本日(12/14)の「「働く」をデザインする時代に向けた若き有識者による緊急提言−」をライブブロギングで伝えていきます(余力と終電の問題で、全編ではなく、セッション1、2、3のみ。まとめていきます。ラストのYOSHIKIさんの動画は生でご覧下さい)。ニコ生もあり

2020-working | 【2020年の自分へ】−「働く」をデザインする時代に向けた若き有識者による緊急提言−


session 1 『2020年⇒誰もが就活し続ける時代の到来ーこれから失敗しない仕事のデザインとはー』

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リチャードさん:
みなさんこんにちは。アメリカ大使館のリチャード・メイです。世界中で仕事をしましたので、色々な言葉を話せます。が、日本語は苦手です笑頑張って最初の挨拶をさせていただきます。

今回のイベントのテーマは「働く」です。グローバルで働くということだけでなく、より先の未来についても考えていこう、という主旨の番組になっています。

今まさに就職活動で頑張っている方、起業家の方、起業にお勤めの方などなど、すべての人に楽しんで頂ける内容になっているかと思います。ここから約5時間にわたるディスカッションをお楽しみください。


堀さん:みなさんこんにちは、よろしくお願いいたします。やっぱりこうすごく長めが良いですよね、ここ。今日はクーリエの企画で、アメリカ大使館の方々と一緒に働くことについて考えていきます。

クーリエでは海外で働くことというのをずっと特集している。最新号では「海外で働くのは楽しい!」という記事がある。カリフォルニアで働く日本人に色々聞いた。後ほど現地の方に聞いたインタビューを配信いたします。

今夜のお話はずばり「働く」。つい先日も就職活動が始まりました。このこころは景況感も前向きに見えるが、非正規も増えており、グローバリゼーションの影響も大きい。

働くにまつわるキーワードでいうと「ノマド」とか「シェアハウス」とか、色々ありました。そうした話を叩くような流れもあった。働くという選択肢について、早速パネリストの方々に聞いていきたい。

今日は12人の方にいらっしゃっています。まずは堀江さんからお願いします。最近本も出されましたよね。


堀江さん:
これ(「ゼロ」)は「働く」をテーマにしています。もともと生き方、生きやすい生き方、心の持ちようって何なんだ、という話ですね。いま「常識」になっている就活とかをぶっ壊す方法を議論していきたい。

ちょうどドワンゴが色々やったが、オールアバウトという卑劣な会社が泥を塗るようなことをやった。21世紀型の働き方、想像もしなかった働き方ができると考える。そういう未来志向の話をしていきたい。


堀さん:つづいて城繁幸さん、お願いいたします。ニッポンのジレンマで格差の話などをしましたよね。

城さん:
ジレンマを追放された者同士、頑張りましょう。(会場笑)

今までの日本の戦後の働き方、労働観は特殊だったと思っています。採用のときに何の仕事をしますか、という契約を結ばずに働くのは日本くらい。配属されるまで何をするかわからない。

これからの働き方は「我慢しないこと」だと思う。昔は我慢してもリターンがあった。これからは満足しないまま終わってしまうこともあると思う。


堀さん:続いて経済ジャーナリスト、木暮太一さん。新刊も出されていますが、どのような考え方があるのでしょうか?

木暮さん:
ぼくの場合は働く側のマインドを変えないといけない、と考えています。色々な悪条件で働き、苦しんでいる人もいる一方で、本気になっていない、一生懸命になれていないがために、結果的につまらない状況に陥っている人がいるんじゃないか、と。

資本主義のルールとして、結果を出さなければ評価されないというのがありますよね。それが前提じゃないと、声を大きくしても、聞き届けられない。まず前提を理解した上で、どうした方が良いかを考えた方がいいと思う。


堀さん:最後に、日本仕事百貨のナカムラケンタさん、よろしくお願いします。

ナカムラさん:城さんの「我慢しない」というのがピンと来た。自分で積極的に仕事を選んでいって、楽しんで働くのがいいと思う。

堀さん:ナカムラさんにとって働くとは、どういう意味ですか?

ナカムラさん:働くとは、自由になることだと思う。自由は責任も伴うけれど、積極的に選んでもいい、という意味もある。そういう自由が好きですね。

堀江さん:日本仕事百貨、めちゃくちゃいいですね。これめちゃくちゃ広がったらいいですね。これ、ビジネスモデルとかあるんですか?

ナカムラさん:求人広告です。掲載している人がお金を払う、というかたちですね。成果報酬ではなく、フラットに料金を頂いています。

堀さん:何社くらい出ているんですか?

ナカムラさん:新規に20〜30件増えている、という感じですね。ガンガン増やすというよりは、微増を続けていくかたちにしたい。

堀江さん:こういうの求めている人たちいっぱいいると思いますよ。


堀さん:ここで視聴者のみなさまに、ワークライフバランスについてアンケートを取りたいと思います。/*ニコ生の機能を使ってアンケートを取っています。

堀江さん:ぼくはこの概念に否定的で、ワークライフバランスって何なんでしょうね。ワークがマイナスの意味を持ってますよね。

ナカムラさん:個人的にはオン・オフの切り替えはあまり好きではない。ぼくらのサイトも「生きるように働く」。仕事も生活もミックスしていきたい。


堀江さん:新卒って何なんですか。この概念がむかつくんですが。

堀さん:新卒のスパイラルに入れなければ、ドロップアウトしてしまうというのがありますよね。

堀江さん:いやいや、そもそもドロップアウトしてないでしょ。人生にレールなんてないんだから。あっちがレールなのかな、と思ってそれに従って動いているだけじゃないですか。

堀さん:新卒採用は市場になってしまってますよね。

堀江さん:早くぶっ壊した方がいいですよ。

木暮さん:ぼくは堀江さんの意見に賛成なんですが、それが壊れたときの姿が見えないとも思う。

堀江さん:
随時採用をすればいいんじゃないですか?卒業したら働くというのではなく、インターン、安月給のバイトですよね。勉強をやりながら、グラデーションでいいんじゃないですかね。

起業も選択肢ですし、これからはむしろ起業した方が楽じゃないかな、とも思う。変革の時期。大企業というのは環境に対応できずばたばたと倒れていく。中小企業は小回りが利く。

いちばんダメなのは「小利口」な人ですね。光通信の村上さんという方が教えてくれた言葉。中途半端に頭がよくて、先のこととかを考えちゃう人。起業してうまくいっている人は、バカと天才しかいない。

:うまく行っている人は、半分以上バカですね。後先考えられないから、リスクも考えられない。


堀さん:自分で選択ができる人材になるためには、どうすればいいんでしょうね。脱・小利口になるために。

堀江さん:過去にとらわれず、未来に怯えず、今を生きよう。計画を立てない、という考え方です。5年後の計画を教えてください、と言われるが、計画なんてないです。上場したときもそうだった、わからないですよ。ベンチャー企業の予定なんて。

堀さん:伊藤譲一さんが「地図を捨ててコンパスを持て」と言われていますよね。

堀江さん:IT企業ですらそれができてないですよね。今から5年前、行けてたのはmixiじゃないですか。今は見る影もないじゃないですか。その次で田野がGREE、DeNA。今はLINEとかガンホーとか。レガシーな日本企業は対応できてなくて、いつ潰れるのか、という話になる。


堀さん:ナカムラさん、どうでしょうか?

ナカムラさん:ぼくはバカタイプでしたね。会社を辞めたときは、一応計画があったが、今思い返すと無計画な感じ。スポーツをしている感覚が近いでしょうか。練習はするけれど、試合中は今どう打ち返すか、という感じじゃないですか。

堀江さん:すごいそれわかります。起業した当初、事業計画書を一応書いたけれど、投資家から「こんなのいらないよ」と言われた。売上予定先の9割はダメだった。


堀さん:城さんいかがでしょうか?

城さん:ぼくは起業に対してはどちらかというと慎重です。何やったらいいかわからない人が大半です。そういう人はまず組織に入って、専門性を身につけ、ビジネスの種が見つかったら考えればいいのではないか、と思います。

城さん:3年か5年、真面目に働く。ネットに啓発されて成長できると思ってベンチャーに行った、茂木さんに影響されて勘違いして大学に行かないでいいんだ!という人がいる。一生懸命やってから見えてくるものがあって、それから辞めればいい話です。


木暮さん:独立してみたら大したことがないと気づいた。やってみたら大したことがなかった。ただ、誰もがそういう状態かというと、まだまだ君は早いよね、という人は確かにいる。なんとなく独立をしてしまうと、何をやったらいいかわからない。それではいけないと思う。何を商売にして何を売るのか、というラインが必要ではないか。

堀江さん:ホントに必要ですか、それ。なんで会社にいないと見つからないんですか。

木暮さん:収入源が断たれてしまうじゃないですか。

堀江さん:バイトでもすればいいんじゃないですか?収入が大事なんですか?

木暮さん:追い込まれたらよくないじゃないですか。

堀江さん:追い込まれたらよくないんですかね?堀さん、今シェアハウスなんですよね。家賃いくらですか?

堀さん:5万円です。

堀江さん:独立後すぐは大変そうでしたもん。半年後は売れっ子じゃないですか。

城さん:すぐにNHKやめていたらうまく行っていないと思いますけど。

堀江さん:
それは下積み原理主義ですよ。よく寿司屋とかでも10年やんないとダメだとかいうけど、東南アジアとかに輸出している人いるじゃないですか。彼ら修行してないじゃないですか。

下積みをまったく否定するわけじゃないんですが、みんな下積みが必要だと思い込んでますよね。だから言っているところもあります。


堀さん:改めて、アドバイスのようなものはありますか?

堀江さん:後先考えずに飛び出せと。よるヒルズにいって、Liver邸に行けばいいんですよ。駆け込み寺みたいなところがあるんですから。

堀さん:今までは一人で生きなければいけない、頼ってはいけない、という考え方がありましたね。

堀江さん:人に助けを求めることは恥ずかしくともなんともないですよね。

城さん:
ぼくはいきなり飛び出せということは言わず、凡人向けに言いたい。何をしたらいいのかわからない人は、飛び出してバイトするなら、会社に勤めながらバイトすればいいんですよ。余暇を作って何かをすればいい、と。

こうすればもっと儲かるんじゃないですか?というのが見つかった段階で次を考えればいい。これが凡人にとっての道なのではないか。


木暮さん:とりあえず目の前にあることを一生懸命やることが大切なんじゃないでしょうか。「将来一旗揚げてやる」とうだうだやっている暇があるなら、今に注目して仕事をするべき。

堀さん:わがままな社員になってもいいかな、と思う。これはやりたくない、こうした方がいいんじゃないの?と伝えてしまう。

堀江さん:フェイスブックとかが出てきて、よくなりましたよね。興味があるところに参加して、色々なことに唾を付けることができる。パズドラやっている暇があるんだったら、何かに参加した方がいい。世の中には面白い事が満ちあふれている。

ナカムラさん:何も考えずにナビサイトに行って、という人が多いですよね。ハプニングを起こして、人と繋がって、色々な働き方があることを「知る」のが大切だと思う。あぁ、こんな人が、こんな生き方があるんだなぁ、と。


堀江さん
インターネットに出会ったときに、会社とか儲けとかより、インターネットを広めることがやりたかった。バイト先でネット関連の仕事をはじめたとき、ITゼネコンから上司が突然やってきた。ぼくITゼネコン大嫌いなんですよ。百害あって一利なし。最悪の連中です。

まぁそういう人たちが来てですね、新卒採用して促成栽培して送り込んで人月いくら、という送り込みをしている。システムエンジニアなる人たちはプログラムを書かない。プログラマーは下請けで別にいたりする。設計だけしかやらない、意味がわからない。

まぁそういうのがあって、こんなところにいたらやばい、と仕方なく自分の会社をつくった。

私には無理だ、と夢を諦めてしまっている。理想とする自分があるはずなのに、見えないことにしてしまっている。


堀さん:冒頭に新卒採用の話があったが、労働システムの改善という点では、城さんいかがでしょうか?

城さん:短いスパンで見直しができるようになれば、色々な可能性があると思います。大企業は追い出し部屋をやっている。東大早稲田慶応出ているオジサンたちが、個室でずっとやっている。「第二の人生をやってみてはどうだね?」「考えさせていただきます。」誰も本音を言っていない。すごく無駄ですよね。


堀さん:続いて会場&ニコ生から質問を受付します。「人柄ってどこまで大事ですか?」「協調性は?」。堀江さんどうでしょう。

堀江さん:
協調性なんていらないですよね。周りと同じことしてたら、そりゃだめですよね。違うことを考えないと。日本の司法制度と教育制度は明治以来変わっていない。要は富国強兵。運動会で整列して軍隊式の行進をするじゃないですか。

みんなで一緒に頑張って伸びていこうよ、と。激変の時代には人と同じことやったら損になる。行列も満員電車も、同じことをしたら苦しいわけですよ。空いている日に有給を取ればいいのに、しないでしょ?


堀さん:教育を変えていくことは重要だと思います。城さんは何を言おうとなさったんでしょうか?

城さん:小学校のとき、男の子ってウンコしたらウンコマンって言われるじゃないですか。あれも協調性を求めるがゆえなのかなぁ、と。

堀江さん:学校なんて行かなければいいんですよ。別にいいことなんて何もないんですから。なんかいいことありますか?

ナカムラさん:ぼくは行った方がいいと思っています。考え方が近い人と出会う機会は濃くなっている。学校とか成人式とか教習所とか行くと、多様な人がいることを知ることができる。

ナカムラさん:強制的に一緒になると、相手のことを知る機会になると思うんです。

堀江さん:たしかに、2週間ならそれもいいと思う。知るだけなら学校である必要性はないですよね。学校でなければできないことってなんでしょうね。

ナカムラさん:強制的に同じ学校、というのは素敵だと思っている。混ざるような、ノイズのようなものを取り入れる機能があるんじゃないか、と。

堀江さん:そういう機能もあるが、弊害があるんだと思うので別の場所を作った方がいいのでは。

堀さん:教育の討論をしたことがあるが、ある方が、受験勉強は「抑圧」として機能し、それがあるからこその爆発的な創造性が生まれる、という話をしていました。


堀さん:最後にみなさんにフリップを書いてもらおうと思います。「仕事のデザインで失敗しないために必要なキーワード」はなんでしょうか。これで締めくくりたいと思います。

ナカムラさん:「ボキャブラリーを増やす」。閉じこもっているよりは、色々な世界をしって、何か自分がピンと来るな、というものをやってみる、を繰り返すしかない。そのためにはボキャブラリーを増やすことが最初のステップだと思う。

木暮さん:「毎日行動」。最後のテーマと逆行するようですが、デザインとか頭で考えようとすると失敗すると思う。毎日行動することで徐々に見えてくるものがあると思う。

城さん:「出会いも面白い事も足下に転がっている」。出会いがないのではなく、気づいていないだけ。いきなり辞めても、そういう人は気づけない。まったくないということはありえないと思っています。

堀江さん:
「好きなこと」。好きなことだけやればいいと思う。今はソーシャルメディアとかクラウドファンディングが出て来ているので、やりたいことができる環境になっている。

リアルな生活がロングテールになってきている。テールの方で、十分に生計が立つようになってきている。だから、好きなことやった方がいいんじゃないの?と。

イヤな仕事をイヤイヤながらやっているからダメなんです。やんなきゃいいんです。やらなきゃいいんです。今ある暮らしをイヤなことだと思って精神を病みながら、というのがおかしい。助けを求めて、頼れば、生きていける。

湯浅さんみたいな人と話すと、助けを求められない人がいる、という話になる。そのくらいはやれよ、助けくらい求めろよ、と。

イヤな仕事がロボット化されたり、給料が高くなるんですよ。みなさんトイレ掃除したくないでしょ。トイレ掃除をする人がいなくなったら給料は高騰します。だから、ロボットを導入することが合理的になる。ロボット化できないからやらないのではない。


session2 『アベノミクスがもたらすのは女子革命!?ー2020年の女性立国しごと論 ー』

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堀さん:お待たせしました、ここからは第二部です。「女性の活躍」というキーワードで討論を進めていきたいと思います。日本経済復活のエンジンとして、女性に注目が高まっています。世界的に見ても、日本は女性が活躍していません。ではパネラーのご紹介です。

横田さん:女性社長300人ほどのコミュニティを運営しています。女性起業家たちは元気ですよね。女性社長と大企業のマッチングするイベントを来月運営予定です。

林さん:ロフトワークの林です。先ほどのパネルで地図ではなくコンパスを、という話がありました。伊藤とワインを飲みながら、来年の方針について①予測しない、②実践する、③今想像できないことをしたい、という話をしました。これはウェブサイトにも載せたが、大きな反響がありました。

堀さん:クリエイティブな環境を自分で作らないといけないですよね。伊藤譲一さんの言葉だと、「ベンチャーの感覚というのは、崖からたたき落とされて、地面に落ちるまでの間に飛行機を組み立てて脱出する」という話が印象的でした。

林さん:
実はわたし、スピード感については違う考え方をしている。13年掛かっている。多くの会社からここはうまくいかない、と言われつづけてきた。起業当初、「お嬢さん、MBAも取っていない人間が成功できる世界じゃない」と言われて泣きながら帰った。

林さんすごくゆっくりにやっているぶん、だからこそ楽しく仕事をできている側面がある。成長、成長だとやりたいことに加えて、成長のためにやりたかったことがやらなきゃいけないこと、に変わっていく。


仲さん:Wantedlyの仲です。

堀さん:Tシャツが岡本太郎ですね。

仲さん:なんで岡本太郎が好きかといえば、いいことを言っているんです。ひとつは「どんなに頭が悪くてもお金がなくても、素直に悲しむしかないじゃないか」。これは社会人二年目くらいに読んで来るわー、と響いたんです。

仲さん:いやいや頑張っても、あなたには、あなたにしか与えられていないギフトがある、という考え方ですね。もう一個は割愛しますがそんな感じです。

堀さん:続いて小林さんです。何を伝えたいと思っていますか?

小林さん:一番に思ったのは、女性の働き方を語る時に、女性だけでやってしまうのはよくないよね、ということを伝えたいですね。女性という枠で括ってしまうのはどうかなぁ、と。


堀さん:横田さんは起業家を支援している立場ですよね。女性たちが起業しようと思う、何かやろうと思う、その現状についてはどんな課題を認識していますか?

横田さん:女性の方が自由奔放なのか、男性に比べて若く起業する人、人脈や資金が不足した状態になっていることが多いですかね。リスクをあまり冒さず、スローに着々と起業する人も増えています。仲さんはガンガンやっている方だと思いますが。

仲さん:頑張ってます。起業してみて…若いうちは男女関係ないので攻めてみればいいんじゃないでしょうか。

堀さん:wantedlyはそもそもどんなサービスなんでしょうか。

(イケダ注*)仲さんよりwantedlyの説明。「既存の就職活動はお見合い結婚のよう」という言葉に対して、林さんから「お見合いの方が実はうまくいんですよね」というツッコミ。

林さん:wantedlyを否定するわけじゃないんですけど(笑)ロフトワークは2万人くらい応募が来るんです。採用枠は5人。何も始まっていないのに、採用した人がすぐにやめてしまった。新卒採用は難しいということに気づいて、「折り紙付き採用」というのをやっています。

堀さん:その前にwantedlyの説明を終えてからにしましょう(笑)

仲さん:(笑)wantedlyでは、会社に遊びにいくことができます。まずは遊びにいって、話を聞く。場合によってはインターンで入ったり、採用されたり、話が盛り上がったり。

堀さん:林さんの話に戻りましょう。

林さん:
「折り紙付き採用」は、社員がその人を推薦し、一緒に手紙を出す。すると、社長面接一回だけで入社できる、という試みです。折り紙で入った場合はボーナスが出る、という仕組みにもなっています。

それとは別に、ジョブというかワークというかで印象が違うよね、という話になった。ワークデザインというと、自分の人生をどう使うか、という話。ジョブというと、企業から与えられている、という感じ。概念を変えていくことも大切なのかな、と思っています。

小林さん:「デザイン」という言葉からは主体性を感じますよね。終身雇用から、自分の仕事を自分で選べるようになってきている。ジョブというと、我慢してやっている感じがしますよね。


堀さん:こういう話はどうしても、エリート論のようなところから逃れられないかもしれませんね。コメントでも「エリートだからだ!」という声がある。原発ホワイトアウトという告発小説を書いた官僚の方がいた。

彼に「あなたはエリートですか?」と聞いたら「エリートです」と言った。自分たちは社会を変える役割を担う立場にあるからエリートだ、と。だからこそ、エリートとして社会を変えていきたい、と。コメントには「女がエリートになるためには女を捨てないと」というのも来てますね。

小林さん:それはないと思いますけどねぇ。男女の違いはものすごくある。軍需産業に勤めていたこともあるので、男の人は組織が好きだなぁ、と思う。順位がどうとか、そういうのを気にする。軍隊と似ているな、と思う。

堀さん:NHKでも「オレはまだ兵隊だから」というのがありましたね(笑)


小林さん:女性はあまりそういうことを気にしない。給料が下がっても好きなことをやれれば嬉しい。それは会社が固い組織だったので、男のように振る舞わないといけなかったかもしれない。これからはそういう振る舞いをする必要もなくなるのではないか。

林さん:男女差については、教育の面もとても大きいのではないか、と思う。女性の起業家の場合は「1億を目指そう」みたいな話になる。「1兆円企業を作ろう」ではなく。社会的な教育として、女性は小さく地道に、生活もあるし、という刷り込みのようなものがある。

林さん:その結果、社会を変えるエリートが生まれないという側面があるのではないか。

横田さん:母数の問題もあるでしょうね。女性の企業が増えていけば、大きな会社も生まれていくのでは。

堀さん:でも、女性の起業家で大金持ちの人とかいませんよね。/林さん:ワークショップで「自分の人間関係の構成図を書いてください」と書いたら、男性はほとんど現職の社内の組織図だった。女性は様々なコミュニティを描いてくれた。


堀さん:wantedlyの説明を終えて安心したのか、深く腰掛けていますが(笑)、wantedlyはどういう狙いがあるのでしょうか?

仲さん:
色んな企業があっていいと思っています。それぞれの美学があって、それにそった組織があると思う。私は社会的インパクトの最大化を目指している。ひとつのサービスで実現するのがカッコいいと思っているんですね。

仲さん:wantedlyをどういう世界観で作るかということに関しては、先進国の20〜30代の人たちは物質的に満たされていて死の危険が少ないわけです。お金よりも、絆とか、社会貢献とかを考えている。そういった価値観の人たちへの受け皿にしていきたい。

小林さん:この六本木のライブラリも、そういう受け皿にしたかったんですよね。会社を辞めて、首になったとしても、毎日通える居場所があるといいと思って10年前に始めた。若ければ若いほど、社会を変えたがっていますね。圧倒されて、世の中変わっているな、という感じがします。


堀さん:コメントを見ると…。実際ワーキングプアの人たちがいる、格差がある、非正規雇用が増えている。こういう社会的な背景を踏まえて、働く、企業の働き方、どんなアイデアがありますか?

林さん:
これに対する解決は思い付かないけれど、数字のリアリティはどうなのか、というのは思います。ついこの間限界集落について勉強したんですよ。日本の農村の状況は数字で見ると苦しいことになっている。

しかし、熊本大学の先生が「お前ら本当に農村来たことあるのか?」と詰問した。しかし、見える数字だけで「限界集落」を造り上げてしまうと、現状を正確に把握できない。収入100万円でも生き生き働いている人もいる。


堀さん:
メディアの人間からすると…ぼくも5年間過疎地域の近くで働いていた。地域の生き残りをかけた限界集落と、そうでない限界集落とは違います。まったく食えない、という話ではなかったりする。

一方で、都市部の見えない貧困は大きな問題だと思う。働いても働いても食えない、これが200万円以下。そういう格差にあえいでいるのは、男性だけでなく、シングルマザーなどの女性なのではないか、ということは感じる。


堀さん:メディアが伝えるときは誤った印象があるが、この数字に関しては厳しい現実を表していることも確かだと思う。そのような話の流れで、どんなアイデアがありますか?

小林さん:流動性の低さがすべての悪いことの原因のようにも見える。「10年に1度必ず転職しないといけない」みたいな法律を作るでもしないかぎり、日本じゅうが沈んでいくんじゃないか、という危機感がある。

横田さん:仕組みから変えないと何も変わらない。それぞれが個々で頑張っても仕方がない。中小企業庁が主婦の方々にインターンシップをさせよう、というプログラムをやっている。20代の頃にどんな仕事をしているか、で復帰の難易度が変わってくるように見える。例外はあるが、実力が付いてきていない。自分は20代で働いてきた本当にラッキーだった、とよく感じる。

林さん:
特に女性は、20代のうちにキャリアを積むというのは賛成します。出産があります。30代で子どもを産んで、1年後に復帰するのは3割満たない。フルタイムに戻る人はほとんどいない。産後はアルバイトで復帰している。

林さん:20代でもう一度キャリアに戻れる実績を積んでおけば、パート以外の可能性が広がるのではないかな、と思う。

堀さん:復帰できない壁として「小一の壁」がありますよね。色々変えないといけないことがありますよね。


堀さん:仲さんは、今後どうしていきたいと思っていますか?

仲さん:
会社としては売上げ計画みたいなものがあるけれど、私自身は、あまり計画を立てずに全力でやって、気が付いたら進んでいる、というのを理想としている。なので、あんまり考えていないんですよねぇ。

出産して会社を辞める人はいるけれど、周りには出産しても働いている人がいる。もちろん保育園がないといった課題はあるが、個人レベルで見れば「やるかやらないか」という感じはしている。


堀さん:ではフリップ「女性が働きやすい職場・環境を当たり前にするキーワード」について書いてもらいます。会場から、質問などありますか?


会場から現代ビジネス瀬尾編集長の質問:ヨーロッパでは制度的な枠組みとして女性の経営者を増やそうとしているが、これについてはどう考えますか?

横田さん:日本人は真面目なので目標を作るのは賛成です。ただ、それが女性なのか。人種、年齢、性別、すべての側面で感げるのがいいのではないでしょうか。45歳以下役員を3割にする、とか。

仲さん:男に対する逆差別にもなりうるので、企業の判断に任せるのがいいのではないか、と思う。外資系は合理性を考えた結果、ダイバーシティを重視するようになった。ただ、自分が外資系しか見ていないからかな、という気もする。


林さん:来年の2/14に男女経営のすすめ、というイベントをやろうと思っている。男女経営でうまくいっている会社が増えているんです。ロフトワークも、インフォバーンも…ほとんどが夫婦ではなく、各社で役割が違う。

小林さん:アホな会社は潰れればいいんですよ。そんな会社にまでアファーマティブアクションなんかする必要はなくて。強いていえば、役所とかに関してはやる意味はあると思いますが。


堀さん:さて、フリップを開けてください。

小林さん:「10年たったら全員転職!法」を作る。男女なんか関係なく、フラットな社会になる。

仲さん:「出産、子育てのサポート」。ここのケアがあると、優秀な女性が働きつづけられると考えています。具体的にはPaid Leaveとか。

堀さん:NHKは充実していて、4〜5年休んでそれから復帰して、という方もいた。受信料というのはすごいなぁ、と(笑)

林さん:「働く女性の多様性を広めること」。色々な働き方があることを、もっと伝えていきたい。それを増幅していけるのがネット時代なので、20代がアクセスするようなところに、考え方、やり方を伝えていきたい。

横田さん:「女性○○がなくなる」。2020年には女性社長とか女性管理職とかがなくなっている未来が望ましい。当たり前になっていく、ということです。


session3 『実践者の流儀…仕事を追え、仕事に追われるなーグローバルと仕事のソモソモ論ー』

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堀さん:さて、深い時間になってきましたが、36,000人以上、20,000件近いコメントが寄せられています。会場もまったりとしてきました。ここからは猪子さんを交えて刺激的なトークを展開していきます。

堀さん:第三部では『実践者の流儀…仕事を追え、仕事に追われるなーグローバルと仕事のソモソモ論ー』をテーマに、4人のゲストをお呼びしています。まずは朝比奈一郎さん。

朝比奈さん:14年、官僚をしていました。朝から晩まで働いている官僚は多いが、結果が出ない。成績が出ない受験生のような状態。組織のあり方や人事制度のあり方などを色々と提言をしたり直訴したりしたが、多くはうまくいかなかった。そんなわけで霞が関の外から霞ヶ関をよくする、ということを考えて起業しました。

堀さん:仕組みの話が煮詰まっていないので、ぜひここで伺いたいと思います。

堀さん:つづいてチームラボの猪子さんです。ちょうど同い年なんですが、猪子さんは「働く」ということについて、どのようなスタンスなんですか?

猪子さん:え?

堀さん:色々な話をしてきたんですが、猪子さんは、働く上でどんな姿勢が大切だと思いますか?

猪子さん:(沈黙)

堀さん:日本語で話しましょうか(会場笑)

猪子さん:
バカにしないでくださいよ!(笑)働くことですよね。…生きていかなければいけないですよね…大人になったら働かないといけないですよね…。えー…。

自分はけっこう友だちといたかったんですよね。大人になっても友だちといれる場所を作りたかったし…どう考えても、一人で社会には出れなかったんです。下手すると川原で石を拾って売ってたと思うんですよ。

一般的な企業に入るためには最低限の完成度が必要で、朝起きるとか、メールの返事をするとか、電話を取るとか、ちょっと色々無理だったんですよね。比較的無理なんじゃないかと思っていて。友だちとか仲間がいると、色々そこらへんが、こう、ギリギリ大丈夫なんじゃないかと。

堀さん:猪子さんの友だちも完成度が低いんじゃないですか?

猪子さん:
友だちと始めたら、全員欠陥だったんですよ。けっこうどうしようもない状況だったんですが、比較的完成度が高いのが一人いて、成り立ち始めたと。

一般的には、長所よりも短所がないことをある程度求められるので、入れてくれるんだったら入りたかったんですが、そんな空気じゃなかった。(「会社なんて入りたくなかったんじゃないの?」というニコ生の声に対して)いやいや、入れたら入ってるよ!入りたいに決まってるじゃん!

堀さん:猪子さんがいると尺が…続いて「留職」を進める小沼さん、お願いします。留職ってなんですか?

小沼さん:
企業の人材に途上国に行ってもらう、というプログラムです。青年海外協力隊の企業版というとわかりやすいかもしれません。

猪子さんの話で面白かったのは、日本企業は尖っている部分を丸めてしまうことを進めてしまう。留職も、日本企業ではないところで、尖った部分を育てる機会にしたい、という狙いがあります。


堀さん:続いてシェアハウスを用いたコミュニティづくりなどに取り組む、高木さんお願いいたします。

高木さん:
猪子さんに持っていかれないように真面目にやりたいと思います。コミュニティってよくわからなくて、ぼくは大企業を辞めたんですよ。辞めたら一人で寂しくて、できることも少なくて。で、辞めちゃったヤツを集めたんです。

居場所ないクソばかりなんですけど、集まればなんかしらできるな、と。そういう思いで6カ所シェアハウスをつくった。家入一真というクソ起業家と、だめな人たちを集めたいたりもする。ダメでも人々の胸を熱くさせることができればいいなぁ、とおもってやっています。

堀さん:朝比奈さん、コミュニティについてはどう考えますか?

朝比奈さん:やはり自分で問題意識を持って、それをかたちにしていくために仲間を作っていくことはすばらしいと思うし、ぼく自身もそれをやろうとしている。

堀さん:高木さん、シェアハウスは大変ですか?

高木さん:堀さんが帰ってこないことですかね。むかつくこともありますね。堀さんが帰ってこないこととか。


堀さん:日本社会における「働く」の問題点とはなにか、伺っていきたいです。

朝比奈さん:本来はリスクを取ってやって面白いことができそうな人が、日本的なつまらない人材になってしまうのがもったいない。どっかで、自分なりの問題意識で、その問題に立ち向かうことができればいいのだけれど。アクティブ・ノンアクション。


堀さん:以前討論番組で、学校を出て社会に出ると、なぜか面白い人がつまらなくなってしまう、という話をしましたよね。猪子さん。

猪子さん:覚えてない。

堀さん:…そんな話をしたんですが、猪子さんみたいに能力を発揮してバリバリできるエリートがいる一方で、すごく勉強しているのに、うまくいかない人たちがいるのはなぜなんでしょう。

猪子さん:…オレ?(会場笑)

堀さん:いい大学に行っても社会で機能しない人がいるのはなぜ?

猪子さん:大学の役割は置いといて、大学で成績を収めたからといって、社会で活躍できないのはしょうがないと思う。

朝比奈さん:2パターンあって、猪子・高木タイプ。彼らは天才だと思う。

猪子さん:いやいやいや、ぼくは天才なんていないと思っていて、チームラボも天才を採用しようと思っています。教育、努力、与えられた環境によってスキルの獲得は達成できて、今必要なスキルと、大学に入る・卒業する基準が乖離しているだけで。

朝比奈さん:天才ということばはよくなかったかもしれない。

猪子さん:
ある種のスキルの積み上げが、社会での接点をつくってくれると思っている。たとえばプログラミング、クリエイティブであること。これは単なる積み上げ、鍛錬、教育、環境で、つくものなんです。

すっげー簡単なことをいうと、たとえば、日本でも世界でもプログラミングの技術があれば、遅刻しがちでもコミュニケーション取れなくても仕事はある。誰しもが、そういうスキルを身に付けることができる。

堀さん:猪子さんも鍛錬してきた、ということですよね?

猪子さん:ぼくはよくわからないんですけど…(会場笑)

朝比奈さん:やりたいことがわからない、という学生をよく見かける。若いうちからワクワクが見えてできる人と、生きていくなかで、問題意識を持って頑張る人がいるのでは。

猪子さん:ふたり(朝比奈さん、猪子さん)はベースの頭脳が高いんですよ。そういうことを言っているわけではなくて、教育によって、ある程度スキルが付けば、ベースの人間力や能力と関係なく生きていけるけど、教育はそうなっていないと。

ふたりは教育なんてなくても活躍できるもん。何が言いたかったのかよくわからなくなってきた(笑)就活とかでもプレゼントか面接の練習してたり、そのー…

堀さん:わかるわかる。演算能力の高さを求めるような教育と、0から1を作り出す教育は違う、ということは思いますね。

猪子さん:
やりたいことなんか見つかりませんよ。スキルを付けたら、そのうちに社会から求められていくようになって、やりたいことが見つかる。若い子に最新のスキルを教えれば、大人から「やってよ!」といわれる。たとえば…なんだろうなぁ、思い付かないや。

Unityとか使っている子がいると「いやーできんの!?」となる。彼がUnityが好きかは知らないけど、なんかつくったら褒められる。いきなり一番ですよ。前の世代にないから。そのうちそれが好きになっていって、もっとスキル付けよう、といういい循環になる。

夢を教育によって見つけられるというより、必要とされて。本当はもっと学校が前の世代ができないようなスキルを身につけさせてあげればいいのに、古い世代のスキルを身につけて、古い世代と同じようになろうとしている。なんだそのプレゼン下手だなぁ、とおっさんにいわれてまた頑張る、と。


堀さん:高木さんとかそのあたりどうでしょうか?

高木さん:
結局、必要なことを求めている人がいるんですよ。ぼくは最近政治のクリエイティブに興味があって、でもいないんですよ、やる人が。ぼくみたいに会社をやめて追い込まれると、「おれできるよ!」と言って仕事を取りにいく。

そういう追い込まれたやつらを組織して、タダでもいいから事例つくって、そのあと仕事にしていく。そんなのを繰り返していて、ネット選挙解禁キャンペーンをやった。最初の名前が「公職選挙法を改正する会」とかだった。ダサいから「One Voice Campaign」にした。

アメリカ大使館のこのイベントも、とりあえずホラ吹いて頑張ってやって後からやる。追い込まれないとやらないので、大企業とかにいるとできないですよね。追い込まれている人の方が社会に必要とされるクリエイティビティを持てるんじゃないか。


堀さん:周りから求められる実感というのは重要、というお話がありました。高木さんは大企業だとどうでした?

高木さん:現場に出るまでに上司に却下されつづけるんですよね。出してみないとわからないのに。コピーライターの実績ないけど、タダで書きまくったんです。そしたら1個くらい当たるじゃないですか。で、1件何十万でやります、と言ったら仕事がきた。コピーライターなんて適当だな、と。資格とかないじゃないですか。

小沼さん:ぼくはNPOをやっていて、助けてくれるプロボノの人たちの話を聞く。SEの方が「ありがとうございます、といわれたのが初めてだった」と話していた。会社ではまったく感謝されないわけですね。必要とされることで自分を磨く、というのはすごくあると思う。


朝比奈さん:ぼくらの世代は、教育のあり方が「いい中学いくと良いことあるぜ」といわれて、延々と「いい高校、いい大学、いい会社」とレールを敷かれている。短期的な目的に引きずられる働き方、生き方。それは生の充実感ないじゃん、と気づいてきている。そういった反省を込めて、これではまずいんじゃないか、という話になっているのではないか。

高木さん:さっきの話でいうと、教育と仕事が結びついていないわけですよね。こういう議論って教育、教育になるけど、時間掛かるじゃないですか。副業禁止とかよくわからないじゃないですか。

でもみんななんかやってるじゃないですか。土日とかでみんなやってますよ。そこの機会を増やしていくことを徹底すればいいんじゃないですかね。

堀さん:副業ができるようにすればいいんじゃないか、フェイスブックで友だちとつながってなんかやればいいんじゃないか、という話は出て来ている。猪子さんはどうなんでしょうか。

猪子さん:(沈黙)

猪子さん:
…高木さんの話聞いてて、自分もそうだったなぁ、と思うのは、自分がなかなか大企業で活躍する場がなくて、副業をしたからスキルが付いて活躍するきっかけを掴めたという話だと思うんだけど、そのー、根本的に、ぼくらはたまたまちょうど情報革命が起こったわけですよね。つまり、前の世代とは、理解し合えないですよ。絶対的に。理解し合えると思うことを諦めた方が良いよね。

大企業の話でも、高木さんのコピーも、新しい社会に生きる人たちには刺さるものだったかもしれない。前の社会の人たちからすると、どうしようもなく見える。それは当たり前で、農耕社会で、槍投げてる人に「田植えすごいよ!」と言っても、それより「肩の力付けろよ!」となるじゃないですか。

ほかの文化を理解しないといけない、といわれるけれど、世界中同世代では価値観が一緒で、上の世代と相互理解できません!となっている。ほかの国だと人口分布が若い。あとは国が始まったら情報革命で、槍持っている人がいません!とか。

西の端っこで草見てたような人たちが産業革命で仕事するようになったり、とか。まとめると、上の人には理解してもらえないんですよ。副業という手段もあるかもしれないし、大企業に行くのを諦める、という手段もある。世界中の同じ世代に向けて何かをやる。忍耐力を挙げて、ひたすら槍を磨くとか。

高木さん:でも、ぼくら若い人は少ないじゃないですか。

猪子さん:日本だとマイノリティだけど、世界を見れば、情報経済は中心で、デトロイトとか大変なことになっている。人口分布的にも若い人が多い。…なんだっけ、あと任せた。

小沼さん:日本の企業だと上の世代が働き方を規定してしまっているので難しいでしょうね。活躍したければ辞める、という選択肢になってしまう。

朝比奈さん:世代を越えて理解が進むこととかってないんでしょうかね。

猪子さん:できません!理解し合えている人はまずいですよね!20世紀に冒されているよね。ニコニコはするよね、お辞儀とか、何なら土下座も。本質的にいいと思うことが違うのはしょうがない、社会構造がそうなってる。

堀さん:20世紀に冒されている、というのはいいコピーだと思います。

猪子さん:世界中の同世代とか下の世代を見ると、日本は特殊な環境で、もっとも若者が20世紀に冒されている若者になってしまっている。

高木さん:
ぼくらはずっと「失われた」といわれてきていて、それによって、「そうしなきゃいけない感」があるじゃないですか。自民党が「取り戻せ」とか言ってたり。でも世界は空気が違ったりする。

「家」が面白いのは、AirBnBとかCouchSurfingとか、家をオープンにしてアジア、世界との連帯が生まれてきて裏世界ができたら面白いな、と。


堀さん:海外で働くということについてはどう考えますか?

小沼さん:
ぼくがやっているのはまさに「海外で働く」です。いきなり永住するとかは難しいけれど、留職するだけで価値観が変わることは感じている。

私たちは企業の人たちをアジアの国に派遣しています。そこでやっぱり、同世代同士で繋がりあうんですね。たとえば、国じゃなくて民間でやっていかないとダメだよね、という話とかは日本だけではなく、アジアでも通じます。


高木さん:アジアって安いですよね。1ヶ月半いて、トータルでも20万円くらい。ぼくのニートの友だちが、セブでニートをしている。たまに日本に帰ってきて稼いでセブに戻っていく。アジアニート。

高木さん:海外に出る志向は強まってきたと。日本だと連帯の力は弱いので、世界とつながって、日本にもそれをどんどん入れていきたいですね。

朝比奈さん:可能性と限界の両方があると思う。技術がモノを言う世界ではいいと思う。猪子さんのお仕事はモノで圧倒できる。一方で、語学の問題は大きい。頑張っているやつもいるけど、基本的には現地コミュニティに入りにくい。


堀さん:言語がなくなる社会、みたいなことを猪子さん仰っていましたよね?

猪子さん:言語がなくなるとは言ってないですけどね。非言語的なものが重要になっていくのは。アメリカ行って「ハーイ!ハウアーユー!ヘーイ!」みたいなのをやるのは大変じゃないですか、想像しただけで鬱になるじゃないですか。何の話だっけ、文脈がありすぎて…この話やめよう!

堀さん:海外で働くことについてどう考えますか?

猪子さん:
ぼくは東京で働いて、東京で作って海外で売ってます。海外にはジョナサンないじゃない。徹夜で朝だ、ヤバいってときに、ジョナサンないとしょうがない。月曜日ワンピース読めないよね、乗り切れない。

オレ、海外行きたくないもん。生きるのに必死で、お金くれるところがあればどこでも行きます、という感じ。あとは、欧米人の真似事をしてもダメだと。

個人という概念に基本的に懐疑的で、働くというのも、個人で働くというのではなくチームで働くというのは短所をそのままに長所を生かせるとか。環境だったり歴史の文化だったり、そこで成り立っていると思う。「個」として海外に行っても活躍できるとは思わない。


堀さん:みなさんのお手元にフリップがあります。「グローバルで働く、ローカルで働く、共通して大切なことは?」。

高木さん:「死なない環境」。仕事なんかなくなっちゃうと思うんですよ。財政破綻とかわからないけど、できるだけ死ににくい環境を作ることが大事かな、と。それは海外でもローカルでも同じ。

小沼さん:「想いを持つこと」。自分のやっていることが自分の本当にやりたいことだ、と思える人が増えていくことが大切だと思っています。パナソニックや日立のエンジニアを途上国に送っているが、スキルよりも想いが通じてつながりが起きていたりする。

朝比奈さん:「いずれ、レイバーではなくワーク」。レイバーはやらされ感が強い。ワークは主体的なところがある。人それぞれのステージがあるので、レイバーを超えてから、という人もいるだろう。自分の人生にリーダーシップを持つことが大切。

猪子さん:
「友情、努力、勝利」。ほんとねぇ、人格に問題があったのかもしれないけど、一切人の話を聞けなかったんだけど、すごいよかったと思う。大人の言うことも先生の言うことも聞いていなかった。

「経理だれやってんだ!」と言われて「やってないけど」、「CFOは誰だ!」と言われて「CFOとかわかんないし」と。

よくよく考えると、人生で大切なことはジャンプで学んだ。ジャンプからしか学んでいない。ジャンプはいつも「友情、努力、勝利」なんですよね。

ジャンプからだけ習っていて良かったな、と。CFOを会社に入れることよりも、友だちと始めた方がよかったと思ってるし。だから、全然、そんなのダメだ!と言われてきたけど、自分なりに努力をしつづけてよかったと思ってるし。仲間と努力をしつづける、というマンガばっかりなんですよ。…もういいよね?

堀さん:猪子さんは突然成功したように見えるけれど、大変な時期もあったわけですよね。

猪子さん:ぼくソープランドのサイトとか作ってましたからね。乳首を肌色にしたり。大丈夫ですかこれ。