米軍ヘリ不時着:漁業の街にごう音、憤る住民 

毎日新聞 2013年12月16日 23時28分(最終更新 12月17日 01時07分)

不時着した米海軍空母艦載機のMH60S。主翼と尾翼が折れて横倒しになった=三浦市三崎5の二町谷埋め立て地区で、2013年12月16日午後5時45分、田中義宏撮影
不時着した米海軍空母艦載機のMH60S。主翼と尾翼が折れて横倒しになった=三浦市三崎5の二町谷埋め立て地区で、2013年12月16日午後5時45分、田中義宏撮影

 休日は観光客でにぎわう三浦半島先端の漁業の街に突然、ごう音が響いた。神奈川県三浦市三崎の埋め立て地で16日、米海軍のヘリが不時着した。現場近くには住宅のほか、魚市場や漁協の関連施設、水産会社などが点在する。住民は恐怖の瞬間を語った。

 近くで働いていた男性(42)は「『ドスン』『バリバリ』と音がして行ってみると、ヘリが落ちていて、機体の後ろから少し火が出て、ガスのようなにおいがした」と驚いていた。現場から約50メートルの水産物冷蔵会社に勤める女性は「音がして、急いで会社を飛び出したら周囲の人が『救急車』と叫んでいた。町の人にけががなくてよかった」。三浦市三崎2の杉村甫(はじめ)さん(31)は「(現場対岸の)鉄工所で働いていたら、真上を『これでもか』というくらい低くヘリが飛んでいた。まさか不時着するとは」と話した。

 不時着したヘリは米海軍横須賀基地を事実上の母港とする原子力空母ジョージ・ワシントンの艦載機。厚木基地第5空母航空団に所属し、同基地は午後3時31分に事故機から緊急連絡を受けた。

 ヘリはすぐそばの電柱を傾け、周辺を警察と消防の車両が取り囲んだ。三浦市三崎4の海南神社職員、米田光麿さん(73)は「ただ怖いと感じた」と不安そうな様子。無職男性(69)は「中学生の頃にも米海軍のヘリが近くの漁港に墜落した。めったにないが、決してあってはならないこと」と憤った。【田中義宏、飯田憲】

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