アングル:米ゴールドマン、原油の鉄道輸送ブームで有利な立場に

2013年 08月 21日 14:45 JST
 
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[ニューヨーク 20日 ロイター] - 世界の金属市場で米ゴールドマン・サックス・グループ(GS.N: 株価, 企業情報, レポート)の果たす役割はこの夏、当局の厳しい監視を受けるようになった。しかし、シェールオイル開発に沸く米国で最も活力あふれた取引の変化のおかげで、ゴールドマンはひそかに恵まれた「最前列」の境遇を享受している。

ゴールドマンは2007年にテキサスのUSデベロップメント・グループ(USD)の株式を取得。同社が全米各地で原油やエタノールを大型貨物列車に短時間で積み降ろしできる多くの専用ターミナルを拡張する際に資金調達を斡旋した。ゴールドマンは以前は少数株主で、非上場会社のために情報開示の対象ではなかった。

USDの社長兼最高経営責任者(CEO)ダン・ボーゲン氏は、ゴールドマンとの定期的な意見交換を通じて、またその財務上の影響力から恩恵を受けてきたという。

ボーゲン氏はインタビューに対し「創造力と企業家精神に富んだ人間が、ビジネスの戦略的特性を理解した聡明な人々と、アイデアをぶつけ合うのは素晴らしいことだ。われわれは彼らの助言を頼りにしており、非常に賢い人々だ。何年も前に投資を受け入れた理由の一つがそれだ」と語った。

確かにゴールドマンのUSDへの関与と、指定倉庫業者メトロ・インターナショナル・トレード・サービシズへの関与には重要な違いがある。メトロは非競争的な行為でアルミ価格を不当に吊り上げていたとして当局の調査を受け、訴訟を起こされた。

ゴールドマンの広報担当者によると、ゴールドマンの商品取引会社のJアロンの100%子会社であるメトロとは異なり、USDに対してはゴールドマンの金融部門とは異なる部門が少数株主となっている。

USDの事業運営において、ゴールドマンが特定の役割を果たしたり、出資比率を超えて大きな利益を得ている兆候はない。

いずれも投資家の資金ではなく自己資金で行ったバランスシート投資だ。

ゴールドマンのUSD株保有比率は2007年の49%から半分以下に低下したが、一般に知られる以上にゴールドマンはコモディティ業界への関心が高く、上場会社の株式保有では最大のメトロやコロンビアの炭鉱会社に対する関心を上回るものだ。

全米の多くの地域では、原油の生産拡大にパイプラインの輸送能力が追い付かない状況となった。鉄道輸送がニッチな動きから米国市場の主流に変わる中で、原則的にゴールドマンは未公開企業であるUSDの株式を保有することで、得難い情報を入手することができる。

<商品現物取引の行方>

民間分野は商業銀行の一般的な投資対象だったが、金融界のコモディティ市場への投資に対し、政府や政治からの圧力はかつてないほど強まっている。中でも金属の指定倉庫などのインフラや現物商品取引にかかわることへの視線は厳しい。

米連邦準備理事会(FRB)の保証を受けた商業銀行が原油タンカーを保有したり、発電所を運営するべきかについて、議会では疑問の声が上がっている。そうした銀行は原油流出や原子力発電所のメルトダウンなどの事故の際に、財務上のリスクを負わなければならないからだ。

銀行は自己資金による全ての投資対象の情報開示を義務付けられていないが、上院銀行委員会では、銀行がどこまで業界に深く入り込んでいるかは情報開示がないためにほとんど分からないという不満が強い。

FRBは9月までに、かつての投資銀行であるゴールドマンに現物のコモディティ部門の所有や事業運営を認めるかを判断しなければならない。広げて考えると、商業銀行に初めて現物のコモディティ取引を認めた2003年の決定を見直すことにもなる。

JPモルガン・チェース(JPM.N: 株価, 企業情報, レポート)など他行は、規制上の圧力やここ数年利益率が低下していることを理由に、商品現物取引から撤退する意向だ。

USDの株式を持つゴールドマン傘下のGSFSインベストメンツ・アイコープもUSDの保有比率を削減した。ただ、時期は現在の議論が起きる前だった。FRBの規則に従えば、ゴールドマンに近い一部門が保有する「商業」投資としての株式保有分は、ゴールドマンが2017年までに売却しなければならない。

テキサス州の公開情報によると、GSFSは2011年に49%の持ち分を33%に削減した。関係者によると、保有比率はその後さらに低下している。

<メリットはどこに>

USDグループは創業20年だが、注目を浴びたのはシェールオイルブームに乗ってエタノール輸送鉄道ターミナルに進出した最近のことだ。

ボーゲンCEOによると、USDが他の投資家の提案を断った後でゴールドマンが株式取得に乗り出した。当時USDは石油業界向けに小規模の鉄道や大規模な運搬用倉庫の整備を計画していた。

ゴールドマンが出資した2007年時点では、ノースダコタ州の原油生産がはまだ急拡大しておらず、USDはエタノール向けターミナルを全米各地に建設している最中だった。

USDはその後、原油の輸送に軸足を移し、5カ所の鉄道ターミナルを建設している。

輸送の要となるこれらの施設の取引の流れに関する情報が分かれば、どれだけの原油が米国内の異なる地域から輸送されてくるかを予測するために情報を探し回っている原油トレーダーは、貴重な洞察を得ることができる。

非効率なパイプライン輸送で提供される大幅に割安な原油は、一方でより高い価格で売れる市場を見つけ出すことができれば、トレーダーにとって魅力的な収益機会をもたらす。

原油の鉄道輸送に関する情報は政府が1カ月後に公表するため特に不透明だ。

どのような情報を基にゴールドマンがUSDへの投資を決めたかは明らかではない。関係筋はゴールドマン傘下のJアロンのトレーダーはUSDのターミナルと輸送契約を結んだことはないし、USDの情報に直接アクセスもできないとしている。

バーゲンCEOは、自分たちがゴールドマンから受けているのと同じようにゴールドマンがUSDとの対話から恩恵を受けているかどうかは知らないとし、「ゴールドマンに聞いてくれ」と語った。

(Jonathan Leff記者)

 
 

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