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体は男でも心は女。その逆もある。性同一性障害と呼ばれ、当事者は長く苦し…
体は男でも心は女。その逆もある。性同一性障害と呼ばれ、当事者は長く苦しんできた。
近年、心の性に体を合わせる医療技術が発達した。だが、社会には、その人々を今も異質に扱う部分が残っている。
戸籍上の性を女性から男性に変更し、女性と結婚した。夫婦は第三者から提供された精子で子どもをもうけた。その場合、夫と子の関係をどう扱うか。
最高裁は、法的に父と子であると認めた。血縁より、家族の実態を重んじたものだ。当然の判断というべきだろう。
法務省はこれまで「性別変更した夫に生殖能力がないことは明らか」として、父子関係を認めてこなかった。
そのため、自治体はこれまで約40のケースで子どもの戸籍の父親欄を空白にしてきた。すみやかに是正されるべきだ。
この障害の人たちが社会でぶつかる壁をとりのぞく施策は、遅まきながら2004年の特例法で大きく進んだ。戸籍上の性を変える道が開け、ことし3月末までに約3900人が家裁に変更を認められた。
その法の趣旨から、性別を変えた人が結婚し、子をもつことは当然認められるべきだ。子にとっても、どんな背景があれ、父親はかけがえのない存在だ。
これまで戸籍を作る側の判断で子を「婚外子」にしてきたのはあまりに理不尽だった。
いまの民法が定める家族の規定は明治時代から引き継がれている。血縁を重んじている一方で、結婚中に妻が妊娠したら夫の子どもと推定する「嫡出(ちゃくしゅつ)推定」の規定もある。
その趣旨は、たとえ妻の不倫でできた子だとしても、法的に父を決めて子を保護することにある。今回のように、夫自身が人工授精に同意し、もうけた子であれば、子を保護する父としての関係は否定しがたい。
そもそも生まれながらの男女の間に、第三者の精子で生まれた子については、法的に父子関係が認められてきた。
性別を変えた夫の場合だと、夫と子に血縁がないことは、自治体の担当者が夫の戸籍の性別変更の記載からつかめる事実ではある。だからといって、それを理由に父子と認めないのでは公平性を欠く。
性同一性障害のケースにかぎらず、第三者の精子・卵子を用いるなどの生殖医療を通して、血縁がない親子関係は広がっている。ところが民法はこうした医療を前提としていない。
時代とともに変わる家族の現実を踏まえつつ、法の適切な対応を考えてゆかねばならない。
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