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【コラム】

中日春秋

 「分」という字の中には、刀がある。八の字を左右に切りわけるから、分ける。そして「分ける」という言葉から、「分かる」も派生したという

▼確かに、分けることは、分かることの始まりだ。植物と動物、蝶(ちょう)と鳥、星と月…。そのものの形と質の違いを見極めて、分類を重ねることで、人間は自然への理解を深めてきた

▼逆に言えば、きちんと分けられないということは、分かっていないということだ。デモをテロと同一視した自民党の幹事長は、恐らく分かっていないのだろう。民主主義における自由の本質と、それを脅かす恐怖との違いが

▼いや、一政治家の問題ではない。特定秘密保護法案は、テロを<政治上その他の主義主張に基づき、国家もしくは他人にこれを強要…>する行為だとする。漠としたこの定義で、何がテロかを区別できるのか。これならば、デモをテロと呼ぶことすらできるのではないだろうか

▼そもそも、どの情報が守るべき秘密かを分ける物差しの形すら曖昧模糊(あいまいもこ)として、国民には分からない。国を動かす情報を切りわける力を持つのは、閣僚と官僚だけ。民主主義とは、刀の代わりに言論を戦わせる制度だが、正確な情報がなくては、分別の刀もふるいようがない

▼要するに、秘密保護法とは、政府に都合の悪い言論を封じるための、現代民主主義版「刀狩り」のようなものではないのか。

 

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