2013-12-18

闇 Advent Calendar 番外

闇 Advent Calendar 2013 - Adventar つらぽよ Advent Calendar 2013 - Adventarを読んでいて、自分の抱えている闇も吐露したくなった。

本当は自分ブログに書こうかとも思ったけど、結局こっちにした。

!!! この物語フィクションです !!!

入社

まり詳しく書くと特定されて消されるのでぼかしながら書く。

少し前まで私が所属していたWeb系の会社(以下、A社)の話だ。

私が新卒入社したA社は、某大都市にある従業員15名程度の小さなベンチャー企業だ。

そのベンチャー企業は、いわゆる社長ワンマン経営だった。

のちに気がついたことだけれど、従業員の半数以上は墨が入っている。

社長含めて社員はみんな怒ると怖いが、普段はノリのいい面白い人たちだった。

入社してしばらくは雑用だったが、数ヶ月もするとサーバサイドの管理を任された。

なぜかと言えば、私以外の従業員は誰一人としてプログラミングができないからだ。

情報系の大学出身の私は他の人よりできる。それだけだった。

ソースコードレガシーコードコピペ

テストなんて書けない。

もちろん、バージョン管理があるわけもない。

ではこの会社がどのようにして成り立っていたかというと、社長コネだ。

仕事

A社の主なお客様キャバクラホストクラブ

サイト制作したり、キャスト管理システムを構築するのが主だ。

Photoshop的な魔法のかかっていない生のキャスト写真を、指先ツールや色調補正魔法をかけたり、

まりに体が豊かな場合は、体だけ別人から切り取って合成したりした。

実に罪悪感に苛まれる仕事だった。

キャスト管理システムでは、要件に「実年齢」と「店舗年齢」があったことは言うまでもない。

私が見た中では最大16歳離れていた。

自傷あり」という要件もあった。つらかった。その画像をアップする機能もつけた。つらかった。

昔付き合っていた人が登録されたこともあったが、それはまた別の話だ。

客先

サイト制作の素材のために、お客様店舗を実際に撮影しにいくこともあった。

初めて撮影に出かける際に、先輩から注意されたことは

ヤバいのに絡まれたらすぐにうちの社長名前を出せ」

だった。

客先ではデジカメ普通に外観と内観を撮影するだけだったが、トラブルによく遭った。

開店前の店でキャスト同士が喧嘩して救急車なんてこともよくあった。

もっとヤバかったこともあるが、さすがに書けない話だから察してほしい。

客先に出かけるついでに打ち合わせをすることがほとんどだった。

客先では本当に稀にオーナーと会うこともあったのだけれど、これが本当に緊張した。

だいたい反社会的サムシングOBか、類する方がほとんどだったから。

オーナーさんって今いますか?」

すみません、今塀の中で…」

って話もあったようななかったような。

いろいろなオーナーの方とお会いしたけど、だいたいは物腰柔らかい人が多かった。

はいわゆる"カタギ"だったからだろうか。何とも言えない。

オーナーの方々からはいろいろためになる話を聞いた。

みかじめ等のそういう感じのシステム

興信所に調査されたらどう潰せばいいのか。

歌手ゴーストライターについて。

警察のガサ入れが入るタイミングを知るためには、警察OBにいくら払えばいいのか。

復興支援予算から金を引っ張ってくる方法

逮捕されたらどうすれば早く自由になるか。

など。

こういった闇の話は面白いには面白かったが、知らぬが仏という言葉が想起されることがほとんどだ。

人の生き死にが些細な出来事の世界だった。

問題

そういう方々なので、やはりトラブルは絶えない。

とあるグループの子会社経営者をハメて無一文にしたから、そのグループ経営してるクラブサイトを全部止めろという話や、

他のクラブ経営者に周囲を嗅ぎ回られてるから代表者名前を偽名にしておいてみたいな話。

お客様契約中に塀の中へ行ってしまわれたこともあった。

音信不通行方不明になることはよくある。

"繋がり"という概念が強い力を持つ世界で、敵対するグループ両方にいい顔をしてるといつか飛ばされる。

この世界でやっていくにはそういう「バランス感覚」が重要になってくる。

八方美人は嫌われるけれど、できるだけ敵を作らないやり方。

A社の社長はそれに長けていたので、A社は大きなトラブルに巻き込まれることは少なかった。

興信所から電話がかかってくることはよくあった。

だいたい身分を隠しているけれど、最初のころに電話口での興信所の見抜き方を教えてもらったからすぐわかる。

あとは2、3度思いきりハンマーか何かで会社のドアを殴られて変形したぐらい。

からこそ、サーバを落とすといろんな意味で命取りになる。

少しでもサーバが落ちるとすぐに怒鳴りの電話がかかってくるし、

夕方以降、サイトの閲覧ができない瞬間が少しでもあると「営業妨害で訴える」と言われる。

レンタルサーバ業者のメンテすら許してくれない。

レンタルサーバ業者が、事前通知をほとんどしない緊急メンテを始めたときは本当に覚悟した。

ちなみに、それでドアが変形した。

毎日サーバは落ちていないか、働いている間はずっと気を揉んでいた。

精神的に落ち着いた瞬間はなかった。つらかった。

そんな仕事だった。

実務経験ほとんどない新卒にはあまり責任が重すぎたように思うが、

今にしてみるとバックエンドを扱う業者はどこもこんな感じなんだろうとも思う。

退職

何年間かそんな状況だったので、精神的に限界が来ていた。

もともとWeb業界に「顧客価値を届ける」ことを夢見て入った私でもあるので、

勢力紛争のためだけのサイト(実際には使われないが見せかけのために制作するサイト)をつくるたび、

電話口で怒鳴り声を聞くたび、

体を合成した、もはや別人の画像サイトアップロードするたび、

自分の作ったキャスト管理システム自傷画像アップロードされるたび、

そのつらみは増していった。

また、闇の話を聞くたびに自分自分でなくなるような感覚もあった。

親に自分仕事の内容を言うこともできず、ただ、つらかった。

でも、察してくれる親がいて「実家に戻ってきてもいい」と言ってくれた。

真剣に「早く辞めろ」と怒ってくれる親友もいた。

それだけが嬉しくて、まだ自分はやり直せると思った。

から退職を決めた。

正直、退職は難しかった。

その話こそここには書けないものの、いろいろあってまぁ退職できた。

できたはずだがこの闇はなかなかにしつこい。

DQの呪われた装備のように。

誰かにそういう闇もあることを知って欲しかった。

そして私は未だに教会を探している。

!!! この物語フィクションです !!!

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