第三セクター:泉北高速鉄売却 大阪府議会本会議は通過?

毎日新聞 2013年12月16日 13時51分

 ◇維新の会から造反数人? 結党以来はじめて

 泉北高速鉄道を運営する大阪府の第三セクター「府都市開発」(OTK)の株式を米投資ファンド「ローンスター」に売却する議案について府議会は16日午後、本会議で可決する公算となった。会派として賛成を決めた大阪維新の会から数人が反対に回るが、否決となる4人には達しない見通しだ。ただ、本会議で維新から造反者が出れば2010年4月の結成後初めてで、否決こそ免れるものの求心力に影響が出そうだ。

 本会議に先立つ午前の都市住宅常任委員会は、維新から1人が反対に回ったため、賛成少数で議案を否決した。維新の委員長を除き、与党の維新6人に対し、公明、自民、民主、共産の野党も6人と同数だったが、賛成の起立をしたのは5人で過半数に満たなかった。造反した密城浩明府議(堺市南区)は記者団に「沿線住民の悲願である値下げを、(ロ社が提示した)『10円で辛抱してください』では賛成できない。自分から会派を離れるつもりはなく、処分は甘んじて受ける」と説明した。一方、維新幹部は「処分は党紀委員会で検討する」と述べた。

 本会議では定数109(欠員4)のうち、賛成は維新(議長を除き54)とみんな(1)だけのため、維新の4人が反対に回るか、7人が欠席すれば議案は否決される。13日の維新議員団総会では、出席54人のうち41人が賛成の挙手をした。しかし堺市など沿線選出の議員を中心に13人は態度を示さず、一部は方針決定後に造反を示唆していた。

 OTK株売却は、橋下徹大阪市長が知事時代に「民間でできるものは民間に」との方針で決めた。売却先を決める公募では、ロ社が781億円を提示し、次点だった南海電鉄の720億円を上回った。しかし乗り継ぎ運賃の値下げ幅が、南海の80円に対しロ社は10円だったため、沿線の堺、和泉両市議会が反発していた。さらに府議会の議論では、「公共交通機関が将来も安定的に事業が継続されるのか」(公明)と外資系ファンドを不安視する声も上がった。【熊谷豪、林由紀子、深尾昭寛】

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