第三セクター:泉北高速鉄売却で大阪府議会委否決
毎日新聞 2013年12月16日 11時41分(最終更新 12月16日 13時08分)
大阪府南部を走る泉北高速鉄道を運営する府の第三セクター「府都市開発」(OTK)の株式を、米投資ファンド「ローンスター」に売却する議案について、府議会都市住宅常任委員会は16日午前の採決で、賛成少数で否決した。会派として賛成を決めた大阪維新の会から1人が反対に回った。午後の本会議採決で同調者が広がるかは不透明で、可決されるか情勢は流動的だ。本会議で維新から造反者が出れば、2010年4月の結成以来、初めての事態となる。
都市住宅委の採決では、維新の委員長を除き与党の維新6人に対し、公明、自民、民主、共産の野党も6人と同数だったが、賛成の起立をしたのは5人で過半数に満たなかった。造反した密城浩明府議(堺市南区)は記者団に「沿線住民の悲願である値下げを、(ロ社が提示した)『10円で辛抱してください』では賛成できない。自分から会派を離れるつもりはなく、処分は甘んじて受ける」と説明した。これに対し維新幹部は「処分は党紀委員会で検討する」と述べた。
本会議では定数109(欠員4)のうち、賛成は維新(議長を除き54)とみんな(1)だけのため、維新の4人が反対に回るか、7人が欠席すれば議案は否決される。13日の維新議員団総会では、出席54人のうち41人が賛成の挙手をした。しかし堺市など沿線選出の議員を中心に13人は態度を示さず、一部は方針決定後に造反を示唆していた。
OTK株売却は、橋下徹大阪市長が知事時代に「民間でできるものは民間に」との方針で決めた。売却先を決める公募では、ロ社が781億円を提示し、次点だった南海電鉄の720億円を上回った。しかし、提案された乗り継ぎ運賃の値下げ幅が、南海の80円に対しロ社は10円だったため、沿線の堺、和泉両市議会が反発していた。さらに府議会の議論では、「公共交通機関が将来も安定的に事業が継続されるのか」(公明)と外資系ファンドを不安視する声も上がった。【熊谷豪、林由紀子、深尾昭寛】