(朝鮮日報日本語版) 【コラム】韓日関係は1世紀前に逆戻りするのか
朝鮮日報日本語版 12月15日(日)9時46分配信
日本は、1年前に韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領(当時)が天皇の謝罪を要求する発言を行ったことを問題視し、韓日関係を極端な方向へと追いやっている。また「韓国が日本の問題を韓日間に限定せず、他国にも持ち出して世界で日本に恥をかかせようとしている」と腹を立てている。
当時、李明博大統領が天皇の謝罪を要求した際の経緯はこうだ。李大統領は2012年8月14日、韓国教員大学で開かれたワークショップを訪問した際、ある教師から天皇訪韓に関する質問を受けて「韓国を訪問したいのなら、独立運動を行って命を落とした方々の元を訪れ、心から謝罪するのなら来ればいい。痛惜の念などという単語一つ言いに来るのなら、来る必要はない」と答えた。ちょうど4日前の8月10日に李大統領は独島(日本名:竹島)を訪問しており、この発言は、独島訪問への質問に答える過程で出たものだった。
この発言が出た直後、韓国大統領府(青瓦台)のスタッフや当局者は非常に当惑した。当時、大統領府のスタッフは「教員大学訪問に外交・安保首席や政務・広報首席などは同行しておらず、李大統領がそんな発言をするとは全く予想もできなかった」として、李大統領の発言は「偶発的」「暴発」だったと語った。大統領の発言への言及としては、強い表現だ。当時、一部の報道によると、独島訪問に対する世論の反応が前向きだったことから李大統領の気分は高揚しており「あえて言わなくてもいいことまで言った」という。李大統領自身も、2カ月ほど後に訪韓した麻生太郎元首相に「そういう意図ではなかった」と釈明に努めた。
ということなら、当時の李明博大統領の発言は、韓国政府内部で話し合われ、合意され、計画されたものではなかっただけでなく、李大統領自身にとっても一種の「ハプニング」のようなものだったと見てもおかしくない。こういう事情にもかかわらず、日本は1年が過ぎた現在までこの発言を問題視している。これは、韓国側から見ると、日本政界がこの発言を日本復活に「利用」しているのではないかという疑いを抱かせる。また、李大統領の天皇謝罪要求が朴槿恵(パク・クンヘ)政権にそのまま継承されたという証拠はどこにもない。日本も、韓国を植民地支配したことに関する安倍政権の認識がかつての村山内閣時代とは大きく異なっているように、韓国も、政権や大統領によって異なることがあり得る。ならば今回のケースも、現政権の態度を確認することが先ではないのか。
実際、韓国人は、内閣が変わるたびに違うことを言って混乱させる日本の「ゲーム」にうんざりしてきた。そのため、政権ではなく「国」の声を聞きたいという思いがあり、国の元首となる天皇(原文ママ)の「意思表示」で過去にけじめをつけたら、と考える面がある。ある意味当時の李大統領の発言も、そういう心境の延長線上から出てきたものだということを、日本側が理解してくれればと思う。日本は、官房長官の公式な論評の中で、韓国人にとって至高の英雄といえる安重根(アン・ジュングン)を「犯罪者」と呼ぶ報復的な発言を行った。韓国人は過激な反応は示さなかった。日本人の誰かを指して「戦争犯罪人」と呼ぶことはしなかった。韓国人は今「倍返し」に遭っている気分だ。
日本の一部インテリ層や高級官僚は「韓国が慰安婦問題など日本の植民地時代にあったことを、国際的に広めようとしている」として、これを日本たたき、日本に恥をかかせる動きだと解釈して不快に思っているようだ。特に、朴槿恵大統領が海外で日本の歴史認識に言及することに不満を抱いている。韓国がこうした問題を韓日間で解決しようと努力したのに、日本が最後まで背を向けたことは、日本側も承知の事実だ。韓国は、この問題をむやみに国際化しようとしたわけではない。韓国人の立場から見れば、韓国と密接な関係がある問題を国際的な舞台に引っ張り出しているのは日本だ。最近、自衛隊の集団的自衛権の概念を拡大し、その場合に最大の潜在的被害者になるかもしれない韓国を差し置いて、米国など西側諸国でこの問題を国際化・ブロック化しているが、これこそ日本の独善だ。韓半島(朝鮮半島)有事の際における自衛隊の韓半島進出が議論される場で、優先的に韓国と相談し韓国の理解あるいは同意を求めるどころか、米国などをバックに付けて威勢を示すかのような日本政府の態度は、率直に言って、100年前の大日本帝国時代を連想させる。
現在の日本は、少なくとも韓国に関する限り、大韓帝国の皇帝を廃位して皇后を殺害し、あまたの韓国人に塗炭の苦しみを味わわせたという原罪を、都合良く忘れてはならないのではないだろうか。たとえ、今の韓国から多少過激な発言が出たとしても、正しい歴史認識のある日本人なら、そのくらいはやり過ごすのが道理ではないか。無論韓国も、昔の被害を永遠の債務にする発言や行動に出るのは決して成熟した態度ではないこと、そうした発言などは今や国際社会の一員に加わる国・国民・指導者にふさわしいものではないことを、熟知することが望ましい。互いに「自分の方が偉い」と誇示し、ねたみ、争うのではなく、隣同士互いに尊重し、競争し、共生する関係に向かうことが、今の韓国と日本に対する時代的な要請だ。それでも韓国人は、日本・中国・米国の軍拡競争によって「100年前の韓半島」が再来するのではと恐れながら、事態を見詰めている。
最終更新:12月15日(日)9時46分
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