ブラック企業調査:競争激化が背景に 労基法違反8割超
毎日新聞 2013年12月17日 12時03分(最終更新 12月17日 14時28分)
厚生労働省が17日公表した8割以上の事業所で違法行為があるという監督結果は、社会に向かってコンプライアンス(法令順守)を言う一方で、社員には違法な長時間労働や不払い残業を強いるブラック企業のゆがんだ側面を映し出した。
背景には、企業間競争が激化する中で、コスト削減ばかりが重視されたことがある。手をつけやすい人件費に目がゆき、それが違法な形であれ削減が横行している。それを裏付けているのが、過去最悪のペースで推移する過労死、過労自死の労災認定の件数だ。人件費削減が長時間労働を招いており、こうした中で、職業経験の浅い若年労働者が使い潰されている。
注目すべきもう1点は、企業を監視する労働基準監督官の少なさだ。ILO(国際労働機関)基準では、監督官は労働者1万人に対し1人とされる。しかし日本は1.6万人に1人しかいないのが現状だ。監督官を増員しなければ、ブラック企業の監視はままならない。【東海林智】