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-1950年代に起こったキッチンの改革-
戦後、時を経て徐々に物資が豊かになり、また人々の生活も向上していく1950年代を境にデザイン性に優れたテーブルウェアやシルバーウェア、カラフルなテキスタイルなど、北欧のキッチンや食卓を華やかに彩るアイテムが続々と登場するようになります。さらに女性の社会進出に伴い、女性の台所での手間を省くキッチンアイテムへの需要が高まり、例えばホーロー鍋は、調理してそのままテーブルに出せるようにと華やかなデザインが施されてくるようになりました。
そしてデザイン性と合せてスペースの限られた住環境に合わせてテーブルウェアにも収納力や汎用性が重視されるようになります。アラビア社のデザイナー、カイ・フランクは「ディナーセットを粉砕せよ」との言葉を掲げて、従来の大袈裟なディナーセットに代わるシンプルでモダンなテーブルウェアを「キルタ」シリーズを提案します。のちにキルタはフィンランド家庭のスタンダードとなっていきます。
スウェーデンのテキスタイルデザイナー、アストリッド・サンペが、それまでの真っ白なリネンに代わってカラフルなテキスタイルで家庭を彩るよう呼びかけたり、フィンランドでも1950年代にはテキスタイル産業が黄金期を迎え、デザイナー達は可愛らしいイラストのキッチンクロスやテーブルクロスなどを続々発表しました。またプラスチック製品が普及し始めたのもこの時代で、カラフルで面白くポップなプラスチックアイテムもテーブルに華を添えました。こうして北欧のキッチンは才能あふれるデザイナープロダクトが次々に生まれていく場所になり、発信基地となりました。
北欧では1950年代は、より使いやすいキッチンのために人間工学的な研究が進んだ時代でもあり、「家庭研究所」なる期間も存在して、棚や調理台の高さなど台所の規格ができ始め、使いやすく機能的なキッチン作りに国をあげて取り組んでいたのです。ちなみにフィンランドにも「家事能率協会」という機関があり、同様の研究が行われています。