Better and Friendly Documentation コンピュータのシステム、とくにソフトウェアシステムの複雑化、大規模化に伴い、ドキュメンテーションの重要性がますます大きくなっています。システムが良質であれば、あとは、ドキュメンテーションのクオリティがそのシステムの実際の実用性を左右します。おそまつなドキュメンテーションは、ユーザの前進の邪魔をする障害物ですね。 私は、コンピュータそのものの魅力に加えて、UNIX初期からマイコン/パソコン初期にかけての、英語で書かれたドキュメンテーションのおもしろさに惹かれてこの世界に入りました。それらの文章の平易でフレンドリーな語り口に、それまでのどんな小説や評論にもない、「書き手の普段着の人間性」を感じました。筆者が一人の人間として読者に気さくに語りかける、そんな口調のドキュメンテーションは、内容がすなおに読み手の心に浸透します。 今でもそういう、書き手のカジュアルな人間性を感じさせるドキュメンテーションは、主にアメリカの業界の随所で当たり前のように生まれています(ちょっと前の例ではHibernateが好評)。また、最近の出版界は、気軽な文体や言葉遣いの魅力を、文章商品の重要な商品価値の一環と見なしています(例:O社のHead Firstシリーズ)。 それに対して日本では、今も昔も、硬くて無味乾燥で、木で鼻をくくったようなドキュメンテーションが氾濫していますね。書き手の心が硬いと文章は、難解で読みづらくなるだけでなく、重要な間違いが頻繁に混入します。ここでは遠慮して具体例を挙げないけど、ほんまに、ひでぇのが多いよなー。 世の中の人びとは、とくに若者は、ドキュメンテーションが分かりやすくて、人間の言葉になっていないと、その世界をつまらないもの、疎遠なものに感じてしまいます。日本ではとくに、コンピュータのおもしろさに目覚める機会のない若者が、多いのではないでしょうか。 また、良いドキュメンテーションを追求する努力から、システムをユーザの目線から見た、良質なリファクタリングの発想が生まれることもあります。 私は非力な一個人ですが、今後このWebサイトの活動を通じて、正しくて分かりやすく、人間の体温を感じるドキュメンテーション技術の確立と普及に寄与していきたいと思います。これが、Better and Friendly Documentationと題したこのマニフェストの趣旨です。日本のドキュメンテーションを、良質でフレンドリーな、生きたことばの集まりにしていこう!。このサイトでは、自主コンテンツのほかに、ドキュメンテーションをめぐる、みなさまの質問やリクエストにもお応えします。 このマニフェストにご賛同のみなさまの、ご賛助ご支援をお願いします。残念ながら私は、別途安定収入のある人間ではなく、慢性的に経済的ピンチの者ですので、みなさまからのサポートやスポンサーシップが唯一の頼りです。サポートのご意志のあるかたは、メール(HGA03630@nifty.ne.jp)や電話(0475-25-2972)でご連絡をください。 今後このサイトは、私ぐらいの経済レベルの人にとっては従来どおりフリーサイト、多少なりとも余裕のある個人や企業にとっては、シェアウェアならぬ「シェアドキュメント」にしたいと思います。ただし実質的にそれは、何らかの商品の代価ではなくて、Better and Friendly Documentation運動の持続をプッシュする何本もの“手”の集まりです。 よろしく、お願いします!。 2005年8月20日 岩谷 宏 --end manifest(v.1.0, 20 Aug. 2005)-- |