ランキングの力すごいですね。
読者様の感想で気が付きました。
見て下さっている全ての皆様にありがとうございます。
諸々とんでもない数字に跳ね上がってます。
嬉しい悲鳴です。
焦らず、このままのペースで進めて行きたいと思います。
アルフォンスさん達と知り合ってから、幾日か過ぎた。
毎回会っている訳ではないが、アルフォンスさんは毎日のようにギルドに顔を出して、次々と依頼をこなしている様だ。
ランクが上がるには、討伐や依頼を一定数成立させる必要がある。
ソロとパーティーでその数は異なるが、アルフォンスさん達ならそんなに掛からない内にAランクに上がるだろうな。
内容的な功績も審査の対象になるし、ギルド支部長から認可を得なければランクは上がらない。
もちろん本人達が望まなければ、自動昇進はしない。
国としては、優秀な戦力はいくつ持っていても困らないので、ランク上位者が増えるに越した事は無いだろうけど。
そう言えば、ユージンの同郷のやつらを最近見ないな。
この街を離れたのだろうか。
物資の流れも安定していて、治安も良い。拠点にするなら、とても良い街だと思うんだが。
アルビオン王国アルブス。
五大国の中でも大きい国だ。面積的にも、豊かさに置いても、トップクラスである。
アルブスの街は、アルビオン王国の交易の中心である。
その東の外れに、俺の所属するギルド支部はある。
更に東に進み、幾つかの街を越えると、おじさんの治める土地に入る。
エセックス辺境伯と言う名の通り、そこより先は人が住まない辺境。人と魔の物の境目である。
一番魔物の被害を受ける場所で、暗黒期には文字通り、最後の砦となった。
まあ、エセックスの領地を出たからと言って、そこがすぐに魔物の蔓延る場所になる訳ではない。
領地の境目に明確な線引きは無く、荒野が続く。
「フィンブルの一年」の前には、獣人の住む村なんかもあったが、今は荒れ果てたままだ。
荒野の切れ目から、大きな森が広がり、魔物しかいなくなる。
テラ・モルス(死の土地)と呼ばれ、それは暗黒期が来る度に徐々に広がっていく。
俺がエセックスの土地を離れてアルブスにいるのは、魔物の進行が始まればすぐに知る事ができ、被害が来るまでには時間が掛かるからだ。
小心者と言われても、俺はこのスタンスを変えようとは思わない。
命あっての、なんとやら、だ。
今日は珍しく夜勤である。夕方から昼番と交代して朝までギルドに詰める。
夜勤の職員が風邪をひいたので、俺が入る事になった。
夜勤には夜勤でギルド職員がいて、昼とは違って男性職員しかいない。
窓口は基本的に閉めている。
駆け込みの依頼やモンスター討伐の情報変更を処理したりはするが、利用者との契約は無い。
夜勤の窓口は、事務が主な仕事だ。何事にも例外はあるが。
昼番の時も、空いた時間で書類仕事はしている。
俺の場合は、処理しきれなかったアイテム鑑定所の書類がだいたい回ってくる。
ありがちな話しだが、こんな世界だから識字率は高くない。ムッスだって、少し前まで簡単な文字は読めたが書けはしなかった。
そう思えば、ムッスの努力を評価して、少しくらいの手伝いならやってやろうと思う。
ムッスも、商人の娘であるマリーが入ってからは、楽になったと言っていたが。
なんだか面倒そうな書類の束をめくる。
「アルフォンスさんのパーティーか……」
その束丸ごと、アルフォンスさん達関係の書類だった。
内容を見る限り、この短期間でかなりのアイテム数を売り払っている。手に入る場所もバラバラの物ばかりである。
普通ならば、自分達の装備を改めるのに、必要なものは懐に入れる。
全てを現金化するのも冒険者は好まないし、物価は日々変わるものだ。高い時に売るのが普通である。
つまりアルフォンスさん達は、装備をグレードアップする必要が無く、資金も充分にあると言う事だ。
金持ちの道楽にしては、討伐のペースが速過ぎる。
パーティーメンバーにエルフがいるのも謎だし、まだ会っていないが、他のメンツもきっと普通じゃなさそうだ。
何が目的か全く検討もつかないが、あまり関わりたくないな。
アルフォンスさん達への距離感を確認しつつ、国に報告する用の書類をまとめていると、手首に付けたブレスレットが熱くなった。
これは俺が考えた、精霊との連絡用アイテムだ。
見た目はただのオシャレアイテム。使っている石も特別レア度が高いものではない。
しかし、精霊が媒体にするには充分だ。
周りに媒体にするものが無い時、周囲に感づかれずに俺に知らせたい事がある時は、石を通して警告してくれる。
俺は立ち上がり、トイレに行くふりをして外に出ようとしたが、それより先に支部長が飛び込んで来た。
厄介事に違いない。
支部長は、腰を浮かした中途半端な体制の俺を睨む。
見た目も中身も、バリバリのキャリアウーマンである。
支部長の鋭い眼光が、アンダーフレームの眼鏡の奥から飛んでくる。怖い。とっても。
女の支部長は珍しいと思う。男の窓口係が言うのもなんだけど。
「ノア、あんた何処へ行く気だい?」
「エ、エマ支部長。 どうされました?」
誤魔化すように笑うが、鼻で笑われた。
俺がたまにコソコソしているのを知っていて見ない振りをしてくれている。
まあ、それがギルドに不利益では無いから深く突っ込んでこないだけだろうけれど。
本当にこの人勘が良すぎて嫌になる。スキル持ちなんじゃないのか。
「まあ、いい。 非常召集をかけるよ。」
「何ですって?」
ポカンとする俺を睨み付けて、支部長ははっきり言った。
「ワイバーンが飛来する。 市街地戦になる前に撃ち落としたい。 街に滞在しているAランクパーティーをすぐ叩き起こすんだ!」
ワイバーンが本当にこの街に降り立てば、相当な被害が出る。
支部長の言葉がすぐには飲み込めなかったが、無意識下で頭の中の上位者パーティーリストをめくっていた。もはや職業病である。
マズい。今アルブスを拠点とするAランク以上のパーティーは四組しかいない。Sランクは該当無し。
四の内のひとつは、遠村に出かけたばかりで、今から呼び戻してもどうなるか分からない。
もう一組は怪我人が増えたので、長期の療養に入っていてバラバラな筈だ。
参戦するとしても、パーティーでの戦力は期待出来ない。
二組でワイバーンを相手にするのはキツい。
普段ならもっと上位者パーティーがいるはずなのに、時期が悪い。
もうすぐアルビオン王国の首都で闘技大会が開かれる。
トップランカー達がお互いの力をぶつけ合う、伝統ある大会だ。
一番に輝けば、褒美も貰えるし、王と直接言葉を交わす名誉を手に入れる。
国力の証明にもなるし、国を挙げてのお祭り騒ぎとなるのだ。
「支部長、Aランクパーティーは『グランシャリオ』と『フリューゲル』しか今は動かせませんよ!」
「何だって?」
流石の支部長も、顔色を変えた。すぐに闘技大会の事を思い出しだのか、強く舌打ちした。
Aランク以上のパーティーには、通り名がつく。それで大体通じる。
支部長は素早く、他の職員に指示を飛ばす。
二つのパーティーが滞在する宿へ向かい、事情を説明して対応する様に言いつけた後、俺に事情を確認してきた。
今度は滞在者を管理する実物のリストを見ながら、説明する。
パーティーだけでなく、ソロもチェックしたが、同じ理由から数は少ない。
ソロでも、パーティーと違って連携の問題がある。どのくらい戦力になるか分からない上、足を引っ張りかねない。
俺は従軍経験のある傭兵を何人か選び、その内性格的に連携に向いた者を支部長に推薦する。
支部長は特に質問したりせず、別の職員に再び召集の指示を出した。
ギルドはこういった不測の事態が起こった時、規則に則って、ギルド登録者を強制的に召集できる。
今回の場合、パーティーならば強制的に討伐に当たらせる事が出来るが、ソロならば選ぶ事が出来る。
ワイバーン相手ならば、市街地に入れる訳にはいかない。兎に角火力のある魔法で撃ち落とし、地上で徐々に力を削る戦術をとるしかない。
中途半端に傷を付け、怒り狂うワイバーンが街に入って猛威を振るえばどうなるか。
頭が痛い。
Bランクパーティーを何組か呼んで囲い込めば、どうにかなるだろうが、死者も出るだろう。
それが分かっていても、俺達は、いや支部長は決断を下さなければならない。
「本当に、この街に向かっているのですか? 通り過ぎるのではなく?」
「間違いない。 馬鹿な密猟者がワイバーンの卵を盗んで持ち込んだ」
夕闇に紛れる様に、密猟者達はこの街に入ったが、アルブスの優秀な門番の検閲に引っかかった事で、事態が発覚。
ワイバーンは匂いを辿ってこの街に真っ直ぐ飛んできているらしい。なんて事だ。
「門の監視を行っているスキル持ちが言うには、あと二時間もしない内に到達するだろうと」
思ったより時間は残されていない様だ。
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