歌舞伎俳優の中村勘九郎(32)が来年7月、米ニューヨークのリンカーンセンターで「平成中村座NY公演」を開催することが15日、発表された。勘九郎の海外公演は2008年のルーマニア・シビウ以来、6年ぶり。父・勘三郎さんの当たり役の一つだった「怪談乳房榎(かいだんちぶさのえのき)」を務める勘九郎は「父に感謝するとともに、演じられるのを幸せに思います」と意気込みを見せた。
勘三郎さんが、「江戸時代の芝居小屋を現代に」をテーマに、2000年11月、東京・隅田公園でスタートさせた「平成中村座」。その精神を受け継いだ勘九郎が来年7月、海を渡る。
「平成―」の海外公演は08年のルーマニア以来、6年ぶり。米ニューヨークでは04年に「夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)」、07年には「法界坊」と「連獅子」を演じている。初公演の際には、ニューヨーク・タイムズの劇評家に「(映画の)『スパイダーマン2』を超えるスリル」と評されるほどの衝撃を与えた。
今回、上演される「怪談乳房榎」は、勘三郎さんが当たり役としていた演目。菱川重信など3役早替わりや、本水を使った派手な演出が見どころだ。勘九郎が演じるのは今回が3度目となる。
勘九郎は「不安よりもワクワク感の方が大きい。いよいよ決まったという感じですね。このメンバーでニューヨークに行けるのがうれしい」と公演を楽しみにしている。勘三郎さんの当たり役の一つを演じることには「本当に習っておいて良かった。日本人の顔が同じに見えると思うから、3役早替わりの芝居はどうかと思ったけど、向こうの関係者が『この演目でいきたい』と言ったということは、引きつける魅力があるんだと思います」と話した。
勘三郎さんへの感謝の思いは、弟の中村七之助(30)も同じだ。「こんなにも早く、父の残してくれた財産の平成中村座とニューヨーク公演を実現できるなんて。父がくれたプレゼントだと思います」。一方、04年の公演を客席から見ていた中村獅童(41)は「自分も『いつか海外で歌舞伎公演を』と思っていたのでうれしい。勘三郎さんのスピリットを引き継いで演じたい」。初参加を心待ちにする。
公演は来年7月7~12日までリンカーンセンター内のローズシアターで計8公演を予定している。
[2013/12/16-06:05 スポーツ報知]