秘密保護法公布:国会法改正、新たな火種に
毎日新聞 2013年12月14日 07時30分(最終更新 12月14日 08時53分)
国家機密の漏えいに厳罰を科す特定秘密保護法が13日に公布され、政府は1年以内の施行に向けた作業を本格化させる。国会が行政による恣意(しい)的な特定秘密の指定などを監視する組織のあり方についても議論が始まった。自民党は衆参両院議長の下に国会議員による監視機関を作り、情報を漏えいした議員を国会が除名する仕組みをつくるための国会法改正を検討。しかし国会議員の権利を保障した憲法との関係や、政府が提供した秘密の指定解除を求める際の手続きなど課題は多く、与野党の協議は難航しそうだ。
特定秘密保護法は、情報提供を受けた国会側の情報保全ルールを作るよう、国会に求めている。自民党の石破茂幹事長は11日の日本記者クラブの記者会見で「国会の申し合わせに反するのは秩序を乱すことだ。(特定秘密の内容を国会質問などで明らかにすれば)院内の責任は問われる」と強調。国会の監視機関に参加した後、情報を漏えいした議員を国会が除名するのは憲法上可能だ、との見方を示した。また与野党の修正協議で実務者を務めた同党の中谷元・元防衛庁長官は、衆参議長の下に諮問機関を作る国会法改正案を来年の通常国会に提出する考えを示している。
ただ憲法51条は国会議員が国会で行った討論などについて「院外で責任を問われない」と定め、自由な討論を担保。政府から国会が得た情報が特定秘密に当たるか否かで意見が割れた場合、一部議員が公表に踏み切るなどの事態も想定される。修正協議で合意した日本維新の会からも「議員の発言の自由を制限するものだ」(松野頼久・国会議員団幹事長)と慎重な声は根強い。【高橋恵子、阿部亮介】