍近い。中でも米国と韓国、香港の伸びが著しい。
酒類卸大手、岡永(東京・中央)の金子尚恭・国際流通チーフマネジャーは「米国では日本食のヘルシーイメージに加え、コメだけでフルーティーな香りが生まれることへの興味が強い」と指摘する。特に米国、香港、シンガポールはキロリットル当たりの金額でみても突出しており、純米吟醸酒などの高級酒に対する引き合いが強い。将来的には東南アジアも有望市場だという。
■本醸造酒はリキュールと同じ? 税率7倍に
急速に拡大した日本酒の輸出。実は、米国では純米タイプがほとんどを占めている。なぜか。
「米国の酒税法では、醸造アルコールを添加したものは日本酒ではなく、税率の高い混成酒に分類されてしまうのです」(中央会の浜田理事)
日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、米国の連邦酒税では、酒類は大きく3つに分けられる。(1)ビール(2)ワイン(3)蒸留酒――だ。
醸造アルコールを添加していない日本酒(純米酒、純米吟醸酒、純米大吟醸酒)はビールと同じ扱いとなり、醸造アルコールを添加したもの(吟醸酒、大吟醸酒、本醸造酒、普通酒)は蒸留酒扱いとなる。同じ日本酒なのに、別のアルコールを添加したことで、混成酒とみなされるのだ。
日本酒、醸造アルコール
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