2位でゴールするユニバーサルエンターテインメントのアンカー中村萌乃=仙台市陸上競技場で(沢田将人撮影)
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◇全日本実業団女子駅伝
▽宮城県松島町中央公民館をスタート、仙台市陸上競技場をゴールとする6区間42.195キロ▽第33回▽15日▽27チーム▽スタート時の気象 曇り、気温3.5度、湿度57%、北北西の風3.0メートル
ユニバーサルエンターテインメント(千葉)は2連覇を達成できなかったが、終盤の猛追で2位に食い込んだ。1区でアクシデントに見舞われ、まさかの13位発進。しかし、5位でタスキを受けたアンカーの中村萌乃(23)が意地の力走を見せ、6区の区間賞に輝いて51秒差を逆転した。デンソー(三重)が2時間16分37秒の大会新記録で初優勝を飾り、前回準優勝の雪辱を果たした。
意地の激走だった。5位でタスキを受けたユニバーサルエンターテインメントのアンカー中村は猛然と追った。あっという間に天満屋、積水、ダイハツを抜き去ると、区間新まであと3秒に迫る区間賞でチームを2位まで引き上げた。
「タスキをもらった時、ピンク(天満屋)がちらっと見えたんです。最低でも3位、なんとしても2位に入ろうと思って走った。走りには納得しているけど、悔しい」。トップのデンソーは2分28秒というはるか先を走っていたが、2位でタスキをうけた積水との51秒差をひっくり返し、前女王の面目を保った。
いきなり1区でアクシデントに見舞われた。スタートして3キロも行かないうちに、昨年この区間で区間新を出した青山がかかとを2回引っかけられ、よろめいた。踏ん張って転倒だけは逃れたが左足首をねんざ。なんとかタスキをつないだが、13位と想定外の展開だ。
全日本の1区といえば一昨年、那須川が転倒して25位に沈み、最終的に10位。魔の1区の再現となり、今年も順位を上げたものの、なかなか流れに乗り切れない。そんなモヤモヤを中村の快走が吹き飛ばした。
「レースは何が起こるか分からない。連覇したら、10連覇ぐらいいくかもしれないと思っていたけど、そんなに甘かないね。(陸上を)60年やってるけど、まだ反省しているよ」と佐倉アスリート倶楽部の小出代表。それでも中村については「力をつけた。そのうち五輪でも活躍するよ。Qちゃん(マラソン金メダリスト・高橋尚子)の2年目より上だよ」と大きな期待を寄せる。
Qちゃん同様、学生時代は全く無名だったが、この2年、佐倉で力をつけ、昨年の2区区間新に続く快走。「駅伝女になってきました」と笑う。新星は、数年後に大化けするかもしれない。 (大塚浩雄)
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