パート従業員に月170時間の時間外労働、社員の約7割を係長職以上の「名ばかり管理職」に――。厚生労働省が17日公表した5千余りの企業・事業所への調査結果からは、法令を無視して若者らに過酷な労働を強いる「ブラック企業」の実態が浮き彫りになった。
ある企業では社員の7割程度の従業員を係長職以上の管理職扱いにし、残業代を支払っていなかった。うち半数程度は20代で、労働基準監督署が立ち入り調査して職務内容や権限、勤務実態を確認したところ、労働基準法が定める「管理監督者」に当たらないと判断。改善を指導するとともに、残業代計約120万円を支払わせた。
別の企業では20代の正社員から、9月の無料電話相談で「月150時間の残業をしている」との情報が寄せられ、立ち入り調査。タイムカードなどを調べたところ、正社員で最大月84時間、パート従業員で同170時間もの残業をしていた人が見つかったという。
厚労省は過労死の認定基準を「発症前1カ月間におおむね100時間の残業」か「2~6カ月間に月80時間を超える残業」としている。
1年近くにわたって従業員に賃金が支払われていない悪質なケースも。8カ月間、賃金をもらえなかった20代の元従業員が労基署に訴え出て法令違反が発覚し、この従業員以外にも最大で11カ月にわたって賃金が払われていなかったことが判明した。未払い額は計約900万円に上り、労基署の指導にも応じる見込みがないため、送検を視野に調べている。送検した場合、社名を公表する。
今回は、離職率が極端に高いと疑われる122事業所も立ち入り調査した。このうち86%に当たる105事業所で何らかの法令違反を確認した。厚労省によると、2010年春に大学を卒業して就職した人のうち、3年以内に仕事を辞めた割合は31%。若者を定着させる環境が整っていない企業も多いとみられる。
こうした状況を踏まえ厚労省は今年度から、積極的に若者を採用・育成する企業を認定する「若者応援企業宣言」事業を始めた。労働関連の法令順守や過去3年間の新卒者の定着状況の開示などが条件で、10月末までに4375社を認定した。
厚生労働省、ブラック企業、残業
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