その間、数試合で10番をつけた選手は多数いる。古い順にあげると佐々木雅尚、大榎克己、澤登正朗、岩本輝雄、三浦淳宏、高木琢也、中山雅史、久保竜彦、藤田俊哉、田中達也、二川孝広、山瀬功治などだ。いずれも全盛期は巧みなゲームメイクや豪快なシュートを見せた選手たち。10番の価値が重くなったことが判る。
10番をつける選手も期待されていることが分かって嬉しい反面、プレッシャーを感じるものらしい。シーズン前、背番号が10番に変更になったJリーガーに取材したことがあるが、「10番を意識すると自分のプレーができなくなるので、意識しないようにします」と語っていた。
サッカーでの10番はそれほど重いものだが、中には10番にはこだわらず、もらった背番号を自分のプレーで重くしていく選手もいる。オランダの世界的名選手ヨハン・クライフは14番が代名詞。クライフのファンは10番よりも14番を大切に考えているほどだ。また現在、メッシと並び称されるスター、クリスティアーノ・ロナウドは7番にこだわりを持ち、所属のレアル・マドリードでもポルトガル代表でも7番をつけている。
日本でも三浦知良は11番、中田英寿は7番に愛着を持っており(セリエAではパルマ時代とフィオレンティーナ時代に10番をつけている)、ファンもその番号を大切にしている。野球でいえば、長嶋茂雄の3、王貞治の1、イチローの51、松井秀喜の55などに愛着を感じるのと同様だ。
本田は日本代表では攻撃的MFとしては異例の4番をつけている。「4番で点が取れる選手になれば面白いかな、と思って」と語っているように、自分の活躍で4番をファン憧れの番号にしようとしているのだろう。
ただ、今回の要求のように、やはり一番つけたいのは10番だ。とはいえ前述したようにミランの10番はひときわ重い。大きすぎる期待を裏切らないプレーを見せてほしいものである。