北欧デザインの背景

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ルーン文字

-北欧デザインの源流-

 

北欧デザインの基礎になっているのがその厳しい自然環境あると思います。冬が長く、寒い。夏も短く、日照時間も短い。また、天然資源にも乏しい。スウェーデンはキルナなどに鉱山があり、ノルウェーは石油が産出し、石油輸出もしているが、それらを除けば北欧諸国には天然資源が少ない。あるのは森林、木材でした。

さらに北欧デザインの源流は、8世紀から世界各地へ進出していったヴァイキングにあります。高度な航行術と圧倒的な強さでヨーロッパ全域を制圧したヴァイキングは略奪だけがだけではない。航海のための頑丈な船を造るものづくりの技術にも長けていてその木材に対する、貿易にも長けていた。その後ヴァイキングの勢力は衰え、18世紀半ばにイギリスが産業革命を起こし、ヨーロッパの勢力図は変化しました。元々貧しく、厳しい自然環境に置かれた北欧諸国は産業革命に乗り遅れ、近代化にも乗り遅れてしまいました。

 

-国民民主主義とモダニズム-

逆に近代化に乗り遅れたのが、北欧独自の政治・産業の発展を促しました。この根幹にあるものは19世紀に生まれた「国民民主主義」という考え方だ。これは貧しい暮らしの中でも、出来ること、身近にあるものを活用し、皆で協力していこうという思想です。さらに第二次世界大戦後、経済復興をしようにも人口が少ないので労働力が足りない。

そこで女性の社会進出が促され、家事は男女平等。その家事を支える食器や台所用品などの日用品は、機能的だけれども生活を彩るものであってほしいという視点で作られて、現在の"北欧デザインプロダクト"につながる製品が生み出されました。

さらにもう一つ近代的なデザインという側面では北欧家具のデザインはドイツに色濃く影響を受けています。1920年代以降、ドイツの美術学校バウハウスや建築家ル・コルビュジエなどに端を発するモダニズムの波は、北欧各国にも届きます。

デザイン界におけるモダニズムというのは、工業製品や建築の合理性を追求し、生産効率と機能の向上を目指す運動のことで、20世紀前半の工業化とともに世界中に広まってくのですが、その合理性を追求するという主題は豊かな伝統や地域色が失われてしまうことになってしまいました。

このような合理性の追求と工業化の広がりにたいして北欧デザインは、モダニズムを消化しながらも、それを北欧の生活感覚や伝統的なデザインと融合させることに成功しました。ソファなどのデザインもこのころから少しずつ変わってきました。それにより、ベッドやソファベッドの種類が増えていくことになります。

もともとあった、質素倹約の精神に、あらかじめ合理志向が含まれていたということも原因だったのかもしれません。ともあれ、この過程を経て独自のスタイルが洗練されていき、1950年代前後にそれまで多くの優れた家具デザイナーが現れて、北欧家具の黄金時代が到来することになるのです。

-北欧デザインの確立-

近年では、『IKEA』や『マリメッコ』などの北欧雑貨・インテリアが日本でも人気のスタイルになりつつあるように感じます。ビビットカラーをつかっているのにうまくレトロ感をかもしだしている北欧雑貨はどこかぬくもりを感じ、スタイリッシュさも備わった新しいジャンルとして確立しています。

製品の素材も、木材など身近にあるものを使う。そのデザインの背景には、北欧の厳しい自然環境があり、ヴァイキングの時代から続いているものづくりの技術・精神があった。そのものづくりの環境を支えているのは、国家やデザイナー、デザイナーを支える職人たちだけではありません。「日用品」として使い続ける北欧諸国の人々は大きな存在です。

戦後、アメリカで北欧デザイン製品がヒットしたそうですが、そのヒットを牽引したのが、19世紀にアメリカへ移住した北欧諸国の人々がとりあげたことにあります。

祖先の祖国のモノを使う。モノがつなぐ歴史と国と縁。北欧のデザイン製品は人の心に訴えかけるものを持っているのではないでしょうか。

 

 

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