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騒音協定抵触 もはや基地閉鎖しかない2012年11月1日 

 もはや、沖縄社会を挑発している、と受け止めるしかない。
 沖縄に強行配備されて1カ月がたつ米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが、日米の「騒音防止協定」で原則的に飛行が禁じられている午後10時を過ぎて、2機が普天間飛行場に降り立った。
 オスプレイ配備強行に加え、海軍兵による集団女性暴行致傷事件への怒りがうねる中、住民生活をかき乱す深夜の飛行が県民の反発を買っている。米軍の無神経さにはあぜんとする。
 オスプレイは連日、ブロックや消火用バケツの宙づり、放水訓練を繰り返し、本島のほぼ全域で住宅密集地上空を飛んでいる。
 沖縄配備の前提だった、住民生活への影響を極力抑えるための「日米合意」は抜け穴だらけで、破綻している。
 形骸化していた騒音防止協定(午後10時から午前6時の飛行禁止)が、軍事優先の運用の歯止めにならないこともあらためてはっきりした。「違反はない」と言い張り、米軍に異を唱えない日本政府の無責任ぶりも際立っている。
 米軍は訓練に県民への配慮を介在させる余地はないと印象付け、諦念を植え付ける意図があるのだろう。それはむしろ逆効果だ。米軍は大きな勘違いをしている。
 オスプレイ配備に反対する首長や県議会議員らによる大要請団が東京に出向くことが決まり、嘉手納町議会は初めて、普天間飛行場の即時閉鎖と無条件返還を求めた。
 配備強行に加え、やりたい放題の飛行を繰り返し、米軍は県民に敵視される環境を自らつくっている。身から出たさびというべきで、その全責任は日米両政府にある。
 米本国で、海兵隊は、住民の安全性や騒音に対する懸念を受け止めて訓練実施を先送りし、文化財上空を飛行経路から外した。イタリアの米軍基地では周辺住民に配慮し、1日の総飛行回数に縛りをかける厳格な運用を貫いている。
 米国や欧州で、沖縄のような住民配慮を欠いた運用ができるはずがない。
 県民の間から、普天間飛行場への電気・水道の供給停止など、緩やかな実力行使を促す声が出始めている事実は重い。しかし、沖縄社会を挙げた抵抗は非暴力を貫きたい。
 配備撤回と合わせ、普天間基地の閉鎖・撤去に重点を置く新たな要求が公然化し始めた。日米両政府は事態の深刻化を真剣に受け止めるべきだ。


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