性同一性障害:最高裁決定に自民部会「評価の声なかった」

毎日新聞 2013年12月17日 21時13分(最終更新 12月17日 21時22分)

 自民党法務部会は17日、性同一性障害のため女性から性別を変えた夫と、その妻の長男を「嫡出子」と認めた最高裁決定への対応を協議した。出席者からは「(かつて女性だった)夫には生殖能力がない。現行の民法の規定を適用するのは無理がある」などと決定への異論が相次ぎ、新たな事例に対応するための法整備を来年の通常国会で行う方針を決めた。

 最高裁決定(10日付)は、性同一性障害のため性別を女性から男性に変えて結婚した人について、第三者の精子により妻との間に生まれた子どもを法律上の子と認定。現実の夫婦関係を重視して「妻が婚姻中に妊娠した子は夫の子と推定する」とした民法の「嫡出推定」を適用し、今の法律の枠組みで「子」と認める判断を示した。

 一方、現行法は、第三者の精子による人工授精▽第三者からの卵子、受精卵の提供▽カップルの卵子と精子を体外受精させて第三者に産んでもらう代理出産−−について、親子関係を規定する明確な基準がない。こうした事態を踏まえ、同党の「生殖補助医療に関するプロジェクトチーム」が法制定を準備しており、今回の最高裁決定を受けて民法改正も含めて検討する。

 自民党の大塚拓法務部会長は部会終了後、「決定を評価する声はなかった」と記者団に説明。家族の定義を拡大する法整備・法改正には党内保守派の反発が見込まれ、最高裁決定の位置づけを巡り議論を呼ぶのは必至だ。【横田愛】

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