16号線を走り、ロジャースを横に通り過ぎ、ガレージに入る。
家に着いたのは21時くらいだったかな・・・。
少年は後部座席で眠ったままだったから、そのままにして、家にあがってもらったね。
ガレージから暗い細道を段差に気をつけてと声をかけながらすり抜けて、家に入る。
掃除しておいてよかったなあってこの時ほど思ったことはなかったよww
まるでゴミ箱の中で生活しているような暮らしぶりだったからね。
綺麗にしてることを褒められて照れた。
まあ、後日上辺だけ綺麗にしていた自分が大っ嫌いになったわけだけどね。
二人でソファに座って、少し疲れた身体を互いに預けたね。
君は、不意に「ねね、顔とか触らせて」って言うもんだから、驚いたよ。
よく頑張ってるねって声をかけながら顔を撫でる君に心が温かくなった。
しばらく時間がゆっくりと流れていく・・・。
言葉ならなかった。ただただ心地よさを感じていたよ。
車に残してる少年も気になるし、そろそろ行こうかってことになって、
二人ともまた感傷に浸り、玄関前で抱き合ったね。
君は僕にキスをしてくれた。
一瞬ね、完全に時が止まったよ。
吸い込まれた。
僕は、鞄を持ったままの君から鞄を降ろさせて、ギュと抱きしめた。
強く抱きしめて、君のぬくもりを感じながら、
今の自分は一時の感情に走ってるんじゃないだろうかと自問自答した。
少年のこと、お兄ちゃんのこと、京都。自問自答したさ。
感情的な迸りは一瞬で過ぎ去っていくもの。
それは、その瞬間だけ快感かもしれないが、それはあまりにも君に失礼だと思った。
だから、一時の感情ならこのまま腕を解くべきさと自分に問うていたんだ。
しばらく強く抱きしめていたね。強すぎて苦しかったかもしれない。
そして、僕は一時的な感情なものかと答えを出し、今度は僕から君にキスをしたね。
僕は中途半端な気持ちでキスはしない。
惚れっぽくもないし、手さえも気持ちがなければ握りもしない。
だから、僕から君にした最初のキスは、僕なりの覚悟をもったものだったんだよ。
抱きしめながら、君を守りたいと思った。
だけど、出会ったばかりの君にそんなことを言っても、
きっと唐突過ぎて、気味悪がられても嫌だなあと思ってね。
それで、せいぜい吐いた言葉が「ずっと見ていくからね」だった。
君が「何言うてんのん??ん??」みたいな顔をしたもんだから、それ以上の言葉を添えることもなく、
もっと君のことを色々知りたいって思ってるって言ったんだよなあ。
ますます?マークが広がっていきそうだったのに、
君は涙を拭きながら「ありがとう」と小さく言ってくれたね。
本川越駅まで一緒に行って、運転席を交代して、僕はドアを閉めた。
ドア越しに手を握って、何度も口づけを交わしたね。
もっと僕の気持ちを伝えたかった。
それなのに、なんでだよって思うほど言葉にならない。
だけど、心の中で何度も君に言っていたんだよ。
僕は君を守ると。その飾り気のない笑顔も、そして流れる涙も。
そういうひとつひとつを守っていくよと。
君と眠ったままの少年を見送り、君はハザードを付けてくれて、その後左折していった。
僕は自転車で家路を着いて、君が漬けた梅干しを食べた。
その頃君が川越ICがどこにあるか見失って放浪しているとも知らずにね。
そして、目を覚ませた少年が泣きじゃくったことも知らずに。
本当に楽しくって自然体でいられた旅行だったね。
1泊2日とは思えないほど、本当に濃い旅行だった。これから君といろんなところを回りたいなあって思った。
そして、僕は君に対する気持ちが変化していき、その自分自身の気持ちにも気づいた。
君とずっと一緒にいたい。
この思いが君に届きますように。
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