1票の格差:高裁那覇支部「参院選は違憲状態、無効棄却」

毎日新聞 2013年12月17日 20時18分(最終更新 12月17日 20時21分)

 「1票の格差」が最大で4.77倍だった7月の参院選は、法の下の平等を定めた憲法に反するとして、沖縄県の弁護士が沖縄選挙区の選挙無効を求めた訴訟の判決で、福岡高裁那覇支部(今泉秀和裁判長)は17日、「違憲状態」と判断した一方、無効請求は棄却した。弁護士グループが14高裁・高裁支部で起こした同様の訴訟の一つで、そのうち違憲状態の判断は5件目となった。原告側は即日上告した。

 今泉裁判長は「現行の仕組みを維持しながら投票価値の平等を図るのが困難なことは明らか。にもかかわらず、定数の『4増4減』にとどまっており、著しい不平等状態だった」として違憲状態と認定した。議員1人当たりの有権者数が最少の鳥取選挙区と沖縄選挙区の格差は2.30倍だった。

 一方で、最高裁判決が違憲状態と判断して都道府県単位の定数配分見直しに踏み込んだ2012年10月から参院選まで約9カ月しかたっていないと指摘。参院が制度改革を協議し、16年の次期参院選で導入する方針を示した点を評価し「見直しには相応の時間を要する」として無効請求は退けた。

 14高裁・高裁支部での訴訟で判決が出たのはこれで6件。「違憲で、選挙は無効」とした広島高裁岡山支部判決(今年11月28日)以外は全て「違憲状態」の判断となった。同支部判決は最高裁が制度改革を求めた09年9月の判決から、参院選までの約3年9カ月、十分な是正措置を取らなかったと指摘していた。

 原告の林朋寛弁護士は判決後の記者会見で「裁判所は国会に甘いと感じる。何度もこうした裁判を起こされていること自体、国会は恥ずべきだ」と批判した。【山本太一、平川哲也】

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