これがゴジラへの禅譲プランだ。巨人・原辰徳監督(55)がヤンキースなどで活躍したOBの松井秀喜氏(39)に対し、自らの在任中にヘッドコーチとして招聘したい意向を明らかにした。これまで松井氏の将来について具体的な希望を語ることがほとんどなかっただけに、この発言の意味は大きい。やはり指揮官はチーム愛を受け継ぐ後継者として、バトンを託したい考えのようだ。
原監督は16日、チームのハワイV旅行から帰国。「いい旅行でした。個人的にもゆっくりできました」と笑顔で振り返った。
しかしオフであってもチーム方針を常に考えなければならないのが、監督業の宿命。レギュラーの白紙やドラフト1位ルーキー小林誠司捕手(24=日本生命)の一軍キャンプ帯同を早くも明言するなど来季のチーム作りを着々と進めている。
来季だけではない。指揮官はチームの将来像も頭の中で思い描いている。これまでほとんど語ることのなかった松井氏の進路だ。すでに松井氏は来年2月の宮崎キャンプで臨時コーチとして、短期間限定ながら古巣復帰を果たすことが内定している。「これは松井氏が次期監督となる布石」と見ている関係者は多い。それでは当の原監督は、どう思っているのか。指揮官は慎重に言葉を選びながらも、本紙にこう語った。
「間違いなく近未来、彼はジャイアンツに戻ってきますよ。それはコーチという立場なのか、あるいは監督という立場なのか…。戻ってくる(松井氏の)意志というのはわかるね。と同時に、そこは俺としても歓迎だね」
松井氏が巨人に指導者として本格復帰するとなれば気になるのは、その“禅譲方法”だ。巨人では次期監督候補と目された人物をヘッドコーチなどの要職に就かせ、帝王学を身につけさせた後に大役を任せるのが通例となっている。原監督も2001年9月に初めて指揮官就任を果たす直前まで長嶋茂雄監督(現終身名誉監督)のもと、野手総合コーチとヘッドコーチの重要ポストを3シーズン歴任した。そこで思い切って原監督に「松井氏にも、ヘッドコーチからの禅譲を考えているのか」とぶつけてみた。
「それはジャイアンツファン全員とは言わないが、求めている形だと思いますね。まあ、ごくごく自然の流れというか…。自然体というのは、そういう形からバトンが移行される。ジャイアンツにとっても、ファンにとってもいいことだと思いますね」
自らが歩んだ道を松井氏にもたどってもらいたい――。独特の言い回しとはいえ、そういう希望が原監督の中にもあるのはどうやら間違いないようだ。“松井ヘッドコーチ”就任の時期に関しては「『いつ』というのはわからない」。
果たして松井氏は巨人の歴代監督がたどってきた“王道継承”の道をたどることになるのか。今後の動きに注目だ。
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