トップページ政治ニュース一覧防衛計画の大綱と中期防 閣議決定
ニュース詳細

防衛計画の大綱と中期防 閣議決定
12月17日 19時5分

防衛計画の大綱と中期防 閣議決定
K10038898811_1312171228_1312171303.mp4

政府は17日の閣議で、防衛力整備の指針となる「防衛計画の大綱」と、今後5年間の「中期防=中期防衛力整備計画」を決定し、海洋進出を強める中国の動きを踏まえて、離島が侵攻された場合、速やかに上陸し奪回する能力を整備することなどを打ち出しています。

大綱では、北朝鮮の核・ミサイル開発を「重大かつ差し迫った脅威」とするとともに、海洋進出を強める中国について、「不測の事態を招きかねない危険な行為を引き起こしている」と指摘しています。
このため、日本の能力を強化することを前提に、日米の防衛協力の指針・いわゆるガイドラインの見直しを進め、日米同盟の抑止力を強めていくとしています。
そのうえで、民主党政権が3年前に示した機動的に部隊を展開する「動的防衛力」に代わる基本的な考え方として、陸海空の自衛隊の統合運用と部隊の機動性をより重視した「統合機動防衛力」を掲げ、「防衛力の『質』と『量』を必要かつ十分に確保し、抑止力や対処力を高めていく」としています。
この具体化に向けて、大綱と中期防では、海洋進出を強める中国の動きを踏まえて、離島が侵攻された場合、速やかに上陸し奪回する能力を整備するため、陸上自衛隊に「水陸機動団」を新設して、水陸両用車52両を導入するとともに、護衛艦や戦闘機などを増強するとしています。
また、機動展開能力や警戒・監視活動を強化するため、新型輸送機オスプレイ17機、無人偵察機3機を調達するほか、大砲を積んでタイヤで走る機動戦闘車99両を整備するとしています。
さらに、「北朝鮮の弾道ミサイルの発射手段への対応能力の在り方を検討し、必要な措置を講じる」として将来の敵基地攻撃能力の保有に含みを持たせています。
中期防では、こうした防衛力の整備に、今後5年間で24兆6700億円程度が必要になるとしたうえで、防衛予算の総額を23兆9700億円程度とし、不足する7000億円は、防衛省が調達コストの削減などで捻出し、確保するとしています。

日本独自が全面に

17日閣議決定された「国家安全保障戦略」や、「防衛計画の大綱」について、安全保障が専門で、拓殖大学海外事情研究所の川上高司教授は、「国家安全保障戦略の中で、中国に対する抑止力に言及する一方、アメリカに配慮して、中国と事を荒だてないようにしており、非常にバランスの取れた内容だ」と指摘しています。
そのうえで、「従来の日本の防衛戦略は、アメリカの戦略があって、それから日本の戦略を組み立ててきたが、今回は、防衛計画の大綱で、まず日本が戦略を示し、それからアメリカの戦略とすり合わせ、日米同盟を強化するとなっている。特に日本独自の防衛力をまず打ち出したことが大きい」と指摘しています。

外交と防衛のバランスを

17日閣議決定された「国家安全保障戦略」や、「防衛計画の大綱」について、安全保障が専門で、流通経済大学の植村秀樹教授は、「外交と防衛は安全保障政策の2つの柱だが、今回、防衛に力を入れる一方で、外交については、中国や韓国との関係が冷え切っているのが現状だ。今後も外交に進展がなければ、力に頼る安全保障政策になる可能性が懸念され、東アジアの軍拡競争を招かないよう外交と防衛のバランスを考える必要がある」と指摘しています。
そのうえで、「きょう閣議決定された政策だけでなく、特定秘密保護法や、集団的自衛権を巡る議論の行方を合わせて考え、日本の安全のためになるのか、それとも日本に対する近隣諸国の不安をあおることになるのか考える必要がある」と指摘しています。

背景に安全保障環境の変化

新たな大綱で、離島防衛の強化を打ち出した背景には、日本を取り巻く安全保障環境の変化があります。
大綱が初めて策定されたのは昭和51年です。
当時は東西冷戦のさなかで、侵略を抑止する観点から「基盤的防衛力」という考え方が示され、必要最低限の節度ある防衛力を整備するとしていました。
このときの大綱は、その後19年間、改定されませんでした。
平成16年の大綱では、北朝鮮が弾道ミサイルの開発を進めていることなどを踏まえ、新たな脅威に対応する必要性が強調されました。
民主党の菅政権が策定した3年前、平成22年の大綱では、節度ある防衛力の整備という文言とともに、北朝鮮を念頭に機動的に部隊を展開する「動的防衛力」という考え方が示されました。
今回の大綱では、海洋進出を強める中国の動きに強い懸念を示し、民主党政権の「動的防衛力」に代わる新たな考え方として、陸海空の自衛隊の統合運用と、部隊の機動性をより重視した「統合機動防衛力」が打ち出されました。
また、節度ある防衛力の整備という文言はなくなり「防衛力の『質』と『量』を必要かつ十分に確保し、抑止力や対処力を高めていく」という表現が入りました。
政府は、節度ある防衛力の整備は当然のことであり、あえて文言は入れなかったと説明しています。

[関連ニュース]
k10013889881000.html

[関連ニュース]

  自動検索

初の「国家安全保障戦略」閣議決定 (12月17日 12時19分)

防衛予算23兆9700億円で最終調整へ (12月13日 4時18分)

防衛計画の大綱 離島強化を重視 (12月12日 13時47分)

防衛計画大綱に「統合機動防衛力」 (12月12日 4時22分)

このページの先頭へ