黒子のバスケ脅迫:9都府県から脅迫文 捜査かく乱工作か

毎日新聞 2013年12月17日 07時30分

「黒子のバスケ」を巡る脅迫事件の渡辺博史容疑者の自宅を家宅捜索する警視庁の捜査員=大阪市東成区で2013年12月16日午後10時5分、大西岳彦撮影
「黒子のバスケ」を巡る脅迫事件の渡辺博史容疑者の自宅を家宅捜索する警視庁の捜査員=大阪市東成区で2013年12月16日午後10時5分、大西岳彦撮影

 週刊少年ジャンプ(集英社)の人気漫画「黒子(くろこ)のバスケ」を巡る連続脅迫事件で、単行本や関連商品を扱う店舗などに届いた約400通の脅迫文は、9都府県計16カ所の郵便局経由で送られていたことが捜査関係者への取材で分かった。脅迫文から指紋が検出されていないことも判明。警視庁捜査1課は威力業務妨害容疑で逮捕した派遣社員、渡辺博史(ひろふみ)容疑者(36)=大阪市東成区=が捜査のかく乱や足跡を消し去る工作で、警察の追跡を逃れようとしたとみて調べる。

 同課は16日夜、渡辺容疑者の自宅を家宅捜索し、段ボール6箱分を押収した。

 捜査関係者によると、任意提出を受けた約400通の脅迫文を分析したところ、渡辺容疑者の自宅がある大阪のほか、東京▽千葉▽埼玉▽静岡▽愛知▽石川▽兵庫▽福岡−−の9都府県16郵便局の消印が押されていた。定形郵便よりも割安な郵便書簡(切手付きの封筒兼用便箋)が使われることが多かった。指紋は検出されず、逮捕時にリュックサックの中にあった約20通の脅迫文にも指紋は残っていなかった。

 さらに、2012年10月、逮捕容疑となった上智大(東京都千代田区)に対する業務妨害事件の犯行声明とみられる文章が千葉県浦安市のインターネットカフェからネット掲示板に書き込まれたが、それ以外の書き込みは発信元特定が困難な海外サーバーが使われていた。

 渡辺容疑者の自宅マンションの住民によると、同容疑者は約1年前に引っ越してきたという。しかし、今年10月に毎日新聞社を含む報道機関に届いた脅迫文では住んでいる場所について、作者の藤巻忠俊(ふじまき・ただとし)さん(31)と「面識があった頃は千葉市内」と記載。他にも「上智で最初の事件を起こしたときは埼玉」「今はわしが親族名義で借りとる東京多摩地域の賃貸で過ごしとる」−−などと記していた。

 また、複数犯を示唆するかのように標準語の「喪服の死神」と関西弁を操る「怪人801面相」を使い分けていたが、逮捕後の調べには「すべて一人でやった。藤巻さんとは面識も関係もない」などと供述。捜査をかく乱するための工作だったことを認めた。【松本惇、山崎征克、神保圭作、池田知広】

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