ソチ五輪で金メダルを狙うフリースタイルスキー・モーグルの女王が正念場だ。右ヒザの前十字靱帯損傷で窮地のエース・伊藤みき(26=北野建設)がソチを目指すことを正式に表明。全治8か月という重傷で、五輪には限りなく赤信号が点灯するが、全日本スキー連盟(SAJ)には“プロレス流秘策”があるという。
伊藤によれば、右ヒザは手術しなければ完治は見込めず、全治8か月の診断を受けた。ケガはフィンランドでの練習中に負ったものだが、現地の医者からは「このヒザでは絶対無理だ。ソチを考えるのはやめてくれ」と即手術を勧められたほどの重傷だった。
だが、天性のプラス思考を持つ伊藤は「私は死んでないし、これですべてがなくなったわけじゃない。この右ヒザで挑戦していければいい」と気丈に言い放ち、1月20日の代表選考締め切りまで全力を尽くしてリハビリに挑む決意を示した。
SAJも熱い気持ちを受け止める。伊藤の復活を信じ、「秘密兵器」も用意するという。林辰男フリースタイル部長(61)は「それなりの器具を考えていかないといけない」と本番を見据え、特注のニーブレース製作を検討することを本紙に明かした。
ニーブレースは、ヒザを故障したアスリートが装着し急場をしのぐ効果がある。プロレス界では“黒いカリスマ”蝶野正洋(50)やWWEスーパースターのストーンコールド・スティーブ・オースチン(48)が使用したことで知られる。
スキーのアルペン選手では靱帯の損傷でも2か月で器具を着けて復帰する例があるという。とはいえ、モーグルはエアの着地などで衝撃が大きい。伊藤には「ちょっと器具を応用しないと。カーボン製もあり、しっかりしているし、軽い」(林フリースタイル部長)と最新鋭の技術を駆使したニーブレースを贈る計画だ。
最大の試練も涙はまだない。「心は折れていない」という伊藤がSAJとの強力タッグで、奇跡的なV字回復に突き進む。
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