巨人・矢野、代打の心得は「こだわらない」
夕刊フジ 12月14日(土)16時56分配信
【プロ野球実況中継】巨人がハワイで優勝旅行を満喫しています。今年の立役者に、代打で19安打という球団新記録をマークした矢野謙次選手(33)も加えてあげたいところです。
代打率・358、得点圏打率・349という数字に原監督も「代打の神様」と絶賛していました。さらに彼は2006年以降、故障していた08、09年以外は毎年3割以上の代打率をマーク。10年(・444)と11年(・417)は4割を超えていますから驚異的です。
代打の心得を聞いてみたら面白い答えが返ってきました。「ルーティンワークにこだわらないこと。極端にいえば打撃練習をしなくても、他人のバットでも打てるって気持ちでいます」
一流選手には朝起きてから試合まで行動パターンを決めている人が多い気がしますが、「代打はいつ指名されるかわからない。試合の流れは読むし準備万端で行けばベストですが、突然行けってこともある。どんな状況でも力を出し切るためにルーティンにこだわってちゃダメなんです」。
そんな彼の今年一番の反省は日本シリーズ第7戦。0−3とリードされた9回、エース田中を相手に2死一、三塁のチャンスで代打出場、フォークボール3球で空振り三振〜試合終了。連覇の夢が潰えた打席でした。
「具体的にいえませんが待ち球が違いました。田中投手個人との対決ばかり頭にあって状況判断ができていなかった」
彼は直球を待っていた。でも優勝を目前にした田中投手は自分のスタイルを貫くより、裏をかくフォークで勝負したということでしょうか。
優勝旅行では「家族サービスが最優先」と話していた矢野選手ですが、今年ご子息は小学校に入学、野球を始めたそうです。「三振して帰ると『バカヤロウ、なんで三振したんだよ』って怒るんですよ」。何ともキツい一発ですが「『ごめんね、パパもっと練習して打てるようになるからね』って謝ってます。いい訳は野球を始めた息子のためによくないですから」。彼のパワーの源の一つに触れた気がしました。
「僕は代打のプロフェッショナルになりたいわけじゃない。代打で数字を残してスタメンで使ってもらいたいんです」。首脳陣の胸に彼の思いが届くといいのですが。
■松本秀夫(まつもと・ひでお) 1961年7月22日生まれ、東京都出身。早大卒、85年ニッポン放送入社。スポーツ部アナウンサーとして「ショウアップナイター」の実況などを担当。2005年ロッテ優勝決定の試合での号泣実況のほか、数々の名言がある。
最終更新:12月14日(土)17時23分
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