秘密保護法:公布し、内閣官房に準備室設置
毎日新聞 2013年12月13日 11時47分(最終更新 12月13日 13時16分)
◇準備室長に内閣情報調査室の能化正樹次長
国家機密の漏えいに厳罰を科す特定秘密保護法が13日午前、公布された。国民の「知る権利」を侵害する懸念は消えないまま、政府は同日付で内閣官房に準備室を設け、施行に向けた準備に着手した。これを踏まえ、菅義偉官房長官は同日午前の記者会見で「具体的な内容が固まっていけば、記者会見なりで国民に説明する」と述べた。
政府は「特定秘密」の指定が妥当かどうかチェックする関係省庁の事務次官級の「保全監視委員会」を近く設置。委員長には森雅子特定秘密保護法担当相が就く。年明けには、同法の運用統一基準の策定のための有識者会議「情報保全諮問会議」(仮称)も発足させる。また、法案審議段階で内閣府に設置されることが決まった秘密指定の適否を検討する「情報保全監察室」、行政文書の廃棄の妥当性を判断する「独立公文書管理監」についても創設準備に取りかかる。
公布とともに始動した準備室は十数人規模で、当面は諮問会議の委員の人選や特定秘密の指定・解除などの統一基準案の策定、秘密指定の妥当性をチェックする制度設計に当たる。室長には法律の策定に関わった内閣情報調査室の能化(のうけ)正樹次長を充てた。
特定秘密保護法は公布後1年以内に施行される。政府はすでに発足した国家安全保障会議(日本版NSC)の活動に不可欠な法律と主張しており、準備が整い次第、早急に施行に踏み切る考えだ。
同法は、外部に漏れた場合に安全保障に著しい支障を与える情報を「特定秘密」と定義し、(1)防衛(2)外交(3)特定有害活動(スパイなど)の防止(4)テロ防止−−の4分野23項目で閣僚ら行政機関の長が指定する。漏えいした公務員には国家公務員法の守秘義務違反(懲役1年以下)より重い最長10年の懲役を科す。【木下訓明】
◇特定秘密保護法の主な内容
・「防衛」「外交」など4分野で閣僚ら行政機関の長が特定秘密を指定
・秘密指定の有効期間は5年以内だが、更新可能。更新は通算原則30年で、最長60年。ただし60年超の例外が7項目ある
・秘密を扱う公務員や民間人に適性評価を行う
・国民の「知る権利」を明記し、報道・取材の自由に配慮。取材行為は法令違反または著しく不当でない限り正当業務
・秘密を漏えいした公務員は最長10年、漏えいを共謀・教唆した一般人は最長5年の懲役