首都圏ネットワーク

12月13日放送
交差点の右折事故を防げ 新たな取り組みの成果は

NHK横浜 五十嵐 圭祐
NHK横浜
五十嵐 圭祐
後を絶たない交差点での事故。
神奈川県警察本部は、交差点の事故の中でも特に防止が難しいとされる、右折する車両が関係する事故を無くそうと、全国でも珍しい取り組みを行い、このほどその成果を発表しました。
交差点の事故の現状と、新たな取り組みを取材しました。
川崎市宮前区の交差点です。
ことし11月、右折しようとしたトラックが反対車線を直進してきたオートバイと衝突し、オートバイに乗っていた男性が死亡する事故がありました。
神奈川県内では、ことしに入って11月までに交差点での人身事故が5000件以上に上り、このうち4割近いおよそ2000件は、右折車両が関係する事故でした。
神奈川県警察本部交通規制課の堀井健警部補は「右折車両と対向の直進車両、または横断歩行者、すべて青信号で進行していても、事故が起こる可能性があるという、交通事故を抑制するのに非常に難しいことが特徴です」と説明します。
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事故が多い理由は、右折車は対向車線を直進してくる車や、歩行者が通り終わるのを待って、タイミングを見計らって曲がらなければならないためです。
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このような状況を改善しようと、従来は右折専用の車線や右折用の矢印のある信号を設けるなどして、事故の防止を図ってきました。
しかし、こうした方法では道路を広げることなど、対策には費用も時間もかかりました。
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そこで神奈川県警察本部は、県内4つの交差点で、新たな取り組みを始めました。
手前の車線の信号は青ですが、対抗車線の車は赤信号で、すべて止まっています。
横断歩道の信号も赤です。
右折する車が、対抗車や歩行者と交差することはありません。
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実際に車に乗って、交差点を右折してみます。
いまこちらの信号は青です。
反対車線は赤で止まっています。
注意は必要ですが、対向車が来ないために、これまでよりもスムーズに右折することができます。
この交差点では、取り組みを始める前まで平均して年間8件の人身事故がありましたが、ことしは11月まで2件にとどまり、中でも右折車両が関係する事故は、ゼロとなっています。
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ドライバーに話を聞くと「安心して運転できますね。やっぱり右折怖いですから」「右折するときに、陰からオートバイが出てきたりする。出会い頭の事故がなくなるのは、安全になったと思います」と、好意的な反応がかえってきました。

この取り組みを始めるにあたって、心配されていたのが渋滞です。
上りと下りの赤信号を交互に出すと、交差する道路の分も含めて赤信号の回数が多くなり、信号の待ち時間が長くなってしまうためです。
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渋滞を緩和したのは、車の交通量を測るセンサーでした。
朝の時間帯は市街地に向かう車線の青信号を長く。
逆に夕方は、郊外に向かう車線の青信号を長く。
その時々の道路状況に応じて青信号の時間を変えることで、結果的に渋滞を減らすことができました。
交通工学が専門の、東京大学の大口敬教授は「右折車と対向の直進の交錯を無くすということで、安全性で実際に効果も出ているようですし、渋滞が少しでもましになるところが有効と思いますので、その辺をしっかり評価すること、これが重要な課題だと思います」と分析しています。

神奈川県警は、今回取りまとめた成果をもとに、こうした信号の効果が生かせる交差点の選定を進めていて、今後、本格的な導入を進めることにしています。

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