東京電力福島第1原発の廃炉に向けた取り組み検証のため、日本を訪れている国際原子力機関(IAEA)の調査団は4日、検証結果をまとめ、最終的に除去できない放射性物質のトリチウムを含んだ水の扱いについて、「基準値以下なら放出することも含め、東電はあらゆる選択肢を検証すべきだ」と指摘した。
調査団は、4号機からの使用済み核燃料取り出しや汚染水対策などを重点的に調査。「多くの課題はあるが、日本政府と東電は汚染水問題を扱うため、包括的な対策を策定した」と一定の評価を与えた。
その上で、今後の取り組みとして、廃炉作業に伴って生じる放射性廃棄物の管理計画を立てることや、汚染水の増加抑制策を継続的に続けることなどを提案。多核種除去装置(ALPS)などで処理した後も残るトリチウムを含んだ水の放出についても「東電は安全と環境影響に関する適切な評価を実施すべきだ」とした。
◎護岸の井戸130万ベクレル検出/最高値再び更新
東京電力は4日、福島第1原発1、2号機の護岸付近の観測用井戸から、ストロンチウム90(法定基準1リットル当たり30ベクレル)などベータ線を出す放射性物質が130万ベクレル検出されたと発表した。これまでの最高値110万ベクレルを更新し、上昇傾向が続いている。
採水日は2日。井戸は海まで約40メートルで、2011年の原発事故直後に超高濃度の汚染水が漏れたトレンチ(電源ケーブルが通る地下道)に近い。
6号機取水口前と港湾内の西側、北側の3地点からは過去最高値の放射性セシウムが検出された。最大でセシウム134(法定基準60ベクレル)が5ベクレル、同137(90ベクレル)が9.2ベクレルでともに法定基準を下回っている。
東電は「過去の変動のほぼ範囲内にあり、汚染拡大と判断するのは難しい。引き続き監視する」と話した。