【小川崇】「一票の格差」が最大で4・77倍だった7月の参院選をめぐり、弁護士グループが選挙の無効を求めた訴訟の判決が16日、名古屋高裁金沢支部であった。市川正巳裁判長は、対象の石川、福井、富山3県の選挙区について違憲の一歩手前の「違憲状態」と判断する一方、請求を棄却した。

 7月の参院選をめぐっては、弁護士グループが全国14の高裁・支部で、47都道府県の選挙区を対象に訴訟を起こしている。判決の言い渡しは、「違憲無効」とした広島高裁岡山支部、「違憲状態」とした広島、札幌、高松の各高裁に続いて5カ所目。

 一票の格差が最大4・86倍だった2007年参院選について、09年最高裁判決は「合憲」としたが、「選挙制度の仕組み自体の見直しが必要」と指摘。さらに昨年10月の最高裁判決は、最大格差が5・00倍だった2010年参院選について「違憲状態」と判断した。国会は同年11月、定数を「4増4減」に是正し、その制度下で今年7月に参院選が行われた。

 原告側は「選挙区間で投票価値が異なる定数配分は、選挙権の平等を保障した憲法の規定に反する」と主張。一方、選挙管理委員会側は、「定数是正で格差は縮小された」などと請求棄却を求めていた。

 3選挙区の選出議員はいずれも自民で、石川が山田修路氏、福井が滝波宏文氏、富山が堂故茂氏。