<< 2010年04月
1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930

慰安婦強制連行【研究者の見解】チョン・ジンソン

2010/04/14 23:55

 

 

 

鄭鎭星(チョン・ジンソン)教授はどう主張しているか。

 

1944年12月現在(ママ)、韓|国保健福祉部に届けた元慰安婦の中で主な動員者を明らかにした157人のうち51人が警察または官吏によって連行されたと証言した。朝鮮総督府が学校を利用するとか、または官庁自体が出て行って募集した勤労挺身隊員の少なくない部分が軍隊慰安婦として送られたという認識が、当時を生きた韓|国人たちの間に広く広がっている。最近実際に勤労挺身隊として動員されてから軍慰安婦として搾取されたと証言した人も出てきており、・・・この場合、軍慰安所政策に朝鮮総督府の介入は絶対的なことになるので注意を要する。 P.44 日本軍の性奴隷制 (2008年)

 

 

韓|国側からよく出てくる「20万人、うち多くが朝鮮人だった」という慰安婦の実態を、たった51人のサンプルで推察するのは無理があるのではないかと思うが、これは仕方のないことなのだろうか?それとも51/157という割合を重く見ているのか。

 

「挺身隊員の少なくない部分が軍慰安婦として送られた」という「認識」が、「当時を生きた人々」の間で「広がっている」、というのも何が言いたいのかイマイチ分からない。「挺身隊として動員されてから軍慰安婦として搾取された」と証言しているケースが事実(?)なら「朝鮮総督府の介入は絶対的なことになる」というのも分かりにくい。徴用業務なら、朝鮮総督府が関わっていないはずはないだろう。日本政府が直接朝鮮半島の官僚機構や警察を動かすなどという事は、ありそうにない話だからだ。

 

物理的暴力によって動員された女性たちだけではなく、人身売買、誘拐、就業詐欺などで・・・自分が慰安婦になるだろうという事実を知らないまま連行され、・・・厳重な監視を受けた。このような点で、軍慰安婦動員はほとんどすべてが広い意味における強制連行だったと規定しなければならないであろう。P.54

 

これは「強制連行(徴用)説」に自信が持てないチョン・ジンソンが予防線を張っているのか、それとも強制連行という定義を広くとることで救済(?)される「被害者」の数を増やそうとしているのか?

 

・・・日本の右派たちは、強制連行に関する証言のみがあるだけで、文書資料がないというが・・・韓|国の幾多の被害者たちの証言が偽りだと言うなら・・・それなら、さまざまな他の国々の被害者たちが同じ証言を語っている事実は、どのように理解しなければならないのだろうか。P.70

 

朝鮮半島も台|湾も沖縄も当時は国内。国内と戦地の区別はついているのだろうか?さらに言えば、右派と関係なく多くの日本人は「被害者」の証言だけでは「有罪」の立証には不十分だと分かっている。せめて当時の行政側の内情に通じた人の証言でもあれば話は違ってくるのだろうが。しかし、それにしても・・・この部分を読むと、彼女も「強制連行」を示す文書資料が見つかっていないことを認めているように見えるのだが?

 

ア|メリカ国立公文書館をはじめとして、西ヨーロッパの公文書館で・・・なかでもいわゆる「狭義の強制性」を明らかにする報告書も、多数発見された。・・・バタビア法廷、極東国際軍事|裁判などに資料として提出された公信力のある文書だ。P.72 米海軍グァム裁判記録によれば・・・これは裁判記録が残っている数少ない事例であり・・・日本軍将校が武力で女性を動員して性奴隷として使ったものであるから、いわゆる狭義の強制性を示している証拠であると見ることが出来る。P.75

 

まず、これらは「右派」も日本政府も否定していない戦地での不法行為であって、女子挺身隊のような行政権の行使による動員とは違う。それから「狭義の強制性」などというものは、日本では議論の対象にすらなっていない。・・・やはり、この人は「強制連行(徴用)」を示す「公信力のある文書」が存在しないことが分かっているようだ。しかし、その事実を受け入れたくないのではないか?「狭義の強制性」などと二重にひねったような理屈を持ち出してくるのは、その表れだろう。

 

 

 

 

鄭 鎭星
1953年生まれ。ソウル大学社会科学大学社会学科卒業、シ|カゴ大学にてPh‐D取得。徳成女子大学教授を経て、現在ソウル大学教授・同大学社会発展研究 所長。また国|連人権小委員会委員を経て、2008年8月より国|連人権理事会諮問委員会委員(副議長)  Amazon 著者略歴より

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カテゴリ: 世界から  > 世界の話題    フォルダ: 記事

コメント(0)