刻印について
僕の書き方が悪かったので、刻印について色々感想頂きました。
主人公の場合、精霊に関する事=刻印です。
今度書き足します。
昨日は飲み過ぎた。
目が覚めると、太陽は大分高く登っていた。今日の仕事は休みだ。
頭は痛くないが、若干体が重いな。
久しぶりに、街で買い物でもしようか。魔法ギルドの図書館を利用するのも良いな。
少しだけ、鑑定所に顔を出そう。最近あまり顔を合わせていないし。
「あ、ノアさん。 こんにちは」
「や、ユージン」
鑑定所の事務室の扉は、開け放たれていた。
ムッスは昼飯に行って席を外していたが、もうすぐ帰ってくるらしいので、ここで待つ事にした。
ユージンが、実物と資料を見比べながら、アイテムの特徴の把握に努めている。
「ノアさん、今度一緒に露店を回りませんか?」
「いいよ。 ユージンは勉強熱心だな」
露天には、掘り出し物のアイテムがまれにある。
胡散臭い物や、ガラクタの中から本物を見つけ出す、良い訓練になる。
鑑定士の目を鍛えるには、やはり実物を多く見るのが一番だからな。
俺は資料と睨めっこするユージンに、見分け方のコツや、間違えやすい似たアイテムについてアドバイスした。
しばらくして、ムッスが帰ってきた。
「あー! ノアさんここにいたんですか!」
「いきなりなんだよ。 どうした?」
パタパタと走ってこちらに駆け寄ってくると、ムッスが手紙を俺に押し付けてきた。
「支部長から預かって来たんです。 ノアさんに手紙が届いたからって」
昼食に食堂を利用するついでに、宿舎の俺の部屋まで行ったらしい。
そしたらもぬけの殻だったと。
「ありがとう。 でもそんな急がなくてもいいだろう?」
「送り主を見て下さいよ!」
俺は改めて、渡された手紙を見た。
「あ、おじさんからか……」
「伯爵様からの手紙ですよ! そりゃあ急ぎます!」
ムッスは何だか興奮している。伯爵の手紙に触れたのが嬉しいらしい。
蜜蝋で封をされたそこには、エセックス伯爵の指輪の紋章跡が押してある。
それにしても、手紙なんて久しぶりだな。
手紙の封には魔法が使われている。解除キーは、今回は俺の魔力だ。
事前に指輪に触れて魔力を登録、認識させてある。無理やり他人が開けようとすれば、燃えてしまう。便利だよな。
「解除」
蜜蝋に触れて少し魔力を込めると、中の羊皮紙を取り出す。
「あー……」
サッと読んで固まった俺をムッスとユージンが不思議そうな顔をして見てきた。
「悪い、ユージン。 しばらく一緒に出かけられないかも」
おじさんからの手紙には、久しぶりに城に来いと書いてあった。
出不精と言うか、旅嫌いな俺が嫌がるのを見越して、迎え(護衛)を寄越すとも書いてある。
更に支部長には許可を取ったとか。さすがおじさん。やる事に無駄がない。行くしかないじゃないか。
迎えって、一体誰なんだ?
答えはすぐに出た。
職員に呼ばれ、ギルド正面入り口に向かう。何だか騒がしい。
「ノア」
「ナイジェル……?」
なんでナイジェルがここに?
だって、彼はもうただの傭兵じゃない。
「フィンブルの一年」の時の功績が認められ、おじさんに忠誠を誓い、獣人ながら騎士の位を手に入れた。
今は城で獣人達をまとめ、隊長をしている筈。
驚いた。
ナイジェルはゆっくりこちらに歩いてくる。
ライカンスロープのナイジェルはすごく大きい。その額には、大きな傷跡。
「フィンブルの一年」の時に負った傷だ。他にも沢山の傷が体に刻み込まれている。
「どうした? 元気だったか? 風邪は引いてないか?」
「ちょ、ちょっと! 大丈夫だって! 元気だよ!」
恥ずかしい!
ナイジェルにとって俺は、何時までも小さい頃のイメージから卒業出来ていないみたいだ。
一番最初に会った時、俺は寝込んでいた。
何週間もそのままで、その後も体が普通に戻るまで、ずっと看病してくれていたのだ。
そのせいか、とても過保護になってしまった。
俺は年の離れた弟みたいなもんで、確かにそんな感じで世話になったけど。
想像してみて欲しい。
二メートル近い厳つい戦士のライカンスロープの男が、満面の笑みを浮かべながら母親みたいなセリフを言っている様を。
兎に角、何時までもギルドのエントランスで話すのはやめよう。
俺はナイジェルを引っ張って、ギルドを出る。適当な酒場に入り、話しを聞いた。
「ナイジェルが迎え?」
「ああ、そうだ。 他にもいるけどな」
王都の騎士団と、伯爵の騎士団で合同演習をするらしい。
その迎えに、ナイジェルと数名で王都まで来たそうだ。今は王都の騎士団と合流して、エセックスの城に戻る途中だ。
ナイジェルは、その帰りに俺を連れて来るよう言われたと話した。
『旅は安全なものになる』
手紙の最後にそう書いてあったのが、頭を過ぎった。
騎士団一行は、物資の調達に今日一日街に留まる。
ナイジェルに、明日の朝には出発するぞと告げられた俺は、急いで準備を始めた。騎士団に囲まれて馬車での旅だ。
ここからエセックスの城までは、八日程だろうか。比較的安全だと思う。
もしモンスターに襲われたとしても、跳ね除ける位の力をナイジェルは持っている。騎士団の実力は知らないが。
予想外の事が起こらない様、精霊に教えてもらいながら進ませてもらおう。
俺はブレスレットを指で触りながら、ギルドの宿舎で眠りについた。
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