猪瀬氏:19日辞職表明 徳洲会5000万円引責
毎日新聞 2013年12月18日 23時29分(最終更新 12月19日 00時44分)
医療法人「徳洲会」グループから5000万円を受け取っていた東京都の猪瀬直樹知事が18日、辞職する意向を固めた。都議会は同日、罰則を伴う調査権を持つ調査特別委員会(百条委員会)を20日に設置する方針を決め、政府・与党内でも辞職を求める声が高まったことから、都政や2020年東京五輪準備の停滞を避けるため、辞職は不可避と判断したとみられる。19日に都庁で記者会見を開き、表明する見通し。
都は来年度予算案の発表を来年1月中旬に控えているほか、1月末をめどに20年東京五輪の大会組織委員会も発足する。猪瀬氏は百条委でもこれまでのようなあいまいな説明を繰り返した場合、都議会から不信任決議を突きつけられる恐れがある。18日は登庁後、公務予定をすべてキャンセルし、副知事らと対応を協議。前知事の石原慎太郎氏と面会しており、関係者は「猪瀬氏は腹を固めた」と話した。
政府・与党内でも18日、自民党の高村正彦副総裁が党幹部で初めて公に辞職を要求した。安倍晋三首相は自民党の萩生田光一総裁特別補佐(衆院東京24区選出)を官邸に呼び、「せっかく東京五輪招致が決まったのに、国と都の話し合いができないのは世界に対してみっともない。どういう結末にしろ、早く方向を決めてほしい」との認識で一致。
萩生田氏によると、首相は都議会が知事不信任決議案を可決した場合、猪瀬氏が都議会解散に踏み切る可能性について「全会一致で不信任が出れば、解散を打つ大義はない」と強調。萩生田氏も首相とのやりとりを記者団に明らかにすることで、辞職を求める「官邸の意向」をちらつかせた。
政府・自民党が猪瀬氏の進退論まで言及し始めたのは、都政の混乱による東京五輪への影響を懸念するからだ。大会運営を担う組織委員会のトップ人事も遅れており、高村氏は党本部で記者団に対し「五輪の準備に支障が出るなら、招致に成功した大きな功績を台無しにする」と述べ、猪瀬氏に速やかな辞職を迫った。公明党幹部も「個人的にはそろそろ進退を判断すべきだと思う」と突き放す。
猪瀬氏の5000万円授受は11月22日に発覚。猪瀬氏は都知事選に立候補表明する前日の昨年11月20日、衆院第1議員会館で徳田毅衆院議員から現金で5000万円を受け取り、徳洲会グループが公職選挙法違反容疑で強制捜査を受けた後の今年9月に返却したことは認めたが「個人的な借用だった」と主張している。