モンブラン ☆ MONTBLANC ☆ マイスターシュテュック 149 50年代

現行品のマイスターシュテュックとしては最も有名で最も歴史のあるペン（146の方が早く生産開始されていますが1960年代にはその生産が中断されています）、149です。

1952年に登場し今日まで60年間という長きに渡って作られ続けてきたのですが、1952年から1960年まで作られた149はその細い2本のキャップ・リングがシルバーで出来ていることから俗称「シルバー・リングス」と呼ばれ、それ以降の149とは別格の扱いを受けています。
出品致します149は、そのシルバー・リングスの後期型のモデルです。

149は基本的には殆どそのフォルムに変化が与えられることなく作り続けられてきましたが、細かい変更を検証すればそれだけで小冊子が出来るほどの変更を受けています。ニブだけでも考えてみて下さい。14C、18C、14K、18Kの4表記。それぞれにゴールド＆シルバー、ゴールド＆シルバー＆ゴールドのカラーリング、そして同じ18C表記でも大きな刻印だったり小さな刻印だったり・・・

しかしながら、1960年を境にして149はその歴史上最も大きな変更を受けました。
先ず本体の材質です。約8年間作り続けられたセルロイドは、レジンに替えられました。温かみのある手触りと引き替えに安定性を手に入れたのです。
次にピストン機構です。1960年まではテレスコープ式ピストン・フィラーという二段式のピストンでした。現行型に較べて1.5倍程度のインクを保持出来る長所がありますが、その複雑な機構故に不具合を起こす確率の高いシステムでした。
そして最も目に訴えかける仕様の変更が、その俗称ともなったシルバー製の細いキャップ・リングからゴールド・プレートのキャップ・リングに変わった点です。上述の二点（素材とピストン）は149のみならず、142、144、146等も同じ仕様でしたが、このシルバー・リングスだけは149専用の仕様でした。これは149の前身である139の仕様を引き継いでいる為です。

さて「出品致します149は、そのシルバー・リングスの後期型のモデルです」と書きましたが、では前期型（1952～1954/1955）とはどこが違うのでしょう。以下の二点にその違いを見て取ることが出来ます。
インク・ウィンドウの長さ。前期型ではキャップを閉めてもその下に5～6ミリはみ出るほどの長いインク・ウィンドウが付いていますが、後期型ではキャップの下に隠れるようになりました（ただし個体差が有り、キャップから1ミリ程度はみ出すものも何本か見ています）。
そして、ニブ芯がフラットなニブ芯から、丸みを帯びた櫛形（ラウンド・ニブ芯/2枚目写真右下）に変更になっています。フラットなニブ芯がラウンド・ニブ芯に置き換わってから二度と復活することがなかったのは、強度に問題が有るためではないかと思います。一方このラウンド・ニブ芯は、1990年代初期に素材の変更を受けたものの、基本的な形は現行の149にまで引き継がれている、完成形とも言えるニブ芯です。

ニブ：14KのM（写真では見えませんが尾軸に「M←」の刻印が有ります）
インク：テレスコープ式ピストン・フィラー
全長：142.3mm
胴軸： 14.2mm

本体とオリジナル・ボックス（注）の出品

8.0～8.5/10程度のコンディションです。
ボディにはセルロイドの収縮によるごく僅かな波打ちがあります。ただしこの波打ちは50年代の149の殆どに見られる症状で、この波打ちもビンテージの風格を増す事に一役買っていると思えます。

注：2枚目の写真右上に写っているのが1950年代の149の専用ボックスです。ただし中の下半分の内張が剥がれて無くなっています。蓋の裏側のモンブラン・ロゴの書かれた内張はちゃんとしていますが、外側に傷等も結構有ります。オマケ程度にお考え下さい。

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