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【グラニュース】


13年グランパス検証 ピクシー現象の果て<上> 「カリスマ」に甘すぎたクラブ

2013年12月17日 紙面から

川崎戦で、ゴールチャンスを外して肩を落とすストイコビッチ監督=9月28日、瑞穂陸上競技場で

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 名古屋グランパスにとって大きな変革の年となった2013年。優勝という実績とともに多くの課題を残したドラガン・ストイコビッチ監督(48)との6年間が終わり、チームの再建は西野朗新監督(58)に託されることとなった。前監督の元では、練習メニューの軽さや硬直化した戦術が問題になっていた。だが、問題の本質は、1人のカリスマに依存しすぎたクラブの強化姿勢にある。本連載では「ピクシー現象の果て」と題し、その深層にスポットを当てる。

 11月12日、名古屋市内で行われた取締役会で、ストイコビッチ監督の退任が正式に承認された。クラブからの説明には「ブラジルW杯後の日本代表監督への就任を見据えたもの」との文言が含まれたという。

 実際、代表監督に就任する可能性について、日本サッカー協会幹部は「ありえない」と断言する。ではなぜ、事実上の解任があたかもステップアップのように説明されたのか−。そこに、クラブが抱えていた悩みが凝縮されていた。

 ストイコビッチ監督は、選手時代からトヨタ自動車創業家にかわいがられていた。クラブの役員で取締役会にも出席した豊田章男社長とも親交が厚い。2010年3月の開幕前日には、リコール問題の渦中にあった同社長に向けて「勝利をささげたい」と自ら切り出し、喜ばせた。一監督がフロントを飛び越えて築いた親会社トップとの深い絆。この関係はいつしか、クラブが手出しできない聖域となった。

 絶対王制は年々強化されていった。昨年、チーム統括部が交渉を進めていたFWマルキーニョス(横浜M)、MF柏(甲府)、MF山本(札幌→川崎)の獲得提案をはねつけ、独断で同じ東欧出身のMFヤキモフスキーを加入させた。今季始動からは約3カ月間、「プロをめざしたい」という長男のマルコを練習参加させ、練習試合にも起用した。ヤキモフスキーはマルコの友達役は果たしたものの、ピッチ内ではほとんど貢献できなかった。あからさまな公私混同の連鎖。フロントも選手たちも眉をひそめたが、批判は表面化しなかった。

 トヨタ本社を後ろ盾に、ストイコビッチ監督の年俸は契約更新ごとに膨れ上がった。ジュロヴスキーコーチ、ヤキモフスキーらを含めた東欧系人員への総人件費は、年間3億円以上とも言われている。祭り上げたカリスマを「フルサポート」という名目で甘やかし続けたグランパス。軌道修正が必要なことは明白だった。 (宮崎厚志)

 

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