ブラック企業調査:労基法違反82%

毎日新聞 2013年12月17日 12時00分(最終更新 12月17日 12時50分)

 厚生労働省は17日、事前の電話相談や情報などを基に「問題がある」と判断した全国5111の事業所を重点的に抜き出して実施した過重労働などの監督結果を公表した。全体の82%にあたる4189事業所で長時間労働や残業代不払いなどの労働基準法違反があったほか、過労死のラインとされる月80時間以上の残業をさせていた事業所も1230(24.1%)に上った。こうした重点監督は初めて。過酷な働き方で若者らを使い潰す「ブラック企業」の実態が浮かんだ。

 それによると、残業させるための協定を結んでいなかったり、協定を大幅に超える長時間労働をさせたりするなど違法な時間外労働が2241事業所(43.8%)であった。不払い残業は1221事業所(23.9%)、過重労働に対して健康障害防止措置を実施していないところも71事業所(1.4%)あった。

 業種別でみると、労働時間の違反割合が最も高かったのは、運輸交通業で56.8%。次いで接客娯楽業が52%だった。不払い残業では、接客娯楽業と建設業がともに37%で最多だった。

 また、ブラック企業の特徴と言われる3年以内の離職率が高い事業所122のうち、86.1%にあたる105事業所で何らかの法令違反があった。

 違法行為が発覚し是正指導を行ったケースでは、正社員に月84時間、パート労働者に月170時間の残業をさせていた事業所もあった。別の事業所では、正社員の7割が係長以上の「名ばかり管理職」になっており、管理監督者だとして残業代が支払われていなかった。管理監督者の半数は20代だった。

 厚労省は是正指導に従わない場合は送検するとしている。田村憲久厚労相は「相談、監督体制を強化し、若者が安心して働ける環境を整え、法令違反には厳しく対応する」と話した。【東海林智】

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