文章を書く仕事をしていると、一般的には正しいといわれる文法に、違和感を覚える瞬間があります。
「〜〜したり、〜〜したりする」が気持ちわるい
そのひとつが「〜〜したり、〜〜したりする」という表現。NHKのサイトにちょうどいいQ&Aがあったので引用。
「(休みの日には)本を読んだり音楽を聴いて過ごしています」などという言い方を、放送でも耳にすることがあります。この言い方は間違っているのではないでしょうか。
「(休みの日には)本を読んだり音楽を聴いたりして過ごしています」と、「たり」を繰り返す形にするのが本来の言い方・用法です。
そうなんです。厳密にいうと、「普段はブログを書いたり、昼寝をして過ごしています」みたいな文法って誤りなんです。
が、ぼくは文章を書いていて、むしろ「本を読んだり音楽を聴いたりして過ごしています」という表現の冗長さに気持ちわるさを覚えてしまいます。これは個人の感覚の話なんですが、なんか違和感があるんですよね。「本を読んだり音楽を聴いて過ごしています」でいいじゃないか、そっちの方が読みやすいじゃないか、と。
あとは「ら抜き言葉」についても。ら抜き言葉って普通に便利なので、ぼくはしばしば利用しています。ブロガー的にいえば、文字数も1文字削減できますし。
例えば「食べられる」と言った場合、ライオンかなんかに自分が餌になってしまうのか、食べることが(食材的、場所的に)適切だということを言っているのか不明確であるが、ら抜き言葉で「食べれる」と表現することにより後者であることが明確にすることができる。このことはら抜き言葉の存在価値といってよいであろう。
ら抜き言葉とは (ラヌキコトバとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
「ら抜き言葉を使うな」?
言語というのは生き物ですから、辞書的な定義よりも、むしろ時代の感覚のほうを意識すべきだと、個人的には考えています。というわけで、ぼくの書く文章は時折「ら抜き言葉」を使いますし、「したり〜、〜する」というイレギュラーな文体を採用します。
そんなことは当然だと思うんですが、しばしば「文章のプロが『ら抜き言葉』を使うとは何事か!」みたいな批判をもらうんですよねぇ…。ネタかと思いますが、本気のようです。ちなみにおっさんに多いです。
順番が違うと思いますけどね。むしろプロだからこそ、意識的に旧態依然として文体・文法を壊していくんです。時代の感覚を敏感に嗅ぎ取り、それを文章に取り入れていくのが、プロとしての姿勢でしょう。辞書に即して書くのなら、誰だってできますから。
関連して、佐々木俊尚さんがこんな記事を紹介しています。とても面白い記事なのでぜひ。
「輸入」はユニュウではなくシュニュウと読むのが正しい、など指摘する記事について。きれいな日本語使うのは大切だけど、言語は流動していくもの。昔の読み方が正しく今のは間違ってると言い出すときりがない。/「間髪をいれず」が殺された日 http://t.co/r2o2HSIvqx
— 佐々木俊尚 (@sasakitoshinao) 2013, 12月 1