Mと再会したのは、僕がロンドンに一ヶ月ほど住んでいた頃の事だ。その頃の僕は日本を離れ、ローマを拠点に生活していたのだが、妻が用事を済ませるためにロンドン経由で日本に帰るというので、せっかくだからと途中まで同行し、単身者用のフラットを借りて長編小説の仕上げに取り組むことにした。家賃の割にしっかりと手入れされており、小ぶりながら機能的なキッチンも付いた部屋だったのだが、深く身にこたえる寒さだけが計算違いだった。ほとんど震えながら、文字通りかじりつくようにして机に向かう毎日で、2、3日に一度、目当てのコンサートを見つけては通うのが、数少ない楽しみの一つだった。その中のある会場へ向かう途中で、偶然Mと会った。
「村上さん?」
「ええ」
呼び止められた僕は、曖昧な会釈を返した。顔を見てすぐに思い浮かぶほどの長い付き合いではなかったし、なにしろ不意の事だったからだ。大学時代の知り合いだろうか?
「ぼくです、Mです。Yレコードの」
それで思い出すことが出来た。僕が昔アルバイトをしていたレコード店では、月に一度くらいの間隔で、同業者会とでもいうか、三店舗ほどの知己の店長が、暇そうな店員を見繕って集まるという会が開かれており、そこで会った男だ。たしか同年か、ひとつ下くらいだったと思う。僕が自分の店を持つためにアルバイトをやめた頃、彼が工学部の大学院に進んだと噂で聞いたことを憶えている。手短な挨拶のあと、僕はコンサートに向かう途中であることを告げた。
「こちらにいるうちに一度ゆっくり話しませんか?ぼくは毎日このくらいの時間には暇ですから、前日くらいに電話していただければ」
「そうですか。ではここにお願いします」
そう言うとMは、名刺を取り出して、二つ書かれたうちの一方の番号にアンダーラインを引いた。
切符やメモを失くす悪癖のある僕にしては珍しく、次の日もコートのポケットに名刺は残っていた。早めの昼食を終えて電話をかけると、昨日会った地点にほど近いパブを彼は指定した。
夜、店に先についた僕が、タラモア・デューのグラスを頼んでいると、すぐあとを追うようにしてMが店に入ってきた。
「お待たせしてすみません」
「いや、いま来たところだよ」
Mは主人に向かって、同じものを、と注文し、僕に向き直って説明した。
「久しぶりの人と話すときには、同じものを飲むのがくせになってるんです」
僕は無言で頷き、そういうこともあるのかな、と考えた。グラスがそれぞれの前に置かれた。
「では、あちらのテーブルで」
僕たちはフロアの隅の小さい窓に面したテーブルに移動して、話し始めた。現在の互いの仕事について、アルバイトしていた店のこと(どちらの店も現存していないことを確認しあった)、レコード・コレクションの情報交換。そのうちに、どういう筋道を辿ったか、生活習慣の話になった。少なくとも、互いに体調の変化に自覚的になる年齢を迎えていた。
「そうだね。いまは仕上げの作業をしているから、そのまま夕方近くまで没頭してしまうこともある」
「そうとは知らず、すみません」
「…変な質問かもしれないんですが、朝起きてすぐ書き始めると、夢と区別がつかなくなることがありませんか?」
「夢?」
思い当たることはあった。目覚めてから見る夢を記述する自分と、その記述を読む自分を感じられる時間が、確かにある。夢を見て書いている自分と、目覚めてそれを読んでいる自分、あるいは、起きて小説を書いている自分と、夢としてそれを読んでいる自分。ふたつの感覚が、深い集中力の底で分かちがたく結びついて、一種の平衡状態になるのだ。伝わりにくいかもしれないけど、と前置きしつつ、僕が説明している間、Mは古い抽斗の感触を確かめるように少し下を向いて、時おり小さく頷きながら耳を傾けていた。
「よくわかります。というのも、ある時期にそれとよく似た経験をしていたことがあるんです」
「似た経験?」
「ええ。小説を書いていたというわけではないんですけど、夢と現実が混ざり合ってくる感触が似ていると、聞いていて思いました」
「詳しく聞いてもいいかな?」
「少し長くなるのですが……。そうですね、話せると思います」
「レコード店でのバイトをやめたあと、海洋資源の調査を学ぶために、大学院に入りました。動機は単純なもので、岡山の実家に帰って桃農家を継ぐ前に、海に出たいと思っていたんです。今では結局、実家は弟が継いでいるのですが、その頃のぼくにとっては、桃農家を継ぐことが、それなりにリアリティのある将来でした。もちろん、入学に必要なだけのまっとうな志望理由は考えましたが、煎じ詰めるとただなんとなく、みたいなものです。卒業してからは、国の研究機関になんとか潜り込んで、マンガン団塊の調査のためにハワイに行くことになりました」
「ご存じないですよね。未開発の海底資源のひとつで、マンガンを主とした金属の団子状の塊が、一面の海底に転がってるところがあるんです」
第一印象こそドイツ語のようにいかめしい言葉だと思った。しかし、夜の砂漠のような海底に、ころころとした団子状の金属が人知れず散らばっている様子を想像してみると、それはなかなか心なごむ光景で、僕は不思議な親しみを覚えた。なにしろそこはハワイなのだ。当時の僕は、いま取り掛かっている仕事を終えたら、ロンドンで芯まで冷えきった体を暖めるために、一ヶ月くらいハワイへ行こうと考えていた。木陰でまどろみながらビーチを眺めて、近海の底で平和的に眠る黒々とした団子たちのことを思い出すだろう。
「そこでぼくは、現地の大学に協力をあおいで周辺海域の地形、海流について下調べをし、現場でーーつまり船の上からですがーー調査する地点の優先順位を決める仕事を任されていました。採る相手は海底にいますから、資源量が豊富で、採掘の妨げになる地形や海流の影響がなるべく少ないところを見つけ出す必要があります。基本的には、事前に計画した間隔をおいて探査を続けながら、見込みがあるところで、より細かい間隔で探査機を出します。その判断を行うのがぼくの仕事でした」
「とても責任の大きな仕事だ」僕は海底の団子を取りに行く潜水艦の勇姿を想像しながら言った。
「確かに、当時のぼくの年齢というか、調査隊の中での立場からすれば、例外的に重要な仕事を任されていたと思います。当時のボスは、その辺りが柔軟でした。やっかいな仕事であればあるほど、うまく出来る人間を見つけ出して、ひょいと一任してしまう嗅覚に優れた人で、その感覚は信頼されてもいました。その海域でのぼくの予想は、とても良く当たったのです。自分でも不思議なくらいに」
「預言者みたいだ」海底に選ばれた男、と僕は思った。
彼は顔の端に少し笑みを浮かべて、話を続けた。「まるでどこかの神官になったような気持ちでした。」
「その頃の僕には、打ち解けて調査計画の相談ができる仲間がいました。三人とも僕より少し年下です。一人は日本人で、探査機で撮った映像を解析するチームに所属していました。あとの二人はアメリカ出身の研究者で、それぞれサンプリングした団塊の分析と、並行して進められる地形、海流の調査を担当していました。年齢の近い彼らは、妙にうまが合ったようで、互いにニックネームを付けて呼び合っていました。僕は少し年上だったので、その輪にまでは入っていませんでしたが」
「でも四人はチームだった」と僕は言いながら、イヌとサルとキジ、と、勝手にニックネームを思いついていた。
「そうです。彼らと話すことで、それぞれのグループの雰囲気みたいなものをつかむことが、何より役に立ちました。もちろん、上がってくる客観的なデータに基づいて判断するのですが、データを取っている現場の彼らと直に接することで、数値を追う以上にデータの機微が掴めるんです。彼らは、測定機器が体の一部のようになっている人たちですから」
「わかるような気はする」僕は白磁器の表面の微細な凹凸を想像しながら言った。Mは頷いて続けた。
「彼らとのディスカッションのあと、眠る前に概要をまとめておき、重要な判断は翌朝する、という習慣が出来上がっていきました。有望な海域が見つかるのは、決まってその時間に立てた計画を実行した時でした」
「そのうちに、何度も同じ夢を見るようになったんです。ぼくと、その三人が出てくる夢です。夢の中で僕たちは、沖に離島が浮かぶ、岩礁に囲まれた小さな入り江から、一緒に潜水艦に乗って深海の調査に出ていました。少し沖に出て潜水すると、そこはすぐに調査している海域で、周辺の地形も、海流も、手に取るように分かりました。海の中は信じられないほど透明で、遠くの海嶺が陸上の山脈のようにくっきり見えました。団塊が転がっている海底を見下ろしながら、眠る前の僕が挙げていた候補地を、次々に見て回りました。満足行くまで調査をした僕たちは、自動操縦で入り江に戻りながら、どの場所が一番良かったかを話し合っていました」
「今でも思い出すと笑ってしまうのですが、それは奇妙なほどに感覚的な会話でした。一番素朴なあたたかみを感じただとか、急に懐かしさを覚えたとか、輝かしい未来が見えたとか、伝統と格式をたたえた石の並びだったとか。もっと言葉以前の、ありもしない擬音語を並べて会話しているようなこともありました」
「ありもしない擬音語?」
「そうです。説明するには試しに言ってみるくらいしかないんですが……」
「とくに重要ではないし、ここで口にするのは恥ずかしい?」
「そうです」彼は笑って付け加えた。「まわりの客には日本語と変わらなく聞こえるとは思うんですが、あまりに変なので」
「とにかく、とても滑稽な会話をしていた」
「ええ。何らかの結論に辿り着けるとは到底思えない、意味不明のやりとりです。でもなぜか、その会話の終わりには、ここしかないという場所が絞られていたんです。僕が目覚めてからする仕事は、その場所に決める理由を、なんとかしてデータからひねり出すことでした。夢で見た場所に決めていることは、誰にも言いませんでしたが、夢で見たことだからと、その結論を疑うことは僕には出来ませんでした。実際に、そうして立てられた計画が、大きく外れることはありませんでした」
「つまり、夢で見た非現実的な調査の結果が、現実の成果に結びついていった?」
「そうです。データ上はほとんど等価に見えていたはずの候補地が、夢を見たあとでは、明らかに差がついて見えるんです。現実のデータからそれを説明する理由が、なかなかみつからないほどに。予想や勘という言葉では言い表せないくらい、確かな感触がありました」
「第六感みたいに?」
「第六感にはあまり詳しくないのですが、そういうことだと思います」
「ええ。とは言っても、手元のデータに基づいて考えると、どうしても納得がいかないこともあります。しかし、客観的な理由が付けられずに判断を曲げてしまった時は、ことごとく良い結果は得られませんでした。それでも、大抵の場合は、なんとか説得力のある分析にたどり着くことが出来ました。最終的には、調査開始時の予想を超えて、有望な採掘候補地が次々とリストアップされていき、当初の予定海域を拡大して調査を続ける許可が降りるほどでした」
「マンガン団塊の資源開発は、採掘コストとのぎりぎりの戦いです。潜在的な埋蔵量では陸上の鉱床を圧倒することがわかっていても、採掘から利用までにかかる手間が大きく、商用化に至ったことは一度もありません。調査隊の成果は、日本に帰ってからの詳細な解析を待つまでもなく、商業ベースの採掘に向けた決め手となりうるもので、関係者たちは一様に湧きかえりました。現地での調査が終わると、ぼくは夢を見なくなりました。調査の手応えからくる充実感とは別のところで、ぼくにとってとても大事な時間が終わってしまったことを強く感じていました」
「寂しく感じていた?」
「そういうことです。調査している間、ぼくはまさに、あの美しい海底にいたのです。心強い仲間に囲まれて、果たすべき目標に導かれて」
「でもそれは終わってしまった」
「ええ。もちろん、陸に上がってからもやるべき仕事はありましたし、詳細な分析の結果を受けて調査の最終報告を完成させるまでには、まだ半年ほどの時間がありました。それはそれで、満ち足りた生活です。しかし、深海にいた時ほどの充実感が得られるものでは到底ありません。村上さんが小説を書いている時も、似たような充実感を感じているのではないかと、話を聞いていて思ったんです。その時間にしかない、どこか非現実的なほどの充実感です」
確かに似ている、と僕は思った。僕の体験と彼の体験は似ている。深い集中と、夢との接続。そしてそれを、能力の限りを尽くして、現実に手に取れる形に置き換える。その作業に、代えがたい充実感を覚える。共感するには十分だ。しかしそれを口にしてしまうと、この話はここで終わりになってしまう。この話には続きがある、という感触が、僕の言葉を留めた。
少しの沈黙の後、Mは少し迷った様子を見せながらも、話を続けた。
「日本へ戻る前の最後のオフに、ぼくたちは四人で会うことにしました。一人の実家がカネオヘにあるのでそこを訪ね、朝日を見ながらマカプウ岬を回ってホノルルへ戻る予定でした」
「帰る途中で立ち寄った公園からの眺めに、ぼくは息を飲みました。夢で見た小さな入り江がそこあったからです。入り江から沖へとつながる、海の色の濃い水路が伸び、周囲は岩礁に囲まれ、1kmほど先には離れ小島が浮かんでいました。顔を出したばかりの太陽に照らされて、何もかもが黄金色に輝いて見えました。夢のはじまりと全く同じです。明け方にその島を眺めながら入り江に着いて、潜水艦の点検をするのが、夢の中のぼくらの日課でした」
「その時に彼らと夢の話はしたの?」
「いいえ、何か口に出してはいけないことのように思えて、話しませんでした。運転していた者も、ただなんとなく、島が美しかったから停まったのだと言っていたはずです。三人ともその風景の美しさに心打たれている様子でしたが、なにかそれ以上の感想を抱いているようには見えませんでした」
「ホノルルに戻り、調査船に乗ってハワイを発ったあと、その日の夜に、ぼくはもう一度あの入り江の夢を見ました。夢の中でぼくは、朝日に照らされた離れ小島を見ながら、もう深海には行けないんだと、ぼんやり考えていました。まわりに仲間はいませんでしたし、入り江に泊めていた潜水艦も見当たりません。そのうちに、島から細く伸びた影のようなものが目に入りました。その影は島のまわりを取り巻いていて、そこからぼくの方にむかって海面を漂って来ました。ぼくはよく見るために、岩礁の上を歩いて、波が足にかかるくらいまで海に近づきました。あたりには、空気が重く感じられるほどの、強い磯の香りが漂っていました。しかし不快ではありませんでした。十歩ほどの距離まで迫った影をよく見ると、ウミケムシやゴカイ、イソメの群れでした。もぞもぞとうねる小さな動物たちは、互いに重なりあうようにして波の上に体を持ち上げ、公園に作られた小ぶりな山のようになりました。言葉もなく見ていると、ざわざわと蠢くその巨大な塊はさらに盛り上がり、セイウチの形に変わっていきました。天辺から少し下のところに牙が伸び、その先端からは、脱落した虫達がぼとぼとと海の上に落ちていきました。顔に当たる部分を見上げていると、セイウチは首を下ろし、まっすぐぼくの方を見つめました」
「ぼくにはセイウチが伝えようとしていることが、理解出来ました。『あれは我々に必要なものだ』と、セイウチはぼくに語りかけていました。語りかけるというと、正しくない言い方になってしまいます。それはどのような意味合いにおいても、言葉ではないし、音声ですらありませんでした。セイウチは、ぼくの記憶の中の美しい深海の光景に、薄い膜を重ねて包み込むようにして、伝えるべきことを、心の深いところに直接刻み込んでいきました。見つめ合ったまま伝達に十分なだけの時間が過ぎると、セイウチは形を失って、もとの巨大な塊になり、やがてバラバラの小さな動物になって散っていきました。その過程をゆっくりと眺めていたぼくは、気が付くと、昨日の帰り道で小島を見つけた公園に立っていました。まわりには三人の姿がありました。三人とも、景色に見入っているようでした。帰ろう、とぼくが声をかけると、三人は互いに目配せをして、ひとつ頷きました。ここまで運転をしてきた一人が、『ここからはきみが運転してくれ』と言い、ぼくに鍵を手渡しました。車は彼のものだし、特に運転を代わるつもりも無かったのですが、断るほどの距離でもないな、と思い直し、鍵を受け取って車に向かいました。運転席に座り、エンジンをかけ、ホノルルへ向けて走りだしたところで、三人が車に乗っていないことに気づきました。夢の中のぼくは、そのことをごく自然に受け入れているようでした。そこで目が覚めました」
「目覚めて仕事をしていると、調査隊の様子が変わっていることに気づきました。調査海域には大量の資源が眠っており、開発を進めるべきであることが確かめられた、という大筋の成果では、目覚める前と同じです。しかし調査記録を見なおしてみると、それが商業ベースに乗るほどのものとは、どう頑張っても言えそうにありませんでした。ありていに言えば、有望な海底資源を発見した、ただし将来の需要増によっては、という、お決まりのやつです。そして記録用紙のどこにも、彼ら三人の名前はありませんでした。ぼくの目には、すべての署名が彼らの直接の上司の名前に書き換えられているように見えました。もちろんそんな痕跡はみつかりません。それでも、書き換わってしまったことが、いや、過去そのものが置き換わってしまったことが、ぼくには理解できたのです。彼らのことについて、調査隊のメンバーと話をすることもありませんでした。誰も何も覚えていないというより、始めから存在していなかったようだったからです。しかしいまここにある現実によって、ぼくの記憶の中の彼らの存在を上書きしてしまうのは、間違いであると感じていました。彼らがいる現実と、いない現実が、ぼくを唯一の接点として並行して存在しているということが、ぼくにとって最も自然な理解でした。違和感を表に出さずに仕事を続けるのは、はじめに心配していたよりも、ずっと簡単にこなせました。彼らが存在していなかった過去も、ぼくの記憶にセットされていたからです」
「しかし、報告のための仕事が落ち着いてくると、ぼくは頻繁に入り江の光景を思い出すようになりました。一人でいられるところを探しては、黄金色に染まった入り江を思い出し、潜水艦に乗り込み、マンガン団塊の待つ海底に潜ることを想像しました。彼らは彼ら自身の現実によって、そこにとどまっていました。それは人間には奪うことの出来ない美しい光景で、あの日会ったセイウチが、必要としているものなのです。それだけが、ぼくに残された手がかりでした。そしてあの場所こそが、ぼくが行きたかった場所なのではないかと思うようになりました。結局、しばらくしてぼくは勤めていた研究所を辞め、調査隊でのツテを頼って、イギリスの大学の海洋生物学の研究室に移りました」
「そして今も、その時の夢に突き動かされるようにしてここにいる」
「実にそうです」Mはもう一度海底の景色を思い浮かべるように間を置いて、繰り返した。「実に」
この話をこんなに細かく思い出したのは、今日が初めてです、とMは言った。それから、もう一杯飲まないか、と僕は訊ねた。
「ぼくもそう思っていたんです」