就任以来、東南アジア諸国との関係強化に力を入れてきた日本の安倍晋三首相が、13日から15日までの日程で東京で開催される「日本-ASEAN(東南アジア諸国連合)特別首脳会議」を通じ、東南アジア諸国とのこれまで以上の結束強化に本格的に乗り出す。
1967年に設立されたASEANには現在、フィリピン、シンガポール、タイ、インドネシア、ブルネイ、ベトナム、カンボジアなど10カ国が加盟している。安倍首相は今年1月のベトナム、タイ、インドネシア訪問を皮切りに、すでに加盟10カ国全てを訪問するなど、ASEAN諸国との連携に力を入れてきた。安倍首相は12日午前には首相官邸でマレーシアのナジブ首相と会談した。今回の特別首脳会議で安倍首相は本格的な中国けん制に乗り出している。日本はかつてASEAN諸国と首脳会談を行う際、韓国と中国も含めた「ASEAN+3」という形を取ってきた。ところが今回は「日本とASEAN友好40周年記念」を口実に、韓国と中国は招待しなかった。
安倍首相は今回の首脳会議を通じ、ASEAN諸国向けに通貨スワップの拡大を含む複数の経済支援策を発表する予定だ。現在、日本はインドネシアと120億ドル(約1兆2400億円)、フィリピンと60億ドル(約6200億円)規模のスワップ協定を締結しているが、この規模を今後2倍ほどに拡大する方向で検討を進めており、さらにタイ、シンガポール、マレーシアとの通貨スワップ協定も復活させる方向で検討している。かつて日本はタイと60億ドル、マレーシアと10億ドル(約1030億円)、シンガポールと30億ドル(約3100億円)のスワップ協定を締結していた。さらに安倍首相はASEAN向けのODA(政府開発援助)拡大の方針についても発表する予定だ。日本経済新聞は12日付で「日本はASEAN諸国における災害対策支援の名目で、およそ3000億円規模の政府開発援助を提供する」と報じた。
今回の特別首脳会議での最も重要な議題は「中国による防空識別圏の設定」となる見通しだ。安倍首相はナジブ首相との会談で、今回の中国による防空識別圏設定に懸念を示し、ナジブ首相も「日本の懸念を理解する」と述べた。安倍首相は中国が近く南シナ海でも防空識別圏を設定することを示唆していることについて「ASEAN諸国に大きな影響を及ぼしかねない」と強調した。
共同通信は12日、日本政府が取りまとめた共同声明の原案について報じ、その中で「公海上空での飛行の自由と安全の重要性」に言及されていることを明らかにした。またフィリピンなどが南シナ海の島々について中国と領有権争いをしていることを念頭に、原案には「航海の自由を保障し、関係する紛争は国際法に基づいて平和的な方法で解決すべき」との内容も含まれている。しかし共同通信は「ASEAN諸国がこの原案にどこまで応じるかは未知数」とも伝えている。安倍首相は今年10月、ブルネイで開催された日本-ASEAN首脳会議でも、中国をけん制する内容が含まれた共同声明を事前に準備していたが、一部の国が中国を意識して難色を示したため、表現が一部修正されていたことが後から分かった。