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【秘密保護法案】 「世界の潮流に背く」 ツワネ原則に注目集まる


 政府が特定秘密保護法案の成立を急ぐ中、 世界各国の専門家がつくった、情報アクセスの権利に関する「ツワネ原則」が注目されている。秘密の範囲を制限する必要性や監視機関の設置、ジャーナリストや市民を処罰しないことなどを規定。識者は、この原則を引き合いに「法案は世界の潮流に背いている」と指摘している。

 21日夕、東京の日比谷公園。反対集会に詰め掛けた市民らを前に、海渡雄一(かいど・ゆういち)弁護士が法案を厳しく批判した。「国際基準に照らして全く失格だ。あらゆる点でツワネ原則に沿っていない」
 ツワネ原則の正式名称は「国家安全保障と情報への権利に関する国際原則」。安全保障や人権の専門家ら70カ国500人以上が、2年間にわたる計14回の会議を経て、今年6月に南アフリカ・ツワネで発表した。

 国家には秘匿すべき情報があることを前提に50項目で構成されており、秘密保持の在り方や人権とのバランスを具体的に規定している。

 ツワネ原則は、秘密の範囲や指定期間を「防衛計画、兵器開発、情報機関で使われる情報源など狭い分野で合法的に情報を制限できる」「必要な期間に限るべきであり、無制限であってはならない。最長期間は法律で定めるべきだ」としている。

 法案では、特定秘密の対象は防衛、外交、スパイ活動防止、テロ活動防止の4分野。条文は抽象的で「その他」との文言も多数あり、拡大解釈される恐れがある。上限5年の指定期間は延長可能。与野党の修正協議では「最長60年」としながら、7項目の例外もあるとしている。

 衆院国家安全保障特別委員会の参考人質疑で、ツワネ原則を取り上げた上智大の田島泰彦(たじま・やすひこ)教授は「国の安全を著しく脅かす必要最小限度の情報を特定秘密とすべきだ。法案は全く違う方向であり、秘密が際限なく広がる恐れがある」と話す。

 処罰対象でも違いは明白だ。ツワネ原則では「ジャーナリストや市民は秘密を受け取ったり、公開したりすることで処罰されるべきではない」と明記しているが、法案では公務員以外も最高懲役10年が科され、漏えいの共謀、教唆、扇動も罰せられる。

 修正協議で取り上げられた第三者機関に関し、ツワネ原則は「全ての情報にアクセスできる独立した監視機関を設けるべきだ」としている。しかし、法案には一切規定がなく、修正協議の結果、付則に「監視機関の設置検討」を盛り込むことにしている。

 田島教授は修正協議について「どうやって秘密指定の妥当性をチェックするのかという一番大事な観点が全くない」と非難。その上でこう指摘した。「ツワネ原則は報道の自由、知る権利と国の秘密をいかにして調和させるか、英知を絞ってつくられた。秘密が永久に公開されない恐れもある法案は、世界的に見て恥ずかしい」

 国会では福島瑞穂社民党副党首が20日の参院特別委でツワネ原則に言及。安倍晋三首相は「特定の民間団体が示した一つの参考意見として存在する」と素っ気なかった。

 (共同通信)

2013/11/22 11:36

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コメント

安倍さんはアメリカの諜報機関が自分を盗聴してなかったのが、よほど悔しかったんやろね。「これで日本も(諜報の対象になるような)秘密が持てるようになる、どや!」って…。

■関連記事 → 日経電子版 2013/11/23 《国連、秘密保護法案に「重大な懸念」 人権高等弁務官事務所》
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2204C_S3A121C1PP8000/

投稿者 一条@横浜 : 2013年11月25日 10:24

秘密保護法案の廃案をお願いします。日本は資源のない国です。日本が外国に輸出できるものは、アニメなどを初めとする文化です。そのことにより、持続可能な経済発展が可能となります。言論の自由のない国に遊びに来る外国人は激減すると思います。共同通信を初めとする報道の皆様、私たち国民の力になってください。本当に私たちは困っています。

投稿者 塚田 初美 : 2013年11月23日 20:59


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