黒子のバスケ脅迫:「ごめんなさい。負けました」逮捕時に

毎日新聞 2013年12月15日 22時00分(最終更新 12月16日 00時11分)

「黒子のバスケ」脅迫事件で男が威力業務妨害容疑で逮捕された警視庁麹町署=東京都千代田区で2013年12月15日午後9時59分、木葉健二撮影
「黒子のバスケ」脅迫事件で男が威力業務妨害容疑で逮捕された警視庁麹町署=東京都千代田区で2013年12月15日午後9時59分、木葉健二撮影

 ◇「恵比寿ガーデンプレイス」近くの路上で

 人気漫画「黒子のバスケ」の単行本や関連商品を扱う店舗など全国約400カ所に脅迫文が届いた威力業務妨害事件。警視庁に逮捕された大阪市東成区の職業不詳、渡辺博史(ひろふみ)容疑者(36)は容疑を全面的に認め、「ごめんなさい。負けました」と供述しているという。脅迫文では作者の藤巻忠俊さんへの恨みが動機とされていたが、藤巻さんとの面識はなかったと供述する渡辺容疑者。藤巻さんが成功したことへの「やっかみがあった」と供述しており、詳しい動機の解明が待たれる。

 脅迫文では、「とにかく動機は藤巻への怨恨(えんこん)」などと書かれていたが、藤巻さんは「心当たりがない」と話していた。作者や漫画関係者を「最悪の反日分子」「加担する連中を天誅(てんちゅう)の炎で燃やす」などと過激な表現がある一方で、「やり直せるのならジャンプに連載するマンガ家になりたい」と弱気な一面も。また、標準語の「喪服の死神」と、関西弁の「怪人801面相」を使い分けるなど複数犯を示唆していたものの、渡辺容疑者は「1人でやった」と説明しているという。

 捜査1課によると、渡辺容疑者は15日午後3時ごろ、東京都渋谷区の商業施設「恵比寿ガーデンプレイス」近くの路上で、郵便ポストに新たな脅迫文を投函(とうかん)しようとしているところを捜査員に確保された。「ごめんなさい。負けました」。渡辺容疑者は謝罪の言葉を述べたという。

 所持していたリュックサックには、今月末に都内で開催予定の高校のバスケットボール大会や「コミックマーケット」と呼ばれるイベント主催者などに対し、開催中止を求める脅迫文など約20通が入っていたという。封書はこれまでに送られてきた脅迫文と同様、宛先を印刷した紙が封筒に貼り付けられていた。

 渡辺容疑者はこの後、麹町署に同行され、逮捕された。脅迫文を投函するために上京していたという。

 渡辺容疑者は、大阪市営地下鉄今里駅の南西約400メートルの商店街に面したワンルームマンション3階の一室で暮らしていた。

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