日間ランキング1位に入りました。
なんて事でしょう。嬉しいを通り越して、胃が痛いです。
まだまだ初心者ゆえ、拙い部分も沢山あるかと思います。
ゆっくりかもしれませんが、精進して行きたいです。
これからもよろしくお願いします。
誤字脱字、表現の変更・工夫に関しまして、2013/03/21の活動報告にて触れますので、もし気になった方がいらっしゃいましたら、確認お願いいたします。
「支部長、推薦したいBランクのパーティーがいます」
俺は覚悟した。
今更ワイバーンに卵を返した所で、どうにもならない。ならば討たなければ、俺だって被害にあうかもしれない。
きっとこのワイバーン戦が終われば、ある程度の事情を話さなければならないだろう。
「鑑定士」スキルの事は、遅かれ早かれいつかバレるだろうと思っていた。
このスキルが戦闘に有効であれば、俺は何が何でも隠し通しただろう。
戦力になるならば、いずれ逃げられない日が来る。
「誰だいそれは。 あんた、分かってて言ってんだろうね」
責任が取れるのか?支部長の目はそう言っていた。
「アルフォンスさんとソフィアさん率いるパーティーです」
俺はリストに載っているアルフォンスさん達のパーティー構成を指差しながら言った。
「…なる程ね。 それで、誰が説得しに行くんだい?」
あれ?
思っていた反応と違う。
アルフォンスさん達は最近この街に来た。
支部長が新顔のパーティーを把握しているとは思えないし、アルフォンスさん達はギルド登録してからまだ日が浅い。
絶対に死なせる気かと反対されると思ったのに。
そうなると、時間も無いから俺のスキルについて話さなければならなくなると考えて覚悟したんだが。
「俺が行きます。 必ず説得してみせます。 被害を食い止めるのに、彼らの力は必ず役に立ちます」
「…いいだろう。 行ってきな」
支部長は厳しい顔をしつつも、俺の目を見て頷いた。
信頼されているんだよな?
気難しい支部長に、そう思われているなら素直に喜ぶべきだろう。
「私は門番の騎士と話しを着けに行く。 もし囲い込みに失敗した場合を考えて、兵士達は動かせない。 援軍は無いよ!」
「分かっています。 ちゃんと伝えます」
ワイバーンの資料を引っ張り出し、アルフォンスさん達の宿へ行く準備を手早く整える。
支部長はこれから街に常駐している騎士と警備の話しをしに行くのだろう。
「ノア」
「はい!」
顔を上げずとも、支部長の強い視線を感じる。
「終わったら色々聞くからね。 覚悟しな」
「……はい」
やっぱり素直に喜べない。
俺は外套を掴んで、まだ肌寒い外へ飛び出した。
「アルフォンスさん!」
宿に着くまでに、俺は資料を流し見て、ワイバーンの特徴をおさらいした。
アルフォンスさんはまだ起きていた。
此処はアルフォンスさん達が泊まる宿のロビーだ。
彼は突然の訪問に驚いていたが、直ぐに事情を飲み込んで頷いた。
「分かった。 僕らも向かう」
「ほ、本当ですか?」
余りの即決即断に、少し戸惑う。
ソフィアさんや他のメンバーに確認取ってませんけど?
「大丈夫だ。 とりあえず急がないといけない。 皆を起こして装備を整えるから」
「ギルドの馬車を用意しています。 こちらで出来る限り、必要そうなものは乗せておきました」
「そうか、助かる」
アルフォンスさんは、いつもの笑顔ですごく自然体だ。
逆に焦っていた俺が、その姿勢を見て落ち着いてきた。
「ワイバーンの資料です。 後は共に戦ってもらう事になるパーティーの特徴を簡単にまとめておきました」
「そう言えば、ワイバーンと戦うのは初めてだ。 ありがとう。 参考にするよ」
伝えるべき事は伝えた筈だ。俺は何か忘れてはいないか、頭の中を探る。
「なあ、ノア君。 ひとつ聞いても良いかな?」
「……あ、はい。 何か用意する物があれば言って下さい」
いけない。ぼんやりしてしまった。
「いや、装備は充分だよ。 なんで僕達を推薦したんだい?」
「それは……ええと」
アルフォンスさんは苦笑いをして、責めている訳では無いと言った。
むしろ討伐は望んでいる事なので、推薦して貰えなかったら自分達から名乗りを上げていたとも。
「ああ、ソフィアがね。 何かが近付いているのを感知したんだ」
街に必要以上の混乱をもたらさない様、情報は規制されている筈だが、分かる者には分かるのだろう。
俺も他とは手段が違うけれど、悪いものが近付いてくるのを知ったし。
「困らせてしまったかな?」
俺が言いよどんだので、アルフォンスさんは身を引いた。
「強いと思ったからです」
ソフィアさん達を起こしに行こうとしたアルフォンスさんの背に向かって言う。
半身、こちらに振り向いたアルフォンスさんに今度はハッキリと言う。
「推薦した理由は、アルフォンスさん達が強いと思ったからです」
「そう」
アルフォンスさんは笑っていた。いつもと違って、少し怖かった。
やれる事はやった。
それでも不安が体の奥の方から上ってくるのを止められない。
翼のある魔物が、突然街に現れる事はたまにある。
それでも鳥や爬虫類系のモンスターが精々だ。まさか竜が出るなんて。
今回は例外中の例外だった。
問題のワイバーンの卵は、先発で向かったAランクパーティーの馬車に乗せた。
なるべく街から遠ざけながら、討伐者におびき寄せる作戦である。
ギルドに戻ると、宿舎で寝ていた非番の職員達も起きてきて、後詰めの為に対応していた。
もしもに備えてBランクパーティーに声を掛けたり、避難経路の確認をしたり、やる事は沢山ある。
ブレスレットに反応は無い。
避難を知らせる警報も鳴らない。
「大丈夫だよな」
俺はひたすら作業に没頭する事にした。
夜が明けた。
静かなギルドに朝日が差し込む。
俺は窓口に座り、ジワリと痛む眉間を押さえた。
正面玄関が音を立てて開かれる。
「ノアさん、帰って来ましたよ!」
「いま行く!」
兎に角走った。
気が急いて、足が絡まる。
馬車はすぐそこまで戻って来ていた。
「アルフォンスさん!」
馬車から降りるのを待たずに、アルフォンスさんに声を掛ける。頭の先からつま先まで何往復も目で確認する。
良かった。目立つ怪我は無い。
「あ、おはようノア君」
「ノアさん。 おはようございます」
「え? あ、おはようございます」
後から降りてきたソフィアさんも、怪我は無い様に見える。
怪我が無いと言うか、汚れひとつ見えないんだが。
いきなりの挨拶に面食らったが、これまでの心配が爆発した俺はアルフォンスさんに矢継ぎ早に質問する。
「お怪我はありませんか? 他のパーティーは? ワイバーンはどうなりました?」
二人は大丈夫だと俺を落ち着かせる様に笑う。
ワイバーンはあっさりと彼らが討伐したらしい。
死者はいない。
怪我人はいるが、死んだ者はいないとアルフォンスさんは言った。
一気に力が抜けた。
他のパーティーはワイバーンの死体の処理に当たっており、後から来るそうだ。
へたり込みそうな俺に、後から来た支部長がチョップをかました。痛い。
馬車から、これまで姿を見せなかったアルフォンスさんのパーティーメンバーが降りてきた。
「ギルド支部長、彼女らは先に宿に戻らせますが、いいですか? 顛末は僕とソフィアが話しますので」
メンバーは三人共、フードとマントで身を包んでいて怪我の有無は分からない。
どこか庇うような仕草は無いので、大きな怪我は無いようだが。
「良いでしょう。 ノア、アルフォンス殿を三階の会議室へ案内して」
「はい」
二人に、お絞りと清潔なタオルを渡す。
汚れを簡単に払って貰ってから、俺は二人をギルド内へ案内した。
「飲み物をお持ちしました。」
「入りなさい」
案内の後、俺は飲み物を用意してから再び会議室に戻って来た。
軽くノックをして、支部長の返事の後、扉を開ける。
素早く三人の前にコップを置いて、退室しようとしたが、支部長に引き留められた。
「アルフォンス殿がアナタをご指名よ。 座りなさい」
嫌な予感。
ワイバーン討伐の詳しい話は知りたいが、聞きたくない事まで聞かされそうだ。
「何でしょう?」
「その前に、僕らの正体についてノア君に言っておく。」
「正体?」
今すぐ出て行きたいのですが。支部長をチラリと見るが、首を振られた。諦めろ。そう言う事か。
「僕は、アニマ王国の騎士だった。今は王の命により、冒険者として各地を回っている。」
予感的中である。
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